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【事例】ブックオフコーポレーション株式会社

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※ブックオフコーポレーション株式会社より適時開示されている「単独株式移転による持株会社設立に関するお知らせ(平成30年5月15日)」をもとに情報を整理しています。

内容

持株会社体制への移行

開示概要

●平成30年5月15日開催の取締役会において、
平成30年6月23日開催予定の定時株主総会における承認決議など所定の手続を経た上で、
平成30年10月1日(予定)を期日として、
同社を株式移転完全子会社とする単独株式移転の方法により
純粋持株会社(完全親会社)である
「ブックオフグループホールディングス株式会社」を設立することを決議した。

単独株式移転による持株会社設立の目的と背景

●同社が属するリユース業界を取り巻く環境は、
競合他社による相次ぐ事業立ち上げやフリマアプリに代表される
CtoCサービスやネット型BtoCサービスの拡大等、
様々な要因により急速に変化している。

●そのような環境の中、
書籍・CD・DVD・ゲーム・家電・アパレル・スポーツ用品・ベビー用品・雑貨など
様々なジャンルのリユースを通じた循環型社会の実現のため、
「グループ総合力を活かした仕入の最大化」
ならびに
「店舗ならびにインターネットを通じた最大の販売効率の追求」
を推進している。

●このような状況を踏まえ、今後、
多様化する顧客ニーズへの対応、さらなる業務効率の改善、
国内市場での大幅な競争力アップを実現するため、経営体制を見直し、
変化が著しいリユース業界に対応した事業再編の機動性及び柔軟性を確保すると共に、
スケールメリットを活かした経営を行うことで、
早期の収益安定化ならびに企業価値の更なる向上を目指していきたい。

●上記を実現させるために、
迅速かつ柔軟な経営判断ができる体制を構築するとともに、
グループ各社の採算性と事業責任の明確化を図ることが不可欠と考え、
平成30年10月1日に株式移転により
完全親会社となる持株会社を設立し、純粋持株会社体制へ移行することとした。

●新たに設立する純粋持株会社では、
出店計画や事業モデル開発等の経営戦略策定
及び出店資金の調達や業態開発における人材等の適切な配置を行うことで、
グループ経営資源を適切に配分し、経営の効率化を図っていく。

●なお、純粋持株会社体制への移行は、
平成30年6月23日開催予定の定時株主総会における承認を前提にしている。

純粋持株会社体制移行の手順

●同社を株式移転完全子会社、持株会社を株式移転設立完全親会社とする
単独株式移転によるものとし、次に示す方法により純粋持株会社体制への移行実施予定。

①平成 30 年9月30 日以前

②平成 30 年10 月1日時点
平成 30 年10 月1日(予定)を期日とする本株式移転により持株会社を設立することによって、
同社は持株会社の完全子会社となります。

③今後の予定
グループ会社の再編行為を適宜実施していく予定。

本株式移転の日程

①定時株主総会の基準日:平成30年3月31 日
②株式移転計画承認取締役会:平成30年5月15日
③株式移転計画承認株主総会:平成30年6月23日(予定)
④上場廃止日:平成30年9月26日(予定)
⑤持株会社設立登記日(効力発生日):平成30年10月1日(予定)
⑥持株会社上場日:平成30年10 月1日(予定)

 

Review

今回は「ブックオフコーポレーション」の事例です。

同社のイメージとしては、やはり、
お店としての「BOOKOFF」なのではないでしょうか。

 

同社については、
経常利益ベースではきちんと利益を出していますが、
ここ数年は、毎年のように巨額の特別な損失があり、
最終赤字が続いています。
いろいろと改革を進めているのだと思いますが。

そして、今回は、
3期連続で多額の最終赤字が続いた後のタイミングでの
ホールディングス化ということです。

 

ホールディングス化することで、
ホールディングカンパニーが、
・出店計画や事業モデル開発等の経営戦略策定
・出店資金の調達
・業態開発における人材等の適切な配置
を行うことで、
グループの経営資源を適切に配分し、経営の効率化を図っていく、
との方針とあります。

 

今回のホールディングス化の背景にもありますが、
メルカリ等のCtoC領域でのリユース市場の拡大に
やはり危機感を抱いているのは間違いありません。

CtoC領域が拡大していくことで、
同社にとっての顧客が減少するという側面もありますが、
リユースビジネスでの命である「大量の仕入」
できなくなってくるリスクが大きいものと思います。

 

同社の有価証券報告書等を確認してみても、
BOOKDFFといったメイン店舗のビジネスはきちんと利益を出せている一方で、
古本等の従来からのメイン商材以外の取組みは、
苦戦をしている印象です。

前期決算においても、バグオール事業の方で
多額の減損損失を計上しているようでした。

 

このような背景の下で、
経営体制を改革していきたいという思いが強く、
ホールディングス化という決断になったのだと思われます。

同社の場合、
多店舗展開型、複数ブランド型なので、
もともとホールディングス体制は相性がよいといえますし、
良い決断なのではないかと思います。

 

最後にもう少し同社の今後の方向性を確認すべく、
同社の決算説明会の資料を見てみました。

 

すると、

————————————–
個店を磨く ✕ 総力戦で取り組む
————————————–

といった「中期経営方針」が公表されていました。

 

この要素をもう少し分解すると、
以下のような方針とのことです。

——————————————————–
【個店を磨く】
①中小型店舗の収益維持・向上
②中小型店の仕入力を深める~総合買取窓口の設置~
③複合店舗の出店・収益力向上
④非店舗型サービスの成長

【総力戦で取り組む】
①「ひとつのBOOKOFF」へ
②会員基盤の統合・会員サービス充実
③買取サービスの充実
④販売サービスの充実
⑤買取・販売プラットフォームの構築
⑥ヤフーとの提携事業
——————————————————–

 

このような項目のなかでも
とくに注目したいのが、

「ひとつのBOOKOFF」へ

という項目です。

 

グループ全体で、
いろいろなサービス、コンテンツ、ブランド、顧客数・情報があるのに、
それぞれがバラバラになっている、
といった趣旨の決算説明資料のスライドがとくに印象的でした。

 

そして、そのスライドには

——————————————-
チェーン内でバラバラになっている強みを
合わせることはできないか?
——————————————-

というフレーズがありました。

 

今回のホールディングス化の意図とは、
まさにこの文言に尽きると思います。

 

グループ内の経営資源が、
バラバラに存在していたり、個別最適化している状況を
グループ全体最適の形にもっていきたい。

そして、グループシナジーが発揮されるカタチに変えていきたい。

 

このような思いが強いのだと思います。

 

同社の取組みがどうなっていくのか。
興味深いところです。

 

★★★★★★★
グループ内で
バラバラになっている強みを
合わせることはできないか?
★★★★★★★

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