株式上場と連結決算
株式上場をすると、
連結決算が義務になります。
投資家が気にする情報としても、
単体の会社の決算よりグループ全体の業績の方が中心になるため、
その前提となる連結決算は必須になるということです。
非上場会社であれば、
基本的には連結決算を実施する義務はないため、
多くの会社が取り組んでいないものと思います。
連結決算は、
税務による要請というよりは、
会計理論や証券市場といった側からの要請です。
そのため、
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非上場会社 ⇒ 主に税務が中心 ⇒ 連結決算は関係ない
上場会社 ⇒ 主に会計が中心 ⇒ 連結決算が必須
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という扱いになります。
株式上場と連結決算
非上場上会社が株式上場を目指すようになると、
徐々に「税務」中心の体制から「会計」中心の体制に
変わっていくことが求められていきます。
上場となると、基本的には利益拡大を目指していくため、
節税といったテーマの優先順位はおのずと低くなっていきます。
そして、その過程で、
グループ各社の単体決算中心であった状況から、
「グループ全体としての経営状況はどうなのか?」
というグループ連結決算中心の体制にもなっていくのです。
つまり、
親会社がグループ各社の数値をまとめて、
グループ全体での決算を作成する必要が出てくるのです。
今はグループ会社がない場合でも、
今後、企業として拡大していくにあたってグループ会社を作ったり、
M&Aを行っていくことも十分考えられます。
株式上場を果たし、かつ、
上場後も成長を維持していくためには、
どこかでは「連結決算の仕組み」が必ず必要になるということです。
上場会社の親会社とは?
連結決算にはいろいろなポイントがあります。
なかでも、連結決算での最初の検討事項は、
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連結決算の範囲を決めること
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になるのではないでしょうか。
基本的には、この作業は、
親会社(上場会社、上場を目指す会社)が実施する作業です。
ちなみに、グループ会社といっても
経営者によって感覚は様々な感じだと思います。
少しでも株をもっていたら
グループ会社だと考えている経営者もいらっしゃいます。
このような考えが間違いというわけではないと思いますが、
株式上場する場合においては、決められた判断ルールがありまして、
このルールに基づいて1つ1つ判断していくことになります。
たとえば、
株式の過半数を有しているとか
40%以上保有していて、かつ、役員を派遣しているとか、
といった決まりがある感じです。
このような作業の中では、
「この会社は連結決算から除外したいな」
「この会社は連結の範囲に含めたいな」
「この会社はオーナーの趣味の会社なので・・・」
といった議論もあるかと思います。
株式上場を前提とすると、決められたルールがあるので、
実務上はそのルールに則ったうえで、株式を移動したりしながら、
理想的な連結決算の範囲を確定していく感じでしょうか。
オーナー社長の資産管理会社の扱いは?
このような議論のなかで話題になるのは、
基本的には「連結決算の含める子会社の範囲」についてです。
この作業を実施するのは「親会社」となります。
グループの頂点に立つ会社であり、
通常は、この「親会社」が上場会社となります。
ただ、当然ではありますが、
この「親会社」にも株主がいます。
上場前はオーナー社長が100%保有している場合もあると思いますし、
ベンチャーキャピタルが株主になっている場合もあると思います。
株式上場後には一般個人株主が増えることになります。
このような「親会社」ですが、
仮にこの「親会社」の株式を多く保有している別会社があった場合には、
そちらの別会社の方が「親会社」になるのでしょうか?
具体的に
このような検討を実施するケースとしては、
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オーナー社長の資産管理会社
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がある場合には、
どのような取扱いになるのでしょうか?
オーナー社長個人が直接、
「親会社」の株式を保有しているケースは、
それほど気にならないテーマだと思いますが、
もしオーナー社長の資産管理会社が、
「親会社」の株式の過半数を所有している場合には、
この資産管理会社の方が「親会社」になるのではないでしょうか?
そうなると、
この資産管理会社が親会社として
連結決算を実施することになるのでしょうか?
この資産管理会社と上場する会社との関係は
どのように整理されるのでしょうか?
このような論点について
次回に続きを書いてみたいと思います。