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【事例】株式会社パレモ

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※平成29年3月31日に株式会社パレモより適時開示されている「持株会社体制への移行に伴う準備会社の設立及び吸収分割契約締結並びに 定款の一部変更(商号変更及び事業目的の一部変更等)に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

持株会社体制への移行
準備会社の設立

開示概要

●平成29年3月31日開催の取締役会において、
100%出資の株式会社パレモ分割準備会を同日付で設立し、
平成29年8月21日(予定)を効力発生日として、
同社のレディースアパレル及び雑貨の店舗小売事業並びにFC事業を、
吸収分割の方法により準備会社に承継させることにより、
持株会社体制へ移行することを決議。

●平成29年8月21日(予定)をもって、
同社は「パレモ・ホールディングス株式会社」へ、
分割準備会社は「株式会社パレモ」へ商号を変更し、
パレモ・ホールディングス株式会社は、引き続き、
グループ会社の経営管理を行なう持株会社として上場を維持する予定。

●商号変更を含む定款一部変更につきましては、
平成29年5月18日開催予定の当社定時株主総会において
承認されることを条件に実施する。

持株会社体制移行の背景

●専門店業界は、少子高齢化で国内市場の拡大が見込めない中、
商業施設や専門店の間で顧客の争奪が一層激しさを増し、
優勝劣敗がより鮮明となってきた。

●また、円安による商品調達コスト上昇の影響に加え、
人員不足の深刻化により採用コストや人件費の上昇など、
厳しい環境が続いている。

●このような状況下において、
今後さらに加速する経済環境の変化に適応するため、
迅速な改革を可能とし、経営資源の最適配分を行い
効率的な経営管理を行なうべく、持株会社体制に移行することとした。

持株会社体制移行の目的

●持株会社体制へ移行する目的は以下の通り。

(1)経営効率の向上
同社が、グループの戦略の立案、経営管理及びリスク管理を担い、
事業子会社が事業推進に特化することで、グループの経営効率の向上を実現する。
また、間接部門を集約し、業務の効率化また専門機能の高度化を図っていく。

(2)変化への対応力の強化
事業環境及び競争状況の変化に対応した、
迅速な意思決定及び事業構造の再構築に柔軟な対応が可能となる。

(3)次世代リーダーの育成
事業会社においては積極的に次世代の経営を担う人材を登用し、
人材育成に取り組んでいく。

持株会社体制への移行方法

●同社を分割会社とし、
新たに設立する分割準備会社を吸収分割承継会社とする吸収分割により行う。

持株会社体制への移行スケジュール(予定)

①分割準備会社の設立:平成29年3月31日(金)
②吸収分割契約締結承認取締役会:平成29年3月31日(金)
③吸収分割契約締結日:平成29年3月31日(金)
④株主総会承認日(分割会社、承継会社):平成29年5月18日(木)(予定)
⑤吸収分割効力発生日:平成29年8月21日(月)(予定)

 

Review

今回は「パレモ」の事例です

同社について確認をするうえで
最近の同社のトピックスを見ておきたいと思います。

 

<最近のトピックス>
・過去数年に多額な当期純損失を計上する機会が多かった。
・過去はユニーグループ・ホールディングスの子会社であった。
・これまでは重要性の低い非連結子会社があるだけの単体決算の会社であった。
・平成29年2月期第2四半期決算で「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載が解消された。
・平成28年10月に親会社がユニーグループ・ホールディングスから
 エンデバー・ユナイテッド・パートナーズ・スリー投資事業組合に変更した。
・平成29年2月期は、営業段階でも最終段階でも黒字達成。

 

このような状況を見てみると、
出血が止まり、新体制として今後の成長戦略を
実行していくフェーズにある段階になってきていると推察されます。

 

ちなみに、新しい親会社は、
ハンズオンアプローチのファンドのようですので、
これまでのユニーグループの体制からは、
大きく企業文化も変わっていくのではないかと思われます。

そして、このような状況において、
ホールディングス体制へ移行するということです。

 

さらに同社の決算報告資料を見てみますと、
以下のような記載がありました。

——————————–
<今期方針>
●利益体質の定着と永続的安定成長への基盤固め
●事業構造改革の完遂と再成長に向けた体制づくり

1)基幹事業の基盤固め(永続的安定成長の基礎)
  アパレル レギュラー、ラージサイズ事業の安定化 ⇒ 商品鮮度維持
2)増収、成長に向けた基盤構築 (新ブランドの軌道化)
  アパレル新ブランドでの出店加速 ⇒ MD構築と並行して注力
3)健全な経営基盤の構築 (自立した経営体制)
  親会社変更後における自立経営
  次世代リーダーの育成に注力
——————————–

 

これらの情報から、今回のホールディングス化にあたっては、
・基盤構築
・自立経営
・次世代リーダーの育成
といったあたりが、よりフォーカスされている印象です。

そう考えると、
新しい親会社であるファンドから見ると、
これまでは自立が不十分で、次世代を担うリーダー育成も不十分であったと
映ったのではないかと思われます。

 

過去の流れから推察すると、
従来は、親会社であったユニーグループの影響度が強く、
パレモとしての自立的な経営体制ができる余地が
意外と少なかったのかもしれません。

但し、今後はユニーグループの影響力なく、
自力で前に進んで生き残っていく必要がありますので、
今回、同社がホールディングス化の目的として挙げた
・経営効率の向上
・変化への対応力の強化
・次世代リーダーの育成
は、とても重要なテーマということでしょう。

 

今後の同社の動向が興味深いところです。

★★★★★★★
企業文化を変えていくための
ホールディングス化
★★★★★★★

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