ホールディングス経営において、
各子会社から情報をきちんと吸い上げることが
とても重要なテーマになります。
(詳細はVol.37もご参照ください)
これは、ホールディングカンパニーの腕の見せ所です。
但し、各子会社の情報をきちんと吸い上げても
連結グループ経営として上手く活用できなければ、
意味がありません。
つまり、ホールディングカンパニーは
各子会社から適切な形で情報を吸い上げるとともに
各子会社の情報を「集約する力」も
求められるのです。
ホールディングス経営に限らず、
連結グループ経営においては、
この「集約する力」次第で、
経営の質が変わってくると考えています。
それでは、
この「集約する力」とはどのような力でしょうか?
いろいろな答えはあるかもしれませんが、
私が考える「集約する力」の基本は、
「横串力」
だと考えております。
つまり、各社の情報を横に並べて、
比較をするという力です。
連結グループ経営において、
各社の情報を並べて比較することは、
とても有効な作業です。
とくに「数値情報」については、
横串で比較すると、
グループ全体のことが、よくわかります。
当たり前と思われるかもしれませんが、
横串できちんと情報を整理するには、
情報を吸い上げる時点で、
経営者としてのきちんとした意志をもって
吸い上げなければ、
横串にすることも簡単ではありません。
そのため、
ホールディングス経営においては、
・情報の吸い上げ力
・情報の横串力
がセットで重要な能力となるのです。
それでは、
なぜ数値情報を横串にすると良いのでしょうか?
それは、
数値情報というものは、
1つの数値だけでは意外と読み取ることが
難しいからです。
たとえば、
ある1つの事業の数値を見たときに、
それが良いか悪いかの判断をするのは
意外と難しいものです。
なぜかというと「判断基準」がないからです。
黒字or赤字といったレベルのことは
すぐに判断ができるかもしれません。
但し、経営者としては
1つの「数値」から
赤字とか黒字とかといった程度の情報だけでなく、
あらゆる情報を読み取る必要があります。
そのためには、
「判断基準」を持つことはとても大切な視点です。
そして、
この「判断基準」の役割を担うのが
「横串」にされた横にある情報なのです。
経営者として知りたい各子会社の指標数値を
横串にして比較することで、
自然と横にある数値が比較対象となります。
1つの数値だけでは判断が難しいのですが、
比較対象になる数値があると、
意外と良し悪しの判断ができるようになるものです。
このように数値情報を「横串」にすることで、
連結グル―プの全体を読み取ることが
できるようになるのです。
さらには、
この「横串」による分析・判断を続けていると
自然と「自分なりのモノサシ」も出来上がってくるのです。
つまり、
経営者としての「自分なりの経営判断基準」です。
この「自分なりのモノサシ」をつかむことができれば、
経営者としてのレベルが格段に上がるはずです。
最後に少しまとめてみたいと思います。
ホールディングス経営を目指す経営者として
意識していただきたいのは、
①自分が知りたい子会社情報を見やすいフォーマットで吸い上げる仕組みを作る
②吸い上げた子会社情報を横串にする仕組みを作る
③自分なりの経営判断用の「モノサシ(=判断基準数値)」を作る
ということになります。