※平成29年5月25日にカドカワ株式会社より適時開示されている「純粋持株会社体制への移行及び 会社分割(簡易新設分割)による子会社設立に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。
内容
純粋持株会社体制への移行
開示概要
●平成29年5月25日開催の取締役会において、
純粋持株会社体制への移行及び、ゲーム情報ポータル事業を
会社分割によって新たに設立する会社に承継させることを決議した。
純粋持株会社体制移行の目的
●同社は、平成26年10月に
株式会社KADOKAWAと株式会社ドワンゴによる
共同株式移転により、両社の完全親会社となる純粋持株会社として設立された。
●設立以来、両社の事業や戦略の相互理解を深める体制を構築し、
シナジー事業の検討を進めるとともに、
大型投資案件では事業子会社との共同プロジェクトとして投資計画を検討するなど、
傘下の子会社の経営指導や管理等を行ってきた。
●また、平成27年4月には、
KADOKAWAとドワンゴが持つ
ゲーム情報に関する事業のリソースとノウハウを同社に集約し、
「ゲーム情報ポータル事業」を行う事業持株会社として運営してきた。
●設立後からこれまでの間、
グループの事業領域におけるマーケット環境は急激に変化しており、
Webサービス領域では、エンタテインメント業界を中心に
様々なサービスが登場してきている。
また、出版領域や映像・ゲーム領域等においては、
急激に進むネット化やメディアの多様化など大きな変化を続けている。
●このような経営環境のもと、
グループが一層の企業価値向上を実現するためには、
環境変化へのスピーディーな対応を行うとともに、
新中期ビジョンに掲げた「ネット時代のメディアミックスの進化」を着実に推進すべく、
①グループのリソースとノウハウを活かしたシナジー事業や新規事業の積極化
②事業子会社における迅速な事業執行
③持株会社におけるグループの迅速な経営判断の実現
を目的として、純粋持株会社制へ移行することといたしました。
●純粋持株会社体制への移行に伴い
会社分割となるゲーム情報ポータル事業は、
KADOKAWAが持つ「週刊ファミ通」や「ファミ通.com」などのゲームメディアと、
ドワンゴが持つ「niconico」のゲーム実況におけるゲームユーザーの
一大コミュニティなどを活用した新規事業を立ち上げる目的でスタートした。
●グループ内のリソースとノウハウを集めて、
企画・開発・サービス面での強化を進めてきた結果、
eスポーツジャンルにおいては、
今後の盛り上がりが期待される国内のeスポーツジャンルへの
いち早い取り組みが多くのゲームファンの注目を集めている。
●今後はさらにスピード感を持って
ゲームファンに向けた新規サービスを推進していくため、
会社分割により、グループのシナジー事業として
迅速な事業執行が可能となる体制を構築する。
会社分割の方式
同社を分割会社とし、新会社を新設会社とする新設分割(簡易新設分割)。
会社分割の日程
①取締役会での決議日(会社分割決議):平成29年5月25日
②取締役会での決議日(分割計画書決議):平成29年6月12日(予定)
③分割予定日(効力発生日):平成29年7月3日(予定)
Review
今回は「カドカワ」の事例です。
純粋持株会社体制への移行の事例ということですが、
同社のそれまでの経緯が少し興味深いところです。
同社は今から3年弱前に、
株式会社KADOKAWAと株式会社ドワンゴの
共同株式移転による純粋持株会社として設立されています。
つまり、
3年前にすでに純粋持株会社へ移行していたということですが、
なぜ今回再び純粋持株会社への移行というカタチになったのでしょうか?
その背景・経緯ですが、
純粋持株会社へ移行してから半年後の平成27年4月に、
子会社であるKADOKAWAとドワンゴが持つ
ゲーム情報に関する事業のリソースとノウハウを純粋持株会社へ集約した結果、
純粋な持株会社ではなく、
ゲーム情報ポータル事業を行う「事業持株会社」として
運営されてきたとのことです。
そして、それから約2年が経ち、
今回、改めて事業持株会社から
純粋持株会社へ移行するという流れとなります。
つまり、
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異なる2社の経営統合
↓
「純粋持株会社」を設立
↓
運営していく中で「事業持株会社」へカタチが変更
↓
事業環境の変化が激しくなってきて
再度グループとしての経営を考えた結果、
「純粋持株会社」へ移行することが適切と判断
↓
事業部分を会社分割で切り離し、
再度「純粋持株会社」体制へ移行
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といった流れとなります。
ちなみに、
今回の純粋持株会社化の目的としては、
以下の3点が掲げられています。
①グループのリソースとノウハウを活かしたシナジー事業や新規事業の積極化
②事業子会社における迅速な事業執行
③持株会社におけるグループの迅速な経営判断の実現
同社の今回の流れの裏を読むと、
このように表現してもよいのかもしれません。
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「事業持株会社」と「純粋持株会社」は別物であり、
グループ経営を考えた場合には、
「純粋持株会社」の方が最適である
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会社によって当然状況は異なりますが、
2度も純粋持株会社化した会社の説得力は
それなりにあるような気がしています。
是非、参考にしてみていただければと思います。