記事一覧

【事例】技研興業株式会社

Pocket

※平成29年9月7日に技研興業株式会社より適時開示されている「単独株式移転による持株会社設立に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

持株会社体制への移行

開示概要

●平成29年9月7日開催の取締役会において、
平成29年11月6日開催予定の臨時株主総会における承認を前提に、
平成30年1月9日(予定)を期日として、
同社を株式移転完全子会社とする単独株式移転の方法により、
「技研ホールディングス株式会社」を設立することを決議した。

●新たに設立する持株会社について、
東京証券取引所市場第二部への新規上場(テクニカル上場)を申請する予定。

単独株式移転による持株会社設立の目的

●グループが属する建設関連業界では、
震災関連等、一時的な需要増はあるものの、
中長期的には需要の減少と競争の激化、
とりわけ工事資材の高騰や建設従事者の減少による
労務単価の上昇等が避けられない見通しであり、
グループを取り巻く経営環境は厳しい状況が続くと予想される。

●こうした環境下においても財務基盤をより強固にするため、
グループは社員有志による活性化委員会を中心とした
コスト削減、計画的受注施策、原価管理の徹底などの施策を推進してきたが、
公共事業の将来的な縮減、熾烈な価格競争などの厳しい経営環境を見据えると、
グループが中長期的に持続的な成長を成し遂げるためには、
現状の施策の徹底を図るとともに、
グループ全体を俯瞰した経営資源の適切な配分や環境の変化に対応して
機動的に意思決定ができる組織の構築が必要であると判断している。

●以下の点を目的として純粋持株会社制へ移行することとした。

①企業価値の最大化
純粋持株会社が経営機能に集中することで経営課題に機動的に対応し、
グループ全体を俯瞰した経営資源の適切な配分を行い、
事業会社は、自らの権限と責任が明確化されることで、
事業を取り巻く環境に応じた機動的な事業運営を行うことにより、
グループ全体における企業価値の最大化を目指す。

②機動的なM&Aによる事業の基盤強化及び業容拡大
純粋持株会社は、経営戦略立案機能に特化し、
経営環境の変化に迅速に対応した業務提携、M&Aを主導することによって、
グループ事業の基盤強化や業容拡大も目指します。

持株会社体制への移行の手順

同社を株式移転完全子会社、持株会社を株式移転設立完全親会社とする
単独株式移転について、以下に示す方法により持株会社体制への移行を実施する予定。

【ステップ1(株式移転)】
平成30年1月9日を効力発生日として、
株式移転により持株会社を設立することで同社は持株会社の完全子会社となる。

【ステップ2(現物配当)】
持株会社設立後は同社保有の子会社の日動技研㈱の全株式を
純粋持株会社である技研ホールディングスに現物配当をすることにより、
同社の子会社を純粋持株会社の子会社として再編することを予定している。

 

株式移転の日程

①株式移転計画等承認取締役会:平成29年9月7日
②臨時株主総会基準日公告:平成29年9月13日
③臨時株主総会基準日:平成29年9月30日(予定)
④株式移転計画等承認臨時株主総会:平成29年11月6日(予定)
⑤同社株式上場廃止日:平成29年12月29日(予定)
⑥持株会社設立登記日(本株式移転効力発生日):平成30年1月9日(予定)
⑦持株会社株式上場日:平成30年1月9日(予定)

 

Review

今回は「技研興業」の事例です。

同社のホールディングス化で特徴的なこととしては、
・子会社が1社しか存在しない
・上場会社としては、それほど大規模ではない
・建設業である
といったところでしょうか。

 

私の感覚ではありますが、
建設業界のホールディングス化事例は、
あまり見かけたことがないなと思ったため、
「平成27年純粋持株会社実態調査」の方で
ホールディングス化事例の業界別内訳を確認してみました。

 

すると、以下のような業界内訳のようです。

 

 

私の印象とは違い、
建設業のホールディングス化事例の割合はそこそこあるようです。

 

そこで、
同社のホールディングス化の背景を
もう少し確認してみたいと思います。

今回の開示では、
以下のような背景が記載されていました。

————————————————-
グループは社員有志による活性化委員会を中心とした
コスト削減、計画的受注施策、原価管理の徹底などの施策を推進してきたが、
公共事業の将来的な縮減、熾烈な価格競争などの厳しい経営環境を見据えると、
グループが中長期的に持続的な成長を成し遂げるためには、
現状の施策の徹底を図るとともに、
グループ全体を俯瞰した経営資源の適切な配分や環境の変化に対応して
機動的に意思決定ができる組織の構築が必要であると判断している。
————————————————-

 

つまり、
「グループ全体の数値管理」
「機動的な意思決定」
「グループとしての戦略の徹底」
が経営課題として読み取れます。

 

これらは建設業界特有の課題ではないと思いますが、
建設業におけるホールディングス化の目的を確認するために、
参考資料として、先ほどの「統計調査」のなかで
建設業がホールディングカンパニーに保有させている機能の割合
確認してみると以下のよう感じです。

 

確かに、
「グループの数値管理」
「機動的な意思決定」
「グループとしての戦略の徹底」
にかかわりそうな機能を持たせている会社が多い印象です。

 

とはいえ、
この傾向はやはり建設業に限った話ではないと思いますし、
結局、建設業とホールディングス化の相性はよくわかりませんでした…。

 

ということで、
今回は少し「純粋持株会社実態調査」にも触れながら、
ホールディングス化事例の業界特性について確認してみました。

 

結局は、

————————————————–
・ホールディングス経営に業種特性はほとんどない
・どちらかというと、同業他社との競争の中で、
 経営的な差別化・競争優位を積極的に構築していきたい会社が
 ライバルより先に構造改革に取り組む過程でホールディングス化に行き着く
————————————————–

ということなのだと理解しています。

 

ちなみに、
純粋持株会社実態調査」は様々な角度で実態調査がされていますので、
ホールディングス化を検討される際には、
一度は目を通されてもよい資料かと思います。

 

★★★★★★★
他社に負けないために、
ホールディングス化
★★★★★★★

関連記事