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【事例】株式会社 アインファーマシーズ①

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※平成27年6月24日に株式会社アインファーマシーズより適時開示されている「持株会社体制への移行、吸収分割契約の締結、定款及び商号変更並びに子会社(分割準備会社)の設立に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

会社分割による持株会社体制への移行
分割準備子会社の設立
商号及び定款の変更

開示概要

●平成27年11月1日(予定)を効力発生日とし持株会社体制へ移行

分割準備会社として完全子会社を設立すること

経営管理部門を除く一切の事業を分割準備株式会社に吸収分割すること

●株主総会の承認が得られることを条件に実施。

持株会社化の背景

●調剤薬局「アイン薬局」の全国チェーン及び都市型ドラッグストア「アインズ&トルペ」の
全国主要都市への展開をしている

●調剤薬局事業は、全国のグループ 764 店舗が、地域社会から求められる保険薬局として、
ジェネリック医薬品の推進、在宅調剤を中心とした医療連携、24時間対応等、
地域に密着した医療サービスを提供

●出店戦略においては、新規営業開発のほか、M&Aを積極的に活用し、
事業規模の拡大とともにスケールメリットを追求

●昨今の調剤薬局を取り巻く事業環境の変化に伴い、M&A案件数は増加傾向
直前3事業年度においては、合計39社が株式譲受により当社グループとなっている。

●物販事業は、ドラッグ&コスメティックの専門性を高め、オリジナリティを重視した出店、
既存店改装を強化するとともに、新たに「アインズ&トルペ」をキーテナントとする、
美と健康に特化した複合型商業施設の開発を進めている。

持株会社化の目的

グループとして、
・調剤薬局事業における新規出店
・M&A等事業展開の加速
・「かかりつけ薬局」としての薬局機能の充実
・都市型ドラッグストアの規模拡大
により、さらなる成長を目指している。

そのためには、
以下が必要と判断し、持株会社体制への移行を決断。

<目的>
①各セグメントにおけるグループ各社の権限と責任の明確化と経営の自主性を推進
(⇒グループとして企業競争力の強化を図ること)
②グループ経営管理と業務執行の分離によるコーポレート・ガバナンスの向上
(⇒企業価値の継続的な向上を実現する最適な手法)

持株会社体制への移行の要旨

●吸収分割方式
吸収分割の効力発生日から円滑に事業を開始するため、
吸収分割に先立ち、100%出資する分割準備会社を設立した上で、
当社を分割会社とし、分割準備会社に事業を承継させる吸収分割を行う。

●会社分割の日程(予定)
①分割準備会社設立及び吸収分割契約締結承認取締役会(当社):平成27年6月24日
②分割準備会社設立:平成27年6月24日
③吸収分割契約締結(当社及び本分割準備会社):平成27年6月24日
④吸収分割契約承認株主総会(当社及び本分割準備会社):平成27年7月30日(予定)
⑤吸収分割の効力発生日:平成27年11月1日(予定)
⑥商号変更日(当社及び本分割準備会社):平成27年11月1日(予定)

新設会社の概要

●事業内容:調剤薬局及びドラッグストアの経営等
●資本金:10百万円
●設立年月日:平成 27年6月24日
●決算期:4月 30 日
●大株主及び持株比率:㈱アインファーマシーズ 100%

 

Review

調剤薬局の業界で、
業界再編が起きていることは
よく耳にします。

今回のアインファーマシーズの
開示内容を見ても、
業界の状況は明らかです。

ホールディングス経営への移行の背景には、
「直前3事業年度においては、
合計39社が株式譲受により当社グループとなっている」
と記載がされていました。

平均すると、
1年で13社が新たにグループ会社に
なっていっているという状況です。

この数は尋常ではありません。

早速、
平成26年4月期の有価証券報告書を
確認してみました。

すると、
連結の範囲の注記のところに
以下のような記載がありました。
————————————————————
当連結会計年度において株式取得により
連結子会社となりました調剤薬局事業会社13社は、
当連結会計年度から連結の範囲に加えており、
うち、株式会社エム・ビイにつきましては、
平成25年7月に株式会社アイン上越との合併により、
また、有限会社さくら薬局につきましては、
株式会社アインメディオとの合併により、
消滅しております。

また、
平成25年11月に
株式会社ダブルエイト及び有限会社さとし会ハセガワ薬局、
平成26年2月に静岡調剤株式会社、
平成26年4月に株式会社シティファーマ、
株式会社古賀調剤薬局、有限会社サプトルカ調剤薬局
及び株式会社八重山ファーマシーは
それぞれ当社との合併により、
消滅しております。

このほか、
子会社間の合併により、
調剤薬局事業会社5社が消滅しております。
————————————————————

いかがでしょうか?
相当なグループ再編ぶりです。

おそらく今後も、
グループ会社の増加が続くものと推測されます。

このような状況のなかで、
しっかりとした連結グループ経営を実施していくには、
持株会社化の目的にも記載があった、
①グループ各社の権限・責任の明確化と経営の自主性の推進
②グループ経営管理と業務執行の分離
が不可欠というのは、
妙に納得してしまいました。

年間に10社以上の会社を受け入れていくなかで、
グループ各社が自主性を持たずバラバラに動き出したら、
グループ経営が破たんしてしまいます。

今後、グループの舵取りをしていく、
ホールディングカンパニーの役割は、
とても重大なると思われます。

個人的には、
これまでの事例とはまた違う意味で、
興味深い事例となりました。

ホールディングス移行により、
上記の目的が達成できるのか。
今後も引き続き同社の動向を
チェックしていきたいと思います。

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