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Vol.244 小さな会社のホールディングス人員構成を考える

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小さな会社のホールディングス化

今回は小さな会社がホールディングス化を考える際の
人員構成を考えてみたいと思います。

前提としては、
「グループ全体で売上10億円規模の会社目指していきたい
といった規模感の会社を想定しています。

 

たとえば、このような規模感の会社が、
ホールディングス化するにあたって、
ホールディングカンパニーの役員構成や人員構成は、
どのようなにすべきでしょうか?

このあたりについてお伝えしてみたいと思います。

 

ホールディングス化の目的

まず最初に、このような規模感の会社が
ホールディングス化する際の目的を考えてみたときに、
多いケースは「多角化」「新規事業」といったキーワードが
あがるのではないでしょうか。

個人的には、
「複数事業をしたい」
という思いくらいであれば、
あまりホールディングス形態にこだわる必要はない気がしています。
このあたりは経営者の好みでしょうか。

 

但し、複数の事業・会社を経営して、
きちんとグループシナジーを発揮しながら、
グループ全体で企業価値・成長をさせていきたい、
といった思いがあるのであれば、
ホールディングス化して「連結グループ経営」に、
真剣に取り組む価値はある気がしています。

 

私の考えとしては、
ホールディングカンパニーの存在意義・役割は、

————————————–
グループ経営を経営する
————————————–

ことにあると思っています。

 

ただの複数会社・複数事業の経営ではなく、
「グループ経営」をきちんと経営する役割を、
ホールディングカンパニーがきちんと果たすことができれば、
グループ全体として「1+1=2」ではなく、
「1+1>2」の価値にしていけるだろう、
ということです。

 

ホールディングカンパニーの構成

このように、ホールディングカンパニーの役割を
「グループ経営を経営する」
という前提として考えた場合に、
とくに小さな会社は、どのような人員構成にすべきでしょうか?

 

私の結論としては、
——————————————
・社長(No.1)
・グループCFO(No.2)
・管理部門人材
——————————————
という最小限の構成が最適ではないかと思っています。

また、その前提として、
社長やグループCFOは子会社の役員には入らない、
ということを考えています。

 

一般的には、
ホールディングカンパニーの役員でもあり、
子会社の役員でもある、といった構成はよく見かけます。

ただ、個人的には、そのような形態ではなく、
社長とグループCFOは思い切って子会社の役員からは外れ、
ホールディングカンパニーでグループ経営に専念する形を作る、
という形がよいと思っています。

このような体制にすることで、
「グループ経営を経営する」
という覚悟を決めるという感じでしょうか。

 

グループCFO

小さな会社という前提なので、
人材はおのずと限られてきます。

そのため、
大企業のホールディングス化と異なり、
小さな会社のホールディングス化の場合、
ホールディングカンパニーの人員構成・機関構成も
最小限にすべきだと考えています。

 

究極的には、
社長1人で「グループ経営業」に専念するような
ホールディングカンパニー体制も考えられますが、
さすがにどれだけ社長がスーパーマンでも
専門分野でない領域もあると思います。

その代表例が経理・税務を中心とした
管理部門的なところでしょうか。

当然、そのあたりを得意としている社長もいると思いますが、
「グループ経営を経営する」という役割を考えると、
この領域の専門とするものに「グループCFO」の役割を担ってもらい、
社長の右腕として、二人三脚でグループ経営を進めていく方が、
やはり現実的には良いように思います。

 

また、ホールディングス化を検討される経営者は、
一般的には発想が豊かで、多角化したり、
広げたりしがちな傾向があると思います。

ただ、小さな会社は経営資源が限られていますので、
やりたいことをすべてやり出すと収拾がつかなくなり、
経営資源も分散し、バラバラになって崩壊をしていく確率も
かなり高くなってしまいます。

 

そのため、このような発想力豊かな社長の強みは生かしつつ、
冷静かつ客観的に助言をしたり、ときにはブレーキ役になったり、
また、経営財務数値を活用しながら戦略を立てていく存在として、
グループCFO人材は確保していただきたいと思っています。

 

なお、小さな会社の場合には、
社内にCFOになり得る人材がいなかったり、
顧問税理士に依存をしたりしているケースもあると思います。

但し、ホールディングス化して
グループ経営業に専念するためには、
社内人材としてグループCFOを確保していただきたいと思います。

短期的には外部の専門家に頼ることはあっても、
中長期的には、社内人材としてグループCFOを育てたり、
外部から採用するなりして対応したいところです。

 

グループ管理部門

グループCFOとあわせて、
是非ホールディングカンパニーに機能として置いておきたいのが、
グループ全体の管理部門です。

グループ経営をする場合にコスト面でシナジーを出すことを考えると、
やはり管理部門をシェアードサービスとしてグループ集約し、
グループ全体最適も意識しつつ運営していくのがよいと思っています。

位置づけとしては、
グループ各社の管理部門業務をまとめて実施するとともに、
社長やグループCFOがグループ全体を把握し経営判断するために
必要な材料を作成・提供する実務的な補佐係になります。

 

ちなみに、小さな会社の場合には、
もともと管理部門人材は限られているかと思います。

状況によっては顧問税理士に依存をしているケースも
あるのではないでしょうか。

ただ、この点についても、
先ほどのグループCFOと同じように、
基本的には社内人材として確保していくべきだと思っています。

 

やはり社内のことは社内人材が一番よくわかっていますし、
グループ戦略を考えていくうえではとても重要な役割になるため、
もし現時点でそのような管理部門人材が不足している場合でも、
中長期的には育成をするなり、採用するなりで、
内製化を図っていきたいところです。

そのうえで、連結グループ経営を支える、
小さくても強いバックオフィスを構築していければ、
今後、子会社が増えたり、規模拡大したとしても、
コストメリットを出しながら展開していけるはずです。

 

最後に

ということで、今回は、
小さな会社のホールディングス化にあたっての
人員構成について考えてみました。

ざっくり振り返ると
————————————————————-
・各事業会社の経営は、各子会社社長を任命し、徹底的に任せる
・社長は「グループ経営業」に専念する
・社長の右上でとしてグループCFOを配置・育成する
・グループ全体の管理部門をシェアードサービスとして配置・育成する
————————————————————-
といった感じでしょうか。

小さくて強いホールディングカンパニーづくりを
是非、目指していきましょう!

 

★★★★★★★
ホールディングス化をすることで、
社長はグループ経営業に専念する
★★★★★★★

 

 

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