M&A
最近は日本マーケット縮小・競争激化のなか、
各社が新規事業・周辺事業への進出へ積極的です。
そのなかで手っ取り早いのが、
やはり「M&A」ではないでしょうか。
最近のM&A市場も
相変わらず活発な状況だと思いますが、
やはり失敗事例の方が多いというのも事実かと思います。
これまでも何回かM&Aについては、
書いてきた気がしたため、
過去の記事を振り返ってみると、
以下のような記事を書いていました。
「Vol.189 ホールディングスでM&Aに上手く対応できるようになる?」
「Vol.193 M&Aで本当に必要なデューデリとは?」
「Vol.206 なぜM&Aは上手くいかないのか?」
そのときどき、
感じていることを好き勝手に書いているので、
改めて見てみると、ちょっと微妙だなと思う箇所もありますが・・・、
基本的な考え方は今も変わっていない気がしました。
このようなM&Aですが、
ホールディングス化の目的で、
必ずと言ってよいほどみかける項目が、
「積極的なM&A」
という項目です。
過去にも触れたテーマですが、
今回は改めて、
「M&A戦略におけるホールディングカンパニーの役割」
について思うところを書いてみたいと思います。
時間を買う
M&Aでよく言われるのは、
「お金で時間を買う」
というものです。
確かに、今の経済環境は時代の流れが早いので、
スピード感がないビジネスは、
すぐに競争に負けてしまいます。
新規事業に取り組む場合や、
足りない部分を補おうとする場合に、
本当は一から作り上げたいと思っても、
それでは時間がかかり、
環境が整った頃には、勝負がついてしまっている、
ということになりかねません。
そう考えると、
時代の流れ、移り変わりの早い経済環境では、
M&Aが従来以上に有効な手段として
用いられるのは理解できます。
このようなM&Aではありますが、
相当な投資額と引き換えに手にする「時間」とは
どのような時間なのでしょうか?
いろいろあると思いますが、
たとえば、
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人を採用する時間
人を育てる時間
経験・実績を積む時間
インフラを整備する時間
お客さんを獲得する時間
信用を獲得する時間
失敗してやり直す時間
・・・・
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挙げだすときりはありませんが、
要は、ビジネスを立ち上げて軌道にのせていくまでに
必要なあらゆる時間ということです。
ビジネスを立ち上げて軌道にのせてきた経営者であれば、
その大変さはとくに身に染みて感じられているのではないかと思います。
このような貴重で、かつ、数年はかかるであろう時間を
短期間で取得できることはやはりM&Aの魅力です。
ただ、このような貴重な時間を
せっかく多額なお金を投資して買っても、
なかなか上手くいかない場合も多いということですが、
どこに原因があるのでしょうか?
過去のデューデリと未来のデューデリ
M&Aにおいては、
購入する「他社の時間」が妥当なものかどうか、
少なからずデューデリジェンスを実施すると思いますが、
この調査では、どうしても「過去(実績)」に軸を置いたものになりがちです。
これはこれで大切な視点ですので。
一方で、
M&Aを最終的に成功に導いていくには、
「過去の時間」も大切ですが、
それとともに、M&A先の「過去の時間」をきちんと引き継いだうえで、
きちんと「未来」へつなげていけるかどうかが
重要なポイントになると思います。
つまり、
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M&Aで購入する「過去の時間」を
建設的な「未来」へどのようにつなげていけるのか?
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という点が明確でなければ、
そのM&Aはリスクの高いものとなっていくということです。
ただ単に規模を拡大するとか、
なんとなく悪くなさそうな案件が舞い込んできたから、
といった感じでM&Aを行うのは、
やはりリスクが高いといえるでしょう。
それでは、
他社の「過去の時間」を
きちんと自社グループの「未来」へつなげていくための
重要なポイントはどこになるのでしょうか?
M&A先には、過去から積み上げてきた
いろいろな有形・無形の資産があると思いますが、
これらの資産を「未来」へきちんとつなげていくためには、
やはり「人」という資産が一番重要なのだと思います。
過去の実績やノウハウ等が、
組織に根付いていると感じても、
やはりその根底には「人」の上に成り立っている要素が
かなりの割合であると思っています。
そう考えると、
「M&A=中途採用の集団面接」
のようなものに近いのかもしれません。
自社のグループに加入してもらう人材集団として適切かどうか?
そして、加入してもらった後に、
辞めないように、また、成長してもらえるように
きちんと教育・育成ができるかどうか?
このような「未来」が描けないM&Aは
リスクが高いものになるような気がします。
M&A戦略とホールディングカンパニー
M&Aした会社をどんどん再生して
グループとして成長させていくようなカリスマ経営者も
なかにはいらっしゃると思います。
但し、そのような経営者は稀であると思います。
どれだけ優秀なプロ経営者でも
ある会社で成功しても、
他の会社で成功するとは限りません。
異なる企業文化の会社を
途中から引き継ぐというのは容易ではないからです。
とくに価値観が多様化している現代においては、
より難易度が高くなっていると思います。
たとえば、親会社の経営者が、
親会社の経営もやりつつ、
M&Aした子会社の経営も兼務する、
といった感じでは限界があるかもしれません。
そこで、重要な役割を担ってくるのが、
ホールディングカンパニーということになるのではないかと思います。
前置きがとても長くなりましたが今日の本題です。
M&Aした会社の経営を誰がやるかについては、
状況次第でいろいろな形があるかと思います。
但し、M&Aした会社の人材が
きちんとグループ会社の人材として活躍してもらうために、
その人材をフォローをしていく役割を
M&Aする側の会社の方で担っていく必要があります。
さきほど、
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・M&Aは中途採用の集団面接のようなものに近いため、
自社のグループに加入してもらう人材集団として適切かどうかを
見極める必要がある
・自社グループに加入してもらった後については、
その人材が辞めないように、また、成長してもらえるように
きちんと教育・育成していく必要がある
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といったような趣旨のことを書きましたが、
M&Aの入口、そしてその後において、
人材を評価し、育成し、フォローしていくことが重要だと感じていまして、
グループとしてその役割(インフラ)を担うのが
ホールディングカンパニーになるのではないかと考えます。
そのため、
ホールディングス化とともに、
M&Aをグループの成長戦略に位置付けるのであれば、
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ホールディングカンパニーが
人材採用・評価・育成のグループインフラになる
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ということが
求められるのではないかと思うのです。
M&Aをカリスマ経営者に頼る形ではなく、
グループとして組織的にM&Aを実施し、成功に導くための仕組みを
ホールディングカンパニーが作り上げていければ、
きっとM&Aが1つの重要なグループ戦略として成り立っていくと思います。
ここで少し余談ですが、
グループの理念として「人は変われる」ということを掲げて、
M&Aにも積極的に取り組んでいるRIZAPグループも
少し前にホールディングス化しています。
ホールディングカンパニーの役割としては、
新規にM&Aをした会社の人材が変われるように
支援をしていくことも重要な役割だと個人的には思っています。
そう考えると、
同社の「人は変われる」という理念と
ホールディングカンパニーの役割は、
結構親和性があると思っていまして、
同社のM&A戦略が今後成功していくかどうかは、
個人的には興味深いところです。
なんだか、あちこちと話が散らかった気がしますが、
上手くまとめられない感じなので、今回はこのへんで。