前回(Vol.141)、
グループ経営計画が作成されない背景として、
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①連結グループ経営ではなく、たんなる複数会社経営になっている
②連結決算の仕組み自体が存在しない
③連結決算は導入しているが社長自身がその仕組みを理解していない
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の3つの要因を
挙げさせていただきました。
今回は、このうち
「①連結グループ経営ではなく、
たんなる複数会社経営になっている」
の点について、
少し補足をさせていただきたいと思います。
まず大前提として、
言葉の定義(私の勝手な定義ですが)を
明確にしておきたいと思います。
私の中では、
「複数会社経営」と「連結グループ経営」を
分けて定義しています。
これまでも何度か繰り返してはいますが、
端的に表現すると、
●複数会社経営=「1+1」の経営
●連結グループ経営=「1+1>2」を目指す経営
という形で、
私は使い分けています。
つまり、
複数会社経営とは、
その言葉の通り、単に複数会社化して、
複数の会社を経営している状態を
意味しています。
極論すると、
複数会社経営の場合には、
グループ各社がそれぞれの目的のもと、
動いていけばよいことになります。
そのため、
複数会社経営の場合には、
グループ経営計画という名のものが
仮に存在したとしても、その中身は
「各社の経営計画の単純合算」
という位置づけになります。
このことは、
複数会社経営の場合には、
「グループ経営計画」
という概念自体が必要ない、
ということを意味します。
なぜかというと、私の中では、
「各社の経営計画の単純合算≠グループ経営計画」
というように考えているからです。
一方で、
連結グループ経営は、
グループ各社が相互に連携し合い、
グループシナジーを生み出していくことを
目指す経営です。
この前提で考えると、
グループ各社の経営計画の
単純合算以上のものが、
連結グループ経営の背後にはあります。
それでは、
連結グループ経営に必要な
「グループ経営計画」とは、
どのような経営計画を意味するのでしょうか?
それは、
●グループ内ベクトルを1つの方向に向かせる
●グループ全体とグループ各社の活動の関係を見えるようにする
●グループシナジーを明確にする
といった要素を含む
グループ全体としての経営計画になります。
つまり、
グループ社員に「一体感」を持ってもらい、
力を合わせて活動をしてもらうことを
可能にするようなグループ全体の計画になります。
決して、
「グループ各社の経営計画の単純合算」
ではない、ということです。
これらのことを逆に考えると、
もし「グループ経営計画」を作成したいのに
上手く作成できない場合には、
「連結グループ経営」が実践できておらず、
たんなる「複数会社経営」になっている
可能性があるかもしれません。
もともと「複数会社経営」が目的であれば、
それはそれで問題はありません。
一方で、
「連結グループ経営」を目指しているのに、
グループ経営計画を上手く作成できていないようであれば、
注意が必要です。
グループ経営のどこかに
問題がある可能性がありますので、
一度現状の「グループ経営」を
振り返ってみてはいかがでしょうか?