※平成27年8月7日に日本コンベヤ株式会社より適時開示されている「株式移転による持株会社設立に関する方針決定のお知らせ」をもとに情報を整理しています。
内容
株式移転による持株会社設立に関する方針決定
開示概要
●平成28年4月1日を目処に「単独株式移転」により持株会社を設立する方針を決議
●本株式移転は、平成27年12月下旬に開催予定の「臨時株主総会」において
関連議案が承認可決されることを条件に実施
●本株式移転については、今後の取締役会で詳細が決定
●本株式移転に伴い上場廃止となるが、新たに設立される持株会社(完全親会社)の
株式について東京証券取引所への新規上場を申請する予定
持株会社化の背景
●大容量、長距離など各種コンベヤを開発し、それらのプラントを納入することで、
半世紀以上にわたり、大型コンベヤのトップメーカーとして、
国内外における大量輸送の実現、経済 効果の向上に寄与
●コンベヤ部門で培ったノウハウを生かして、昭和63年にはエレベータ式立体駐車装置を開発
●平成18年には日立造船株式会社のパーキングシステム事業を統合した
エヌエイチパーキングシステムズ株式会社を設立
●平成25年には、株式交換によるキャリアスタッフネットワーク株式会社の
子会社化により人材派遣業にも進出
●近年、取り巻く環境は厳しさを増しており、主力事業であるコンベヤ、
立体駐車装置ともに市場は成熟化傾向
持株会社化の目的
●こうした環境下においても、今後さらなる成長を実現していくためには、
①機動的なM&Aによる事業の多角化、
②グループ経営資源の効率的な配分
③競争力、経営戦略機能、各事業の価値創造力の更なる強化
といったことを可能にするグループ企業の再編を含む
体制(ホールディングス経営)の整備が必要と判断
持株会社体制への移行の要旨
●2ステップ移行(株式移転⇒組織再編)
【ステップ1】株式移転による持株会社設立
平成28年4月1日を効力発生日として本株式移転により持株会社を設立することで、
当社は持株会社の完全子会社となる。
【ステップ2】持株会社設立後の体制
持株会社設立後は、組織再編手法等を用いてグループ企業を戦略的に再編し、
企業力強化を図っていく。
※図は同社の開示資料を参考に加工
●会社分割の日程(予定)
①株式移転計画作成等承認取締役会:平成27年10月上旬(予定)
②臨時株主総会基準日公告:平成27年10月上旬(予定)
③臨時株主総会基準日:平成27年10月31日(予定)
④株式移転計画等承認臨時株主総会:平成27年12月下旬(予定)
⑤上場廃止日:平成28年3月29日(予定)
⑥持株会社設立登記日(本株式移転効力発生日):平成28年4月1日(予定)
⑦持株会社株式上場日:平成28年4月1日(予定)
※本株式移転の手続進行上の必要性その他事由により日程を変更する場合がある。
Review
今回の事例は、
株式移転型のホールディングス化事例です。
この手法では、
「株式移転」という手法を使って、
まずは新規の親会社を作ります。
この新規の親会社を
ホールディングカンパニーにする、
という流れになります。
ちなみに、
最もポピュラーなホールディングス化の手法は、
会社分割方式だと思います。
今回の株式移転を活用した
ホールディングス以降の事例は、
おそらく全体事例の2割程度かと推測されます。
(それでも2番目に多い事例だと思います。)
オーソドックスな手法ですが、
上場会社の場合には、
現在上場している会社が子会社に変わるため、
いったん上場廃止になります。
そのうえで、
新たなホールディングカンパニーを
上場会社にするための申請を行うことになります。
その意味で、
少し労力のかかる選択肢になると
思われます。
今回の事例では、
許認可等の兼ね合いもあり、
現在の法人をそのままにしたうえで、
ホールディングス移行する方法を
選択したのかもしれません。
そして、
今回特徴的なポイントを1つ挙げるとすると、
「臨時株主総会」
で承認決議を得る、
という点です。
3月決算の会社なので、
通常であれば、
6月頃に定時株主総会が開催されます。
現在が8月ということを考えると、
約1年後です。
そこまで待たずに、
わざわざコストと手間をかけて、
12月に臨時株主総会を開催し、承認を得る、
ということです。
これには、
2つ理由があるのではないかと思います。
1つは、
定時総会まで待たずに、
早くホールディングス経営に移行したい、
という思い。
そして2つ目は、
翌4月1日の新事業年度の開始日から
ホールディングス移行をしたい、
という思い。
つまり、
定時株主総会のときでは、
事業年度の途中の体制移行になるため、
ホールディングス移行のタイミングが、
・期の途中からになる
・さらに翌事業年度開始日まで待つ
となります。
これでは、
タイミング的にも、
経営管理的にも好ましくない、
という考えはあると思います。
実際のところはわかりませんが、
今回の事例を
臨時株主総会で承認を得る事例として、
参考にされても良いと思います。
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