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Vol.49 オーナー社長の個人資産管理とホールディングス①

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一般的に上場会社は、
脱プライベートを果たした会社ですが、
実は同族会社といってよいような会社も結構存在します。

株式上場に至るにあたって
一定割合の株式は外部に放出していくのですが、
上場後においても、
かなりの株式を保有しているオーナーはいらっしゃいます。

そのため、
今は小さな会社、中小企業であっても
会社を強くし、大きくし、永続していくことを
目指している社長にとっては、
上場会社の主要オーナーの資産管理状況の事例は
参考になると思います。

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とはいっても個人資産管理の実態は
それほど公にはなりません。

限られた情報ではありますが、
入手可能な情報をもとに
私なりにいろいろな切り口で研究しています。

今回は、その1つの切り口として、
「成長する会社のオーナーは個人資産管理の「会社」を作っている」
といった点について書いてみたいと思います。

会社が小さなうちはあまり意識することはないかもしれませんが、
会社が大きくなり、会社の価値が高まってくると、
オーナーが保有している株式の価値が高くなってきます。
いわゆる「自社株式の価値」です。

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あまり自社株式の価値を意識する機会は
少ないかもしれませんが、
・上場するとき
・株式を譲渡するとき、相続するとき
といったケースにおいては、
意識せざるを得なくなってくると思います。

社長がよく勘違いされることがあります。
「出資時は1株5万円だったから、
身内に5万円で株式を売ろう(相続)と思う」
といった例です。

当初出資時とは異なり、
会社の価値も大きくなっているため、
株価も数倍になっているのが通常です。

そのため、
たとえ身内であっても、
当初出資時の金額で売却することは
できなくなります。

一方で、逆の例もあります。
「出資時より会社の価値が大きくなっているので、
外部の方に、10倍の値段で株式を売りたい」
といった例です。
株式上場のときも、この発想に近いと思います。

つまり、
身内に株式を移すときは安く
外部に株式を売るときは高く、
という思考になります。

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気持ちはとてもよく理解できます。
でも、これを無制限に許容すると、
やりたい放題になってしまいます。

とくに身内に協力してもらえば、
なんでもできるようになってしまいます。

そのため、
法律(税法)では、一定のルールがあります。

それは、
身内でも外部者でも
売買するときの価格(価値)は
基本的には同じであるべき
ということです。

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つまり、いつでも「時価」で売買しましょう、
ということです。

社長の感覚としては、
「自分の会社の株式の価格を
自分が自由に決めて何が悪い」
と感じるかもれませんが、
税法のルールではそれは許してくれません。

会社が大きくなるにつれて、
自分の思い通りにならない面も多くなりますが、
これは、社会的な役割が大きくなっている、
とプラスにお考えいただければと。

そして、
自社株式の価値とセットで考えないといけないのが、
売買にかかる「お金」「税金」です。

当然、身内であっても売買するのであれば、
お金のやりとりが必要です。

また、売買するということは、
税金もかかりますし、
売買価格が大きくなれば、
税金も高くなります。

まだ外部に高く株式を売る場合には、
売却代金を元手に税金を支払うことはできます。

但し、身内の場合には、
そう簡単な場合ばかりではありません。

身内の間で株式とお金が交換されますが、
身内全体でみるとお金が増えるわけではありません。

それにもかかわらず、
税金だけ支払わないといけません。

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相続や贈与といった場合も、
この一例といえます。

そのため、
会社が大きくなるにつれ、
またオーナーが年齢を重ねるにつれ
身内への株式移動や
将来的な相続のことは、
現実問題として検討課題になってくるのです。

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そして、
このような身内への株式移動・相続といったときに
節税効果があるのが、
会社として株式を保有する形態にする
オーナーの「資産管理会社」の設立です。

オーナー個人が自社株式を保有するのではなく、
オーナーが資産管理会社を設立し、
その資産管理会社が自社株式を保有する形にする、
ということです。

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この手法は、決して抜け道的な方法でもなく
オーソドックスかつ合法的な
オーナー社長のために資産防衛方法です。

オーナー社長のために作られた
適切な節税対策といえるでしょう。

まだ若いオーナー社長の場合には、
相続を意識される機会は少ないと思いますので、
時期が来てからでも良いと思います。

但し、1つ留意が必要なのが、
この資産管理会社の設立は、
会社が小さいうちの方が、
容易かつ税金的にも有利に進めらる、
ということです。

会社が成長すればするほど、
このような対策にはお金もかかりますし、
いろいろと手続きが煩雑になります。

そのため、
近い将来、会社が大きくなる確信や
会社を成長させる強い意志があるのであれば、
早いうちに検討だけでもしておくよいかもしれません。

ホールディングス経営のなかで、
この資産管理会社の役割をどのように位置づけるか。
このデザインもとても重要なテーマになります。

Vol.5

資産管理会社を作るかどうか。
いつ作るべきかどうか。
そのためにホールディングスをどう活用すべきか。
こういった論点について、
事前に検討し明確にしておくだけでも
今後の展開がクリアになると思います。

 

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