前回までの復習
今回も、
前回からの続きとなります。
前回までは、
●経営指導料等の「親子間役務提供」が認められる場合とは?
●考え方として「移転価格」の規定が1つの参考になるのでは?
●そこで、「移転価格事務運営要領」を確認してみる。
●「(企業グループ内における役務の提供の取扱い)2-9(1)」の文章を確認。
●そこには「グループ内役務提供」の判断ポイントの記載あり。
●役務提供には「利用可能な状態」の維持も含まれる。
という流れでした。
詳細は、
「【研究】 経営指導料のポイントを「移転価格制度」を参考に考察①」
「【研究】 経営指導料のポイントを「移転価格制度」を参考に考察②」
の内容をご確認いただければと思います。
今回はこの続きとして、
「移転価格事務運営要領」のなかの
「(企業グループ内における役務の提供の取扱い)2-9(3)」
について確認をしていきたいと思います。
グループ内役務提供に該当しない2つの活動とは?
まずは、
「移転価格事務運営要領」のなかの
「(企業グループ内における役務の提供の取扱い)2-9(3)」
の文章を最初に見てみたいと思います。
ここでは、
ざっと読み流していただいても
問題ありません。
—————————————————–
(3)法人が国外関連者に対し行う(1)の活動が、
役務の提供に該当するかどうかを検討するに当たり、
次に掲げる活動は国外関連者にとって
経済的又は商業的価値を有するものではないことに留意する。
イ 法人が国外関連者に対し、
非関連者が当該国外関連者に行う役務の提供
又は当該国外関連者が自らのために行う
(1)の活動と重複する活動を行う場合における当該重複する活動
(ただし、その重複が一時的であると認められる場合、
又は当該重複する活動が事業判断の誤りに係るリスクを
減少させるために手続上重複して行われるチェック等
であると認められる場合を除く。)
ロ 国外関連者に対し株主としての地位を有する法人が、
専ら自らのために行う株主としての法令上の権利の行使
又は義務の履行に係る活動(以下「株主活動」という。)で、
例えば次に掲げるもの
(イ)親会社が実施する株主総会の開催や株式の発行など、
親会社が遵守すべき法令に基づいて行う活動
(ロ)親会社が金融商品取引法に基づく
有価証券報告書等を作成するための活動
(注) 親会社が子会社等に対して行う
特定の業務に係る企画、緊急時の管理、技術的助言、
日々の経営に関する支援等は、
株主としての地位を有する者が
専ら株主として自らのために行うものとは認められないことから、
株主活動には該当しない。
また、親会社が子会社等に対する投資の保全を目的として行う活動で、
かつ、当該子会社等にとって経済的又は商業的価値を有するものは
役務の提供に該当する。
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いかがでしょうか?
長文なので読みづらいのではないかと思います。
そこで、この文章を
「親会社」「子会社」という単語に置き換えて、
趣旨が変わらないように
かみ砕いてみたいと思います。
まず、
—————————————————–
親会社が子会社に対し行う活動が、
「役務の提供に該当するかどうか」
を検討するに当たり、
下記の2つの活動は子会社にとって、
「経済的又は商業的価値を有するものではない」
ことになる。
—————————————————–
との内容が伝えられています。
ここでいう「役務提供に該当しない」2つの活動とは、
——————————————–
①親会社が子会社に対し、
・外部の会社が子会社に行う役務の提供
・子会社が自らのために行う活動
と重複する活動を行う場合における「重複活動」
②子会社に対し
株主としての地位を有する親会社が、
専ら自らのために行う
・株主としての法令上の権利の行使
・義務の履行に係る活動
といった「株主活動」
——————————————–
ということです。
つまり、ポイントは、
—————————————
グループ内の役務提供とは認められない活動として、
●「重複活動」
●「株主活動」
の2つの活動がある
—————————————
ということです。
この2つのポイントは、
グループ内の経営指導料等の
親子間役務提供を検討する際の
参考になるのではないかと思います。
重複活動についての留意点
上記の「グループ内役務提供」に該当しない
●「重複活動」
●「株主活動」
の2つの活動に関しては、
具体例や注意点が挙げられていますので、
ご紹介をしておきたいと思います。
まず「重複活動」の方からです。
<重複活動に該当しない活動>
以下のような重複活動は、
ここでいうところの「重複活動」からは
除外されるとのことです。
つまり、
以下のような重複活動は、
「役務提供に該当する」
ということです。
それはどのような活動かというと、
●重複が一時的であると認められる重複活動
●事業判断の誤りに係るリスクを減少させるために
手続上重複して行われるチェック等の重複活動
です。
これらの具体例等から推察するに、
—————————————-
意味のある重複活動 ⇒ グループ内役務提供として認める
無意味に実施される重複活動 ⇒ グループ内役務提供とは認めない
—————————————-
ということを
規定しているのではないかと思います。
株主活動についての留意点
次に、
「株主活動」についても
ご紹介したいと思います。
具体例と留意点が挙げられています。
<株主活動の具体例>
グループ内役務提供に該当しない
「株主活動」の具体例としては、
以下のような例が挙げられています。
●親会社が実施する
株主総会の開催や株式の発行など、
親会社が遵守すべき法令に基づいて行う活動
●親会社が金融商品取引法に基づく
有価証券報告書等を作成するための活動
<株主活動に該当しない活動>
以下のような株主活動は、
ここでいうところの「株主活動」からは
除外されるとのことです。
つまり、以下についは、
「役務提供に該当する」
ということです。
親会社が子会社等に対して行う
・特定の業務に係る企画
・緊急時の管理
・技術的助言
・日々の経営に関する支援
といった活動
以上です。
いかがでしたでしょうか?
親子間の経営指導料等の
グループ内役務提供を検討する際には、
———————–
●「重複活動」ではない
●「株主活動」ではない
———————–
ことを明確にしておくことが望まれます。