※積水ハウス株式会社より適時開示されている「積水ハウス不動産グループの組織再編の方針の決定 (中間持株会社体制への移行に伴う準備会社の設立及び会社分割)に関するお知らせ(2021年9月9日)」をもとに情報を整理しています。
内容
中間持株会社体制への移行
開示概要
●2021年9月9日開催の取締役会において、
2022年2月1日(予定)を期して積水ハウス不動産グループの組織再編を行う方針
並びに中間持株会社体制への移行に伴う分割準備会社の設立を決定した。
●本会社分割は完全子会社を対象とする簡易吸収分割である。
組織再編の目的
●積水ハウスの子会社である、積水ハウス不動産各社、積和グランドマスト
及びその子会社等(積水ハウス不動産グループ)は、
・不動産の売買及び仲介事業
・賃貸住宅の管理及びサブリース事業
・リフォーム事業
等を行う総合不動産企業グループである。
●強固な顧客基盤を活かしビジネスを行う「ストック型ビジネス」の中核を担い、
現在では積水ハウス連結営業利益の大きな割合を占める事業に成長した。
●30年ビジョンを進めるにあたり、
積水ハウス不動産グループの更なる持続的成長と企業価値最大化は不可欠であり、
積水ハウス不動産グループを統括する中間持株会社を設置することにより、
事業領域拡大も視野に見据え、事業推進を行うこととした。
●積水ハウス不動産各社の地域密着性・事業特性を踏まえながら、
積水ハウス不動産グループとしてのエリア戦略や高品質の不動産管理を実現し、
機動的な人事制度改革等を実施するとともに、
中間持株会社への権限委譲と責任の明確化により、
成長戦略の実現とガバナンスの強化による「ストック型ビジネス」の成長を図る。
組織再編の概要
●概要
積水ハウス不動産グループを傘下に収める中間持株会社となる
積水ハウス不動産ホール ディングス株式会社(100%出資)を
分割準備会社として設立し、親会社の仲介賃貸事業本部が管轄する事業を
分割準備会社に吸収分割する組織再編を実施する。
●本吸収分割の日程
・親会社の吸収分割契約承認取締役会決議日:2021年12月上旬(予定)
・吸収分割契約締結日:2021年12月上旬(予定)
・会社分割効力発生日:2022年2月1日(予定)
※会社法第784条2項に定める要件を満たす簡易分割となる予定のため、
本吸収分割契約承認のための株主総会は開催しない
●本吸収分割の方式
・親会社を分割会社とし、100%子会社である分割準備会社を承継会社とする吸収分割
●本吸収分割に係る割当の内容
・分割準備会社は、本吸収分割に際し普通株式を新たに発行し、そのすべてを親会社に割当てる予定
●本吸収分割により増減する資本金
・本会社分割により当社の資本金の額に変更はない
●承継会社が承継する権利義務
・承継会社である分割準備会社は、本吸収分割により
親会社の仲介賃貸事業本部が管轄する事業に係る資産、負債、契約
その他権利義務等を吸収分割契約書に定める範囲において承継する予定である。
体制図(Before ⇒ After)
★Review★
今回は「積水ハウス」の事例です。
中間持株会社設立の事例になります。
過去記事(「Vol.222 中間持株会社は必要?」)をもとに、
まずは一般的に、中間持株会社を設立するケースとしてどのような場合があるか、
以下事例をご紹介をさせていただきます。
事例(中間持株会社)
●ケース1:中間持株会社的な機能をもつ事業子会社
・【事例】ゼビオ株式会社
●ケース2:販売機能をもつ子会社を統括する中間持株会社
・【事例】花王株式会社
●ケース3:在外子会社を統括する中間持株会社
・【事例】ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングス株式会社
●ケース4:会計戦略上の中間持株会社
・【事例】アルコニックス株式会社
●ケース5:一部の事業に係る部分を統括するための中間持株会社
・【事例】朝日放送 株式会社
・【事例】株式会社ダイナック
●ケース6:将来売却予定の非中核事業会社を束ねるための中間持株会社
・【事例】アプリックスIPホールディングス株式会社
●ケース7:経営統合した異なる組織体のための中間持株会社
・【事例】みらかホールディングス株式会社
●ケース8:法対応上の一時的な中間持株会社
・【事例】株式会社アエリア
●ケース9:将来の統合に向けたファーストステップとしての中間持株会社
・【事例】三菱瓦斯化学株式会社
●ケース10:中間持株会社を廃止する事例
・ドンキホーテHDの事例
⇒「Vol.222 中間持株会社は必要?」の後半部分参照
今回の積水ハウスのケースは、
「ケース5:一部の事業に係る部分を統括するための中間持株会社」
の分類になる気がします。
同社の中間持株会社設立の背景には、
大きなビジョンとして「30年ビジョン」があります。
この「30年ビジョン」は、とても参考になると思いますので、
是非、以下でご確認いただければと思います。
https://www.sekisuihouse.co.jp/library/company/financial/library/info/p20200306.pdf
この30年ビジョンを実現していくためには、
「積水ハウス不動産グループの更なる持続的成長と企業価値最大化は不可欠」
との思いのもと、積水ハウス不動産グループを統括する中間持株会社を設置して、
事業領域拡大も視野に見据え、事業推進を行うとのことです。
それにしても30年ビジョンとは、
すごい長いスパンでのビジョンですね。
これだけ先を見て経営していること自体がすごいことですが、
このような会社だからこそ、長い歴史のなかで成長・発展できた感じなのだと思います。
この力の入った長期ビジョンの実現には、
グループの中でも「積水ハウス不動産グループ」のカテゴリーを
とても重要と位置付けているようで、
そのために、そこを統括する中間持株会社を設立したという背景のようです。
この中間持株会社への権限委譲と責任の明確化することで、
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・各社の地域密着性・事業特性を踏まえながら、
・エリア戦略や
・高品質の不動産管理を実現し、
・機動的な人事制度改革等を実施することで、
・成長戦略の実現と
・ガバナンスの強化によって
・「ストック型ビジネス」の成長を図る
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ことが期待されているとのことです。
グループ子会社が多数ある場合には、
すべての子会社を並列に管理するのには限界がある面もあり、
重要なカテゴリーについて1階層を中間に追加して、
持株会社の役割を担っていくという組織デザインです。
今回の組織再編がきちんと機能して、
30年ビジョンをきちんと実現していけることを期待したいですね。
★★★★★★★
長期ビジョン実現のための
グループ組織デザイン
★★★★★★★