これまでに
いくつかのホールディングス化の事例を
掲載してきました。
本の一部ではありますが、
たとえば、
【事例】株式会社 幸楽苑
【事例】不二製油 株式会社
【事例】株式会社 永谷園
【事例】株式会社 アインファーマシーズ
といった上場会社の例です。
上場会社の場合には、
きちんとした開示がされますので、
事例としてお伝えしやすいのですが、
非上場会社の事例というのは、
実態がわかりづらく具体例としてお伝えするのが、
難しいところです。
実際にホールディングス化するのは、
上場会社や大きな会社ばかりなのでしょうか?
正式な統計を持ち合わせていないため、
実際のところはわからないのですが、
私の知る限り、
非上場の会社でも、
ホールディングス化する事例は
それなりにあります。
それでは、
具体的にはどのような手法で
ホールディングス化をすればよいのでしょうか?
手続き面でいうと、
いろいろな手法が考えられます。
いずれにしても
「会社法」に従って適切な手続きを経て
ホールディングスに移行していく必要があります。
社長の思いつきで、
「明日からホールディングスにしよう」
というわけにはいきません。
とくにオーナー社長の方とお話をしていると、
ご自身の思い通りに、
会社の形をすぐに簡単に変えられる
と考えられている方が稀にいらっしゃいますが、
必ず「会社法」を意識しておいてください。
それでは、
会社法にはどのようなことが
定められているのでしょうか?
社長ご自身が
会社法に精通する必要はありません。
とくに法律関係はリスクが高いため、
弁護士や司法書士といった専門家に
確認したり、依頼して進めていくのが
現実的かと思います。
但し、
専門家に依頼するにしても、
最低限の基礎知識は
ざっくり把握しておいた方がよいと思います。
最低限の専門知識を身に付けておくのは、
専門家を上手に活用するときの鉄則ですので。
ということで、
社長のために、
ざっくり会社法の定めている項目をご説明すると、
①株式関係を変える・作るための手法
②決議方法
③スケジュール
④通知・広告
といった内容です。
このうち②③④は、
①の手法に応じて決まっていきますので、
まず決めるべきは①と言えるでしょう。
つまり、
「どのような手法で、
ホールディングスという形に変えていくか?」
という点です。
ここでいう手法ですが、
「株式交換」
「株式移転」
「会社分割」
「事業譲渡」
「現物出資」
といったような手法のことです。
言葉自体はお聞きになられたことは
あるかもしれませんが、
内容自体はかなり複雑です。
追々、
社長のために用語解説をする機会を
作りたいと思いますが、
社長が覚えるべき専門知識ではないので、
選択可能な複数の手法があるということだけを
ここでは覚えておいていただきたいと思います。
ここでお伝えしたいのは、
今の会社法では、
いろいろな手法が用意されているので、
たいていのことは
きちんとした手続きさえ踏めばできる、
ということです。
そのため、
専門家を活用して、
最も会社の状況に合う手法を
アドバイスしてもらい、
ホールディングス化の手続きを進めていくだけです。
社長自ら手法を決める必要は無いと思います。
但し、
社長には、1つ注意しておいて
いただきたい点があります。
それは、
「Before⇔Afterの具体化」
です。
「今の組織がこうです。」
「今の組織では、ここに問題があると考えています。」
「だから、今後はこのような組織にしたいです。」
「新しい形態ではこのように改善されるはずです。」
「○年○月までには実現したいです。」
このようなことを、
出来る限り具体的にして
専門家に伝えてください。
専門家は知識や手続きのプロではありますが、
社長がイメージしている「Before⇔After」を
正確に把握しなければ、
正確な手続きはできません。
社長の中でのイメージが
あいまいであれば、
専門家へも、あいまいにしか伝わりません。
結果的に、
想定外のミスも起こり得ます。
ですので、
繰り返しになってはしまいますが、
ホールディングス化を検討する際には、
社長の頭のなかにある
「Before⇔After」
「ホールディングス化の目的」
といったイメージを、
できるだけ具体的に見える化してください。
仮に、
「ここまでは伝える必要が無い」
と社長自身が思われたとしても、
専門家としては、
そこが判断のポイントになる可能性もあります。
是非、
社長自らが「見える化」する努力を
お願いいたします。