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Vol.227 子会社への「クラウド会計」導入から始めるグループ業務改革

  • 2021.7.22
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月次連結決算

グループ全体ベースで経営判断をするために
月次連結決算の仕組みを作ることも親会社の役割の1つです。

但し、現実的には、
月次連結決算のタイムリーな運用は、
意外とできていない会社が多いのではないでしょうか。

 

今の時代は「やるべきこと」が多すぎるわりに、
子会社に人材の余力はなく、
本来はやるべきだとわかっていても、
やりきれないという状況が多いと思います。

一方で、親会社やホールディングカンパニーで、
子会社の業務受託をしてシェアードサービス機能を提供しようと思っても
親会社も同様に余力がないという状況で、
限られたリソースをどのように活用するかが問われています。

 

結局、月次連結決算どころではない、
というのが多くのグループ経営の状況だと思います。

 

このような状況において、
親会社やホールディングカンパニーとして
何か良い解決策はあるのでしょうか?

 

画期的な「クラウド会計」

やるべき業務を実施するためには、
業務全体を効率化して、
リソースを確保していく必要があります。

このような状況で是非お勧めしたいのが
「クラウド会計」
です。

 

歴史ある上場会社や大会社では
クラウド会計はほとんど導入されていないと思いますが、
中小企業や新規上場の会社ではクラウド会計の利用シェアが確実に増えています。

 

クラウド会計としては具体的には、
・マネーフォワード
・freee
のどちらかになると思います。

個人的には「マネーフォワード」派ではありますが、
どちらが良いかは好みや相性もあると思いますし、
クラウド会計の仕組みとしてできることは、
どちらであってもベースの部分はそれほど変わらないと思います。

 

このような「クラウド会計」は、本当に画期的なツールです。

私は初めて「クラウド会計」に触れたのが2015年くらいだった気がしますが、
初めて知った瞬間から一瞬で虜になりました。

とはいえ、当時はまだまだ中小企業向けのサービスという印象でしたが、
ここ最近のデジタル化のトレンドのなかで、クラウド会計業界も進化し続けていて、
最近では、中規模以上の会社にもフィットするような形になってきました。

 

本来は、業務フローのことをいろいろ考え続けている上場会社こそ
「クラウド会計」の素晴らしさや世界観、機能性についての価値を理解でき、
導入を進めたくなるはずだと思っています。

ただ現実的には、上場会社とお話をすると、
中小企業で導入が進んでいる「クラウド会計」について
ほとんどご存知でないことが多いです。

クラウド会計の存在自体も知らなかったり、
聞いたことがあっても自社には関係が無いと思っていたり、
といった印象です。

 

個人的には、このような状況をうけて、
「上場会社も早くクラウド会計を全面的に取り入れればよいのに」
「大企業においてもクラウド会計を活用しないなんてもったいないな」
と感じたりしています。

逆に考えると、中小企業にとっては、
大企業が「クラウド会計」の良さに気づく前に、
いち早く「クラウド会計」をフル活用して、
低コストかつ効率的な業務フローを構築することで、
大企業に対して優位に立てるチャンスともいえると思います。

 

規模の小さなグループ経営の現場であれば、
早期にクラウド会計をフル活用して、
業務効率を高めていただきたいと思っています。

 

大きな会社の事情

大きな会社や歴史ある上場会社は、取引も複雑だったり、
いろいろな独自の業務システムと連動しながら会計システムも構築していることも多いので、
会計システムを変更するのは容易ではないことは理解できます。

また、クラウド会計も、まだ発展途上の部分もあるので、
機能的にそのような大会社では物足りない部分もあると思います。

 

但し、大企業や上場会社とはいえ
子会社となると状況は異なると思っています。

それほど規模の大きくない子会社の場合、
親会社が使っているような大掛かりなシステムを統一的に導入することは、
オーバースペックになるケースも多いと思いますが、
それでも、グループ方針として小規模子会社にも
親会社と同じシステムを導入しているケースも見かけます。

とはいえ、規模の小さな子会社にとっては、
親会社と同じ仕組みを入れても、
複雑になったり、効率が悪くなったり、コストが高くなったりするだけです。

 

そう考えると、割り切って、
小規模子会社については「クラウド会計」を利用するという考え方は、
グループ全体にとっても良い選択だと思っています。

グループ会社の規模や状況に応じて、
最適な会計システムを使いこなすことこそが、
リソースの限られた現状において重要な経営判断になると思います。

 

クラウド会計で業務フロー改革

最近の「クラウド会計」は、
いろいろなことできて、とても便利です。

 

たとえば会計ソフトとしては、
限りなく手入力が不要になって、自動化が図れます。

あらゆるデータを自動で取得してくれて、
科目とかもAIが学習しながら判断してくれているので、
人がやることは最終確認してボタンを押すだけ、
といったところまで持っていくことができます。

タイムリーかつ効率的に数値作成ができます。

 

また、会計ソフトとして自動化・効率化ができるというのは、
クラウド会計の1つの側面であり、実は、その本質には、
社内のあらゆる業務とデータを自動連携をして、
会社全体の業務を一気通貫でつなげていけるというメリットがあります。

つまり、
・業務改革
・業務標準化
・業務効率化
・デジタル化
・自動化
といったことをセットで取り組めるツールなのです。

 

 

たとえばマネーフォワードの資料では、
以下のような図でその世界観を示しています。

マネーフォワード社の決算説明資料より引用

 

上図の通り、
————————————————-
これまで大会社が実現してきていたERPの世界観を、
中小企業において低コスト、かつ、シンプルに構築できる
————————————————-
というメリットがあるのです。

 

また、これからの主流になるであろう電帳法対応の業務フロー作り
業務のデジタル化&自動化を自然と意識した設計になっているので、
その点でも時代の流れにも合っていると思います。

そして何より、
人材不足の子会社においては願ってもないツールであり、
クラウド会計利用により、業務のスピードが格段にあがり、
グループ経営のスピード感も当然上がってきます。

 

諸外国と日本の「クラウド会計」の現在地

少し話がそれますが、
ここでお伝えしていることについて、
客観的なデータも紹介しながら、確認をしてみたいと思います。

現在、あらゆる業務がクラウド化したりしているなかで
会計システムについても同様である、というのが大きな流れではありますが、
日本の状況は諸外国と比べてどのような感じなのでしょうか。

 

以下資料にある通り、
諸外国ではクラウド会計の普及率は、
日本と比べて圧倒的に進んでいます。

フリー社の決算説明資料より引用

 

上図からわかることは、
今はまだ日本のデジタル化が遅れているだけで、
いずれ諸外国の水準に追いついていくトレンドであるのは間違いありません。

 

中小企業においては、
いち早く、このトレンドに乗ってきているというのが日本の現状だと思いますが、
今後さらに大企業グループもこのトレンドに乗ってくると、
普及率も格段に進んでいくと思います。

 

事例:野村ホールディングス

中小企業や、IPOを目指す会社の規模では、
すでにクラウド会計の比率が高まっていて、
大企業より業務効率の高い仕組みを実現しています。

世の中のデジタル化の流れもありますし、
大企業、上場会社でも「クラウド会計」全盛自体がいずれ来ると思いますが、
その先駆けとして「野村ホールディングス」の事例について
今回はご紹介をさせていただきたいと思います。

 

同社グループは売上高1兆円超の規模で、
グループ会社も30社程度はある大企業グループですが、
数年前より、グループ子会社の多くについて
クラウド会計を導入する形で舵を切ったとのことです。

同社グループ関係の記事から抜粋をして、
以下に簡単にエッセンスをご紹介させていただきますと、

————————————————————————–
・コーポレート・デザイン・パートナーズは、
 2019年8月に設立された野村ホールディングスの100%子会社である

野村ホールディングス本社が従前担っていたグループ会社への
 経理サービス提供、および業務構築に関するコンサルティングを行なっている

・国内だけでもおよそ30のグループ企業がある

・グループ企業の業種は、コアビジネスである金融関連から
 農業関連まで多種多様で、企業規模もまちまち

小規模なグループ企業では、
 バックオフィス全般を1人でこなしているケースもあって、
 概して経理の専門人材が社内にいない

・このような小規模グループ企業では、
 タイムリーな情報収集や大規模なシステム導入などへの対応に課題があった

・これらの課題の解決策として、グループ経理業務の集約を進めた

・グループ企業は、経理に関する業務の全てを
 コーポレート・デザイン・パートナーズに委託

・コーポレート・デザイン・パートナーズでは、
 委託された業務を単に集約するのではなく、
 集約した業務を標準化し、
 クラウド会計システムや各種テクノロジーを利用して、
 極力人を介さない業務モデルを構築
————————————————————————–

といったような取組状況のようです。

 

上記について参考にした記事はいくつかあるのですが、
一般的にインターネットで確認できる情報としては、
以下がありますのでご参考までに。
https://www.uipath.com/ja/blog/corporate/finance-and-accounting-user-group

 

子会社へ「クラウド会計」を導入することで、
改革を進めていったということです。

 

ホールディングカンパニーとしてやるべきこと

グループ経営において、
親会社やホールディングカンパニーの役割として、
子会社の業務をどれだけシンプル&効率化の支援ができるかが重要です。

子会社に対して、やるべきことを指示したり、
付加価値の高い業務を増やしたりする前に、
不要な業務を削減・効率化してあげる必要があります。

重要な業務への割くリソースを確保できませんので。

 

そして、そのための入り口として、
子会社への「クラウド会計」導入は、
とても効果的な手法だと考えています。

私自身もクライアントのうち上場会社以外に会社については、
ほとんどの会社でクラウド会計の「マネーフォワード」へ移行してもらいました。

クラウド会計というツールは、
グループ経営の場面でも、
きっと大きな威力を発揮してくれるはずです。

 

なお、先ほどご紹介した野村グループの
「コーポレート・デザイン・パートナーズ社」は、
——————————————————–
グループ会社の財務・経理機能の
集約・標準化事業を分社化し、に設立された会社
——————————————————–
とのことです。

 

また、同社のHPでは、
「当社では単に財務・経理業務を集約するのではなく、
 業務の標準化をコア技術として、
 先進的なクラウド会計システムや各種テクノロジーを利用して
 極力人を介さない財務・経理業務モデルを構築している」
との説明がされています。

リソースの少ない子会社に対して、
—————————————
①シェアードサービス的に子会社業務を集約
②集約した子会社業務を標準化
③クラウド会計システムを利用して自動化
—————————————
という改革を行ったということです。

 

このような子会社への支援や、グループ全体の仕組み作りこそ、
ホールディングカンパニーとして積極的に実施していきたい取組ではないでしょうか。

 

まずは規模の小さめの子会社から
クラウド会計を導入して仕組み作りをしていくなかで、
数年後には、大規模会社でもクラウド会計を利用できるくらい
「クラウド会計」自体の利便性も上がると思います。

そのときには、親会社も含めたグループ全体で
クラウド会計で業務フロー改革をすすめていく、
ということもできると思います。

 

そのためにも、まずは規模の小さな子会社、
リソースの限られている子会社から徐々に
クラウド会計化を進めていってはいかがでしょうか?

一度利用したら、便利過ぎて手放せなくなると思います!

 

 

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