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Vol.210 グループ経営のステージを上げていく

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グループ経営の管理面が気になり始めるタイミング

グループ会社数が増えてくると、
グループ内の社員数も増えますし、
仕事のやり方、資料、個性、等、
いろいろなことが多様化していきます。

経営者としては、
グループ全体の管理面も意識しながら、
いろいろな点でグループ内を標準化することで、
効率を上げたいと思われることも多いと思います。

 

一方で、経営者としては、
まずは売上拡大、事業拡大の優先順位が高いと思いますので、
通常は、グループ経営の管理面はどうしても後回しになりがちです。

優先順位を考えると、この状況は理解できます。

ただ、このような状態を放置しておくと、
グループ全体がバラバラになっていく危機感も
経営者としては感じることも実際にはあるのではないでしょうか?

 

このようなステージにある会社は、
なにか事件・事故が起きたりして危機感が強まったり、
少し余裕が出てきたりしたタイミングで、
グループ全体の「管理」面に意識がいくときが必ず出てきます。

管理をどこまで実施していくかは、
経営者の性格や状況によって程度の差はありますが、
事業を継続・発展させていこうとする経営者であれば、
必ずどこかのタイミングで、
グループ経営の「管理」面の必要性を感じるタイミングがあります。

 

このタイミングのときに、
グループ管理面からも目をそらさず
きちんと対策を打っていけるかどうかが、
グループ経営を継続し、拡大していける経営者と
そうでない経営者の違いになるような気がします。

 

グループ経営の管理を強化した結果…

グループ経営を継続し、拡大していける経営者は、
自社が、ある一定のステージに来たら、
必ずグループ経営の管理面にもメスをいれるようになります。

社内人員を増やしたり、
外部のコンサルタントに頼ったり、
試行錯誤しながらグループ管理面の強化がスタートします。

 

そして、グループ管理を進めていく初期段階は、
上手くいかないこともありつつも、
管理制度向上によって得られるメリットの方が大きく、
意外と上手く回っていく傾向が強い気がします。

このあたりのステージまで来ると、
グループ経営のレベルも、それまでとは少し異なる
ワンランク上のステージに変わってくる感じでしょうか。

 

ただ、この管理面強化の活動が定着し、進んでくると、
次なる壁が生まれてきます。

 

この次なる壁とは、

——————————–
グループ経営管理のニーズが多くなりすぎて、
管理業務が複雑化してしまう
——————————–

といった状態です。

 

管理活動の効果

管理面を強めることは、
当然メリットも大きいのですが、
同時にデメリットももたらします。

当然ですが、
この両者の関係が「メリット>デメリット」であるうちは、
それほど問題意識は生まれてこないと思います。

 

但し、管理活動強化の効果は、
管理活動にかける業務量に比べて、
それほど順調には伸びてくれません。

 

管理活動の強化を始めた当初は、
その効果も大きく
「メリット>>>デメリット」
といった感じなのですが、
徐々にメリットとデメリットが
バランスしてくるステージが出てきます。

そして、どこかのタイミングで、
「メリット≒デメリット」
となり、さらには、
「メリットの効果<デメリットの効果」
と逆転が起きてしまいます。

 

メリットとデメリット

グループ経営管理を強化していくことで得られるメリットとは、
具体的にはどのようなものがあるのでしょうか?

たとえばですが、

——————————————
・グループ内の見える化できる
・数値等で定量的かつ客観的な情報で経営判断できるようにある
・実態把握のスピードが上がる
・戦略的にグループの経営を行える
・人事評価等の仕組みにも反映できる
・グループ資金のマネジメントができるようになる
・グループの一体感を醸成できる
——————————————

といったあたりが挙げられます。

 

一方でデメリットの方はというと、

——————————————
・多くの数値が増え、逆にグループ数値の大事な部分が目立ちにくくなる
・多くの資料が増え、何を見ればよいかわからなくなる
・管理資料作りに時間とコストがかかるようになる
・戦略立案が形式的になってくる
・人事評価制度の設計が複雑化し、運用ができなくなる
・管理人材が増え、逆に現場との溝ができてしまい一体感が壊れる
——————————————

といったようなことが挙げられます。

 

つまり、
管理活動を始めた当初はメリットであったものが、
あまりにも管理が進みすぎると、
徐々にデメリットに変わってくる恐れがある、
ということです。

 

ただ、だからと言って、
グループ経営管理をしなければよかった、
というわけでは決してありません。

きちんと取り組みをしたからこそくる、
ワンランク上の悩みと言えるでしょう。

※参考記事:【コラム】 数字至上主義は正か悪か?

 

シンプルにすることで

それでは、このようなステージ、
つまり、グループ経営管理強化によるデメリットの方が、
目立ち始めたステージにおいて、
経営者としては、どのような対応が必要になるのでしょうか?

 

これはもう、

———————-
「シンプル」にすることを心がける
———————-

に尽きる気がします。

 

なんだか普通のことを書いてしまいましたが、
思い切って「シンプル化」する方向に、
舵を切りなおすことが必要なのだと思います。

 

いったん管理活動が強化され、
社内文化として定着すると、
管理活動は自然と強化され続けていきます。

必要以上に管理業務が増え、
必要以上にステップが増え、
必要以上に資料が増え、
必要以上に数値が乱立し、
必要以上に管理人材が増えていくのが、
組織の常です。

 

グループ全体のことを管理していく業務は
もともとが複雑になりがちな業務なので、
グループ経営管理活動が必要以上に暴走してしまうと、
グループ全体が逆に複雑化してしまうという、
本末転倒な状況に陥りかねません。

そうなる前に、
早くシンプル路線に戻していきたいところです。

 

—————————-
グループ経営という複雑なものを
複雑に管理するのではなく、
グループ経営という複雑なものを
シンプルに管理することこそ、
グループ経営管理の醍醐味なのではないか
—————————-

と個人的には思っています。

 

グループ経営という「複雑」なものを、
どのようなカタチで管理できるかで
グループ経営のステージが異なるというイメージです。

 

≪ステージ0≫
「グループの売上・事業拡大重視」

 

≪ステージ1≫
「グループの売上・事業拡大重視」+「グループ経営管理導入

 

≪ステージ2≫
「グループの売上・事業拡大重視」+「複雑なグループ経営管理」

 

≪ステージ3≫
「グループの売上・事業拡大重視」+「シンプルなグループ経営管理」

 

複雑なグループ経営を
よりシンプルに管理できるステージへ。

是非、チャレンジをしてみて
いただければと思います。

 

★★★★★★★
複雑なグループ経営を
複雑に管理していませんか?
★★★★★★★

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