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Vol.39 ホールディングスで「グループ組織知」づくり

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グループ経営において、
出来の良い子会社と、そうでない子会社が
出てくるものです。

これは、業績的にもそうですし、
管理状況においてもそうです。

ある程度は仕方ないことですが、
この状態は放っておくのは好ましくありません。

親会社であるホールディングカンパニーが
きちんと各子会社を指導・教育していき、
各社のレベルの底上げを図っていく必要があります。

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そのうえで重要な視点は
「横展開」
です。

ホールディングカンパニーは
各社から吸い上げたあらゆる情報を集約する場所ですので、
グループ会社内のあらゆる「知」が集まることになります。

各子会社それぞれに良い面、悪い面はあると思いますが、
いずれにしても、
「成功事例」
「失敗事例」
という形で、
きちんと「グループ組織知」に変換しておくことが重要です。

そうすれば、必要に応じて、
その「グループ組織知」を各子会社に共有できます。

つまり、
成功事例はきちんとパッケージ化して横展開し、
失敗事例は、そこからの学びを共有する、
という仕組みを作ることが重要です。

この仕組みを作ることができるのは、
すべての情報が集まってくる
ホールディングカンパニーだけです。

ホールディングカンパニーは
各社の情報をただ受け身的に処理するのではなく、
常に「グループ組織知」に変換していくことを、
意識しておくことが大切な心構えです。

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おそらくホールディングス経営に移行した多くの会社は、
このようなホールディングカンパニーの役割に
期待をしているのではないかと思います。

但し、理屈ではわかっていても、
現実問題として、実務に落とし込むには
大変だと思われる経営者は多いと思います。

仮に経営者が
「グループ組織知を作って、横展開を!」
と号令をかけても、
その下で実働する社員は、
どうすればよいかわからず前に進んでいけない、
という状況も容易に想像できます。

正直、すべての会社に当てはまるような
よい解決策はないと思います。
事業構造や組織風土も異なりますし。

こういったような前に進めないときは、
とりあえず
「形から入る」
という姿勢が効果的なような気がしています。

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たとえば、
・グループ各社のキーマンが集まる会議を定期的に開催する
・事例共有用のグループ内サイトを作る
・週1回の社内メルマガを配信することにする
・事例紹介の社内研修を設ける
等々。

グループ社員を巻き込む「形」を作る、ということです。

最初から
「効果的な1つの手法が見つけよう」
と思うと、結構大変です。

何でもよいので、いろいろやってみて、
その中から組織に合った最適なやり方を確立していく、
というくらいの発想が重要なのだと思います。

それは1つだけでなく、
いろいろな手法の組み合わせになるかもしれません。

理論的には、
ホールディングカンパニーが連結グループの頭脳として、
リーダーシップを発揮し、
最適な方法を見つけられればよいのですが、
現実には、すべてを思い通りにコントロールするのは不可能です。

少数の社員だけで全体を変えようと思うのは
とても難しいものです。

結局、組織は人で成り立ち、
その社員が組織風土・価値観を創り出しています。

多くの社員が協力してくれてこそ成り立つことが多いです。

そのため、
まずは「形」からでも良いので、
グループ社員を巻き込む仕組みを作り、
そのなかで、逆に社員から「正解の仕組み」を教えてもらう、
というぐらいの気持ちで取り組んでも良いと思います。

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最初は、
「そんなことやっても意味が無い」
「時間が無い」
といった反応の社員も実際には多いかもしれません。

但し、ここであきらめていては
小さな会社や中小企業が強くなって、
企業成長していくことはできません。

会社を強くし、企業を成長させ、永続させるためには、
連結グループ経営の「仕組み」を
どこかのタイミングで作らなければいけません。

このような
社員の後ろ向きな発言や姿勢があるときこそ、
経営者の登場です。

経営者にしかできない役割があります。

経営者は、強いリーダーシップを発揮し、
社員を強制的にでも巻き込んでいく雰囲気を作ってください。

そのような力を持つのは、
結局、経営者だけですので。

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