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【事例】花王株式会社

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※平成27年9月24日に花王株式会社より適時開示されている「花王グループ販売等子会社の持株会社体制への移行及び準備会社設立に関するお知らせ 」をもとに情報を整理しています。

内容

花王グループ販売等子会社の持株会社体制への移行
準備会社設立

開示概要

●平成27年9月24日開催の取締役会において以下を決議した。
新規設立持株会社の傘下グループの国内販売等子会社を統合する準備に入ること
・持株会社の準備会社として100%子会社(準備会社)を設立すること

持株会社化の背景

●現在、グループにおいて、以下の販売3社で、
消費者及び流通に商品・サービス提供をしている。
<販売3社>
(1)「コンシューマープロダクツ」を扱う花王カスタマーマーケティング株式会社
(2)「カネボウ化粧品」を扱うカネボウ化粧品販売株式会社
(3)「店頭活動」を担当する花王フィールドマーケティング株式会社

持株会社化の目的

「花王グループの総合力」を発揮することで、
より高いレベルで商品・サービスを提供することを目的として、
販売機能の一体運営をさらに進めることにした。

●これによって化粧品事業の強化を目指す。

●持株会社体制に移行後、準備会社は、
販売3社の戦略推進・経営管理業務等の「本社機能」を担う予定。

●販売3社は、持株会社の傘下で、
現場を軸にした「ブランド専門力」及び「店頭展開力」を
より一層磨いていく。

●今回の持株会社体制への移行は、
花王とカネボウ化粧品の間において実施している
品質保証・研究・生産等の一体運営を、
販売の領域でも進める。

持株会社体制への移行の要旨

●移行方式
①親会社である花王株式会社が上記(1)~(3)の販売3社の
直接の親会社になるようにグループ内で株式異動。

②新たに設立する準備会社(持株会社)へ、
吸収分割の方法により、販売3社の株式を承継。

●会社分割の日程(予定)
①分割準備会社の設立:平成27年10月1日(予定)
②分割契約承認取締役会:平成27年11月中旬(予定)
③分割契約締結:平成27年11月中旬(予定)
④会社分割の効力発生日:平成28年1月1日(予定)

新設会社の概要

●事業内容:コンシューマープロダクツの販売等
●資本金:10百万円
●設立年月日:平成 27年10月1日(予定)
●決算期:12月 31 日
●大株主及び持株比率:花王株式会社 100%

 

Review

今回は「花王」の事例です。

花王と言えば超大企業ですので、
中小企業にとっては、
参考にならないと思われるかもしれません。

但し、
会社規模がどのような規模であれ、
グループ組織デザインについては、
すべてのグループ経営者が試行錯誤しています。

常に同じデザインというわけでもありません。

ビジネス環境や
会社の置かれているステージに応じて、
グループデザインも変わっていくものです。

そのため、
今回の花王の事例についても、
グループ再編の考え方自体は参考になると思いますので、
ご紹介をさせていただきます。

今回の花王の事例で特徴的な点は、
●販売機能に特化した持株会社であること
●中間持株会社であること
といった点になります。

規模の大きくないグループ会社の場合は
他階層になってしまいますので、
中間持株会社を想定することは
少ないかもしれません。

但し、
ホールディングス経営といった場合でも、
グループの中間に小さなホールディングスを作る
中間持株会社形態という道もあるということは
知っておいて損は無いと思います。

花王くらいの大きなグループ組織になれば、
販売機能だけでも、
大きな機能組織になりますので、
この販売機能組織を統括するために
機能持株会社を作ることは合理的な方法だと思います。

ちなみに、日本経済新聞にも
この花王の持株会社についての記事がありました。

その記事によると、
・重複する取引先の流通企業への売り場提案を強化する
・社内の交流を深め、花王・カネボウの融合を進める
・持株会社が販売戦略を一定に担う
・再編を機に販社の本社を1カ所に集約する
・全国各地にある販社オフィスも順次統合する
・化粧品販売にも日用品で培ったノウハウを導入し販促強化する
といったようなことが書かれていました。

花王は数年前にカネボウを買収しています。

もともと異なる企業であった
花王とカネボウが1つのグループ会社になったというわけですが、
おそらく、まだまだグループでの一体化が
進んでいないのだと思います。

歴史のある大企業同士だったので、
すぐに一体化することは難しいことだとは思いますが。

ただ、
グループ内の企業再編を通じて、
徐々に一体化を進めていることがうかがえます。

すでに花王とカネボウは
製造や研究開発部門について
統合をしているとのことですので、
これを販売機能まで拡大していく
というのが今回の取組みです。

お互いの良いノウハウを
グループ全体で共有していくことで、
グループシナジーを最大化していく形です。

グループ規模の違いはあれど、
その規模に応じた悩み・課題がありますし、
また、やりたいことの方向性は、
突き詰めると、どの会社も同様なところに行きつきます。

決して、
「大企業=完璧にできている」
というわけではありません。

是非、
1つのグループ化のデザインの事例として
参考にされてみると良いと思います。

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