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【事例】株式会社サン・ライフ

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※株式会社サン・ライフより適時開示されている「持株会社体制への移行及び吸収分割による不動産移転の方針決定に関するお知らせ(平成30年4月17日)」をもとに情報を整理しています。

内容

持株会社体制への移行

開示概要

●平成30年4月17日開催の取締役会において、
平成30年10月1日を目途に持株会社体制への移行
及び吸収分割による不動産移転を実施する方針を決定し、
その本格的な準備を開始することを決議した。

●持株会社体制への移行及び吸収分割による不動産移転については、
平成30年6月25日に開催予定の当社定時株主総会において
関連議案が承認可決されることを条件に実施する。

持株会社体制への移行及び吸収分割による不動産移転の背景と目的

●グループは、連結子会社10社及び持分法非適用関連会社1社で構成され、
地域の顧客、並びに、メンバーズシステム(互助会)事業における
互助会会員を対象として
・ホテル・ブライダル事業
・葬祭・法要事業
・介護事業
・これらに付随するその他のサービス
等を行っている。

●グループを取り巻く環境は、
急速に進む少子高齢化、人口減少等と同時に、
顧客の価値観の変化によるライフスタイル・ニーズも多様化している。

●このような中、グループが一層の企業価値の向上を図るには、
機動的かつ柔軟な経営判断を可能とする体制のもと、
変化する顧客ニーズを的確に捉え、さらなる顧客満足度の向上、
新たな市場・顧客開拓を展開していくことが必要と考え、
本株式移転による持株会社体制へ移行する方針を決定した。

●なお、本株式移転に伴い、同社株式は上場廃止となるが、
新たに設立される予定の持株会社(完全親会社)の株式について、
東京証券取引所JASDAQ市場への新規上場申請する予定である。

●また、同社は、
各事業拠点の不動産の保有形態を賃貸借形態に統一することによって、
各事業拠点の損益状況を明確に管理し、
更なる経営効率の改善を図っていく。

●そのため、同社が保有する不動産を、
研究事業を営む連結子会社の株式会社トータルライフサポート研究所に
吸収分割の手続に基づいて移転する方針を決定した。

持株会社体制への移行及び吸収分割による不動産移転の方法

●持株会社体制移行及び吸収分割による不動産移転の方法の具体的な移行スキーム
及びその他詳細については、今後取締役会で決定していく。

持株会社体制への移行・吸収分割日程

①持株会社体制への移行・吸収分割に関する取締役会決議:平成30年5月中旬(予定)
②定時株主総会における承認:平成30年6月25日(予定)
③持株会社体制への移行・吸収分割効力発生日:平成30年10月1日(予定)
④ホテル事業を新設分割手続等により分社化&子会社を持株会社の子会社として再編:時期未定

 

Review

今回は「サン・ライフ」の事例です。

同社の基本経営理念は、
「ライフステージ全般の事柄について地域の皆様が
 充実した生活を送れるよう貢献すること」
とあります。

この理念の通り、
グループ各社を通じて、
ライフステージ全般のサービスを提供している
グループ経営の会社になります。

 

同社では、顧客の価値観の変化によって
ライフスタイル・ニーズも多様化しているなかで、
グループ企業価値の向上を図るには、
「機動的かつ柔軟な経営判断を可能とする体制」
が不可欠との思いのもと、
今回のホールディングス化となります。

 

今回のホールディングス化ですが、
以下の通り段階的に実施する感じのようです。

 

 

上記のように、
上場会社の場合、少し使いづらい「株式移転方式」を採用しているうえに、
同時に「不動産」の位置づけについても整理して、
会社分割で移転していることを考えると、
手続き的にもいろいろと煩雑な組織再編になっていると思われます。

 

確かにグループ組織デザインを
整理したくなるステージではあると思いますが、
このような煩雑なプロセスを経てまでホールディングする背景が
あまり開示情報からは見えてこなかったため、
別途、定時株主総会の決算説明資料を確認してみました。

すると、以下のような説明(図)がありました。

 

※同社の定時株主総会資料より転載

 

つまり、この上図からすると、
子会社の完全並列化は第1ステップであり、
この後の流れとしては、
「事業分野ごとのグループ化」や「地域ごとのグループ化」
といったあたりも見据えている印象です。

いろいろと検討していく中で、
まずは、いったん

——————————-
グループ全事業の完全並列化
——————————-

することから始めた、ということですね。

 

ちなみに、同社のセグメント損益を見てみると、
「式典事業」
が圧倒的な事業の柱のようでした。

おそらく親会社が、
この「式典事業」を運営していると思いますが、
このメイン事業(親会社)だけに頼らず、すべての事業を成長させていくためには、
この「式典事業」も含め、すべての事業をいったん並列化して、
グループ経営体制を再構築していこうとしたのではないかと推測されます。

 

今回のホールディングス化の背景・目的として、
機動的かつ柔軟な経営判断を可能とする体制にすることで、
・変化する顧客ニーズを的確に捉える
・さらなる顧客満足度の向上を目指す
・新たな市場・顧客開拓を展開していく
といったことを取り組む方向性とありました。

そのためには、事業を完全並列化した後の
今後のグループ組織デザイン変更のステップとして
「事業分野ごとのグループ化」
「地域ごとのグループ化」
が必要になってくると考えているのではないかと感じました。

 

今後、同社のグループ組織デザインが
どのように変化していくのか、興味深いところです。

 

★★★★★★★
メイン事業に頼らない体制としての
ホールディングス化
★★★★★★★

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