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Vol.120 ホールディングカンパニーにはどこまで業務を残すべき?

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グループ経営の形を
ホールディングス経営に移行する際に
悩むことがあります。

それは、
ホールディングカンパニーに
どこまでの業務を残すべきか、
という点です。

一般的には、
ホールディングカンパニーには、
グループ統括機能を
持たせることになるかと思いますが、
それに付随して、
どこまでの業務を持たせるべきなのでしょうか?

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いろいろな事例を見る限り、
会社によって様々な形がある、
という印象です。

たとえば、
グループ統括機能、経営管理機能、
といった機能だけ
ホールディングカンパニーに残す事例。

また、
グループ統括機能、経営管理機能に加え、
経理機能、人事総務機能、システム機能、
といった管理部門機能まで
ホールディングカンパニーに持たせる事例。

さらには、
商品部機能といったものまで
ホールディングカンパニーに持たせる、
といった事例もありました。

それぞれの会社で
それぞれの思いがあって出来上がった
ホールディングス経営のデザインです。

一概に、
「この形がベスト」
といったものは無いはずです。

組織風土や
経営者のマネジメントスタイルによって
デザインは変わります。

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ただ、
個人的に1つの思いがあります。

ホールディングカンパニーが
グループを統括していくためには、
「グループ各社の情報が集まってくる仕組み」
の構築が不可欠であり、
そのために最適な組織デザインを検討するべき、
だということです。

つまり、
ホールディングカンパニーに
グループ情報が集まってくるためには、
どこまでの機能を
ホールディングカンパニーに持たせるべきか、
という視点で考えてみてはいかがでしょうか?

そして、
情報が集まる仕組みを構築しようとした場合に、
ともて有効だと考えるのが、
「シェアードサービス機能」
です。

グループの間接部門等を
グループ内で共有することで、
業務や情報を集中管理する機能です。

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ホールディングス化している企業でも、
このシェアードサービス機能を
グループデザインのどこかに
埋め込んでいる事例も多く見かけます。

シェアードサービス機能に特化した
子会社を作る事例。

ホールディングカンパニーに
シェアードサービス機能も持たせる事例。

どちらのデザインもあり得ますし、
どのようなデザインがベストであるかは、
最終的には経営者が決めていくべきものです。

1つ言えるのは、
グループデザインのどこかに
「シェアードサービス機能」を埋め込んで
いただくのが良いと思っています。

一般的に、シェアードサービスは、
コスト削減を軸として議論されることが多いです。

ただ、私としては
このシェアードサービスを
たんなるコスト削減を軸にした議論で終わらせるのは
もったいないと思っています。

シェアードサービス部門には、
経営にとって重要な情報が
自然と集まってくるものです。

シェアードサービスの
このような特性を戦略的に活用して、
「シェアードサービス部門
=経営のための基礎情報を集め、
加工し、利用できる形にする組織」
として構築していくのが
理想的だと考えています。

そう考えると、
ホールディングカンパニーに
近い位置にシェアードサービス機能を設けておくことが、
効果的に機能すると思います。

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また、
シェアードサービス部門が
苦労せず情報を集められるカタチを
意識するのも大切です。

とくに間接部門の地位が
比較的低く見られがちな組織風土がある場合には
要注意です。

見下されるような立場にあっては、
大切な情報も集まりにくくなります。

そのような場合には、
親会社であるホールディングカンパニーの中に
シェアードサービス機能を取り込んでおく方が、
効果的に機能してくれるケースもあります。

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今回のテーマについて、
決して唯一の正解はありません。

但し、
ホールディングス化する場合には、
「シェアードサービス機能のグループ内ポジショニング」
について、
是非意識をしていただきたいところです。

参考記事

●「Vol.32 ホールディングス × シェアードサービス=?

●「Vol.67 グループ会社の情報が「集まる」仕組みへ

 

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