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Vol.222 中間持株会社は必要?

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中間持株会社はなぜ必要?

ホールディングス化事例のなかでも、
何回か取り上げたこともあるのですが、
今回は「中間持株会社」について取り上げてみたいと思います。

 

持株会社という概念は比較的わかりやすい気がしますが、
なぜ「中間」持株会社という発想が出てくるのでしょうか?

また、実際に、
中間持株会社は必要なのでしょうか?

このあたりを今回は書いてみたいと思います。

 

中間持株会社を設立する事例

このサイトで取り上げている事例として、
中間持株会社を設立した事例について
まず見てみたいと思います。

 

中間持株会社に関連しそうな事例は以下の事例になります。
私の視点ではありますが、目的別に分けてみました。

<中間持株会社的な機能をもつ事業子会社>
【事例】ゼビオ株式会社

<販売機能をもつ子会社を統括する中間持株会社>
【事例】花王株式会社

<在外子会社を統括する中間持株会社>
【事例】ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングス株式会社

<会計戦略上の中間持株会社>
【事例】アルコニックス株式会社

<一部の事業に係る部分を統括するための中間持株会社>
【事例】朝日放送 株式会社
【事例】株式会社ダイナック

<将来売却予定の非中核事業会社を束ねるための中間持株会社>
【事例】アプリックスIPホールディングス株式会社

<経営統合した異なる組織体のための中間持株会社>
【事例】みらかホールディングス株式会社

<法対応上の一時的な中間持株会社>
【事例】株式会社アエリア

<将来の統合に向けたファーストステップとしての中間持株会社>
【事例】三菱瓦斯化学株式会社

 

それぞれの詳細は、
各事例の内容をご確認いただければと思いますが、
やはり、何らかの特別な理由があって初めて、
中間持株会社が必要とされているということです。

 

中間持株会社を廃止する事例

一方で、最近の事例になりますが、
中間持株会社を廃止する事例として、
ドンキホーテHDの事例があります。

 

ドンキホーテHDは、
2015年7月に、国内における事業の強化を目的として、
中間持株会社である
株式会社ドンキホーテホールディングス・リテール・マネジメントを
設立した経緯があります。

但し、それから約2年半後である
2018年1月15日に

——————————————————-
2015年7月に国内における事業の強化を目的として、
中間持株会社である
ドンキホーテホールディングス・リテール・マネジメントを設立したが、
経営効率をさらに高め、意思決定の一層のスピード化を図る観点から、
ドンキホーテホールディングス・リテール・マネジメントを
親会社に吸収合併する
——————————————————-

という決断をしています。

 

細かい背景は、正直分かりませんが、
当初想定した通りの中間持株会社によるマネジメントができなかった、
あるいは、より良いグループ組織デザインが見えてきた、
ということでしょうか。

いずれにしても、
ホールディングス化の事例でも
いったんホールディングス化した後に
ホールディングス体制を廃止する事例があるように
中間持株会社においても同様な状況はあり得るということです。

 

結局・・・

おそらく会社のステージによって、
中間持株会社が必要と感じるステージと、
逆に、中間持株会社が逆効果に感じるステージがあるのだと思います。

 

中間持株会社にそれなりの人材を配置して、
マネジメントできるような体制を作れる会社は、
想定通り中間持株会社が有効に機能することはあると思います。

一方で、
あまり大規模なグループ経営でなければ、
人材も限られていると思いますので、
逆に中間持株会社があることで、
マネジメントしづらくなることが多いような印象があります。

 

たとえば、

——————————————–
・中間持株会社を作ることで、
 組織の階層が1つ増えてしまい、逆に全体が見えづらくなる
・事業子会社側からすると、
 親会社と中間持株会社のどちらの言うことを聞けばよいか、
 迷う場面が出てきたりして、逆に混乱する
——————————————–

といったことが起こってしまいます。

 

親会社と中間持株会社が
かなり連動して意思決定やマネジメントをしてくれればよいですが、
法人格が増える以上、マネジメントの複雑さは増します。

そう考えると、
・よほどの事業の多角化が進んでいるケース
・連結子会社がかなり多くなってきているケース
・グローバルに展開して地域統括会社が必要と思われるケース
・マネジメント人材に余力があるケース
といった状況以外は、
中間持株会社はデメリットの方が多くなるような気がしています。

 

できれば、
1つの持株会社をトップにしたフラット構造の方が、
マネジメント自体はシンプルになるのではないかと思います。

ということで、今回は
中間持株会社についてでした。

 

★★★★★★★
中間持株会社は難しい?
★★★★★★★

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