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Vol.116 残念な複数会社経営

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前回の記事では、
複数会社経営をレベル分けすると、
以下のような割合になっている、
ということをお伝えさせていただきました。

【レベル1】 1+1<2(残念な複数会社経営):50%
【レベル2】 1+1=2(単なる複数会社経営):30%
【レベル3】 1+1>2(成功しているグループ経営):20%

あくまで私見ですが、
それほど的外れではないだろうな、
と考えています。

つまり、
複数会社を経営している、
といっても、
その半数は「残念」な状態に
陥っているということです。

この残念な状態とは、
「1+1<2」
になっている場合であり、
「複数会社にしない方が良かった」
という状態です。

Vol.33(2)

 

この「残念な複数会社経営」とは、
どのようなケースが考えられるでしょうか?

たとえば、

「新規事業のために子会社を作ったが、
 まったく動かずに放置されているケース」
「複数会社にした方が節税できる、
 という理屈でたんに分社化しただけで、
 逆に税金が増えてしまっているケース」
「兄弟で、別会社を作ったが、
 上手く連携が図れていないケース」

といったようなケースです。

ここで注意していただきたいのは、
「子会社が赤字=残念な複数会社経営」
というわけでは決してありません。

むしろ、
複数会社化していくなかでは、
・新規事業への戦略的投資
・新しい取り組みへの先行投資
といった面は自然なことであり、
最初は、子会社が赤字になることの方が
多いかもしれません。

そのため、
「子会社の赤字=悪」
というわけではありません。

要は、
会社を複数化するにあたって、
適切な経営理念や周到な準備もなく、
漫然とした複数会社経営が放置されている状況が
私の言う「残念」な状況です。

このような「残念」な状況のもと、
複数会社化したが故に
大事な経営資源が
不必要に社外流出している状態を
「1+1<2」
と私は表現しています。

Vol.7(2)

 

また、興味深いことに
本業でそこそこ利益が出て
資金的にも余裕が出てきたくらいの会社に
このような「残念」な事例が
多い印象です。

さらに、
本業という「事業の柱」があるせいか、
この「残念」な状況が放置されるケースも
しばしばあります。

このような「残念」な状況は、
本来であれば、
一刻も早く軌道修正をしていくべきですが、
いろいろな「しがらみ」や
「損切りしたくない」という意識から、
放置されてしまっています。

経営者の自由といえば自由なので、
別に良いのですが。

ただ、
このような状態が放置されているのを見ると、
どうしても「もったいないな~」
感じてしまいます。

Vol.52(2)

また、
このような「残念」な状況を
経営者自身が自覚をしていれば、
まだ良いのですが、
自覚できていない場合もあります。

このような
経営者自身が自覚できていない
「残念」な状況はとても危険です。

本業が良い状態であれば、
このような「残念」な状況は表面化しづらいのですが、
いったん本業が落ち込みだすと、
「残念」な状況が一気に表面化してきます。

そして、
問題点等が表面化した時点では、
グループ経営としては深刻な状態に陥ってきて、
経営判断の幅も狭まってしまっています。

社員の間でも
「子会社なんて作ったから・・・」
「もっと本業に集中していれば・・・」
といったような不満が、
必ずと言ってよいほど出てきます。

業績的にも厳しくなったうえに、
社内のモチベーションも下がっている状態になると、
サービスの質の低下、重要人材の流出、
といった流れが起きてきます。

グループ会社を増やした分だけ、
逆に負のスパイラルが始まります。

会社を増やすことは簡単にできますが、
減らすことは意外と簡単ではありません。

負のスパイラルの中では、
厳しい経営判断を強いられます。

「残念な複数会社経営」は、
一刻も早く軌道修正しなければいけないことは
おわかりいただけると思います。

Vol.27(1)

 

「残念な複数会社経営になっていないか?」

グループ経営者には、
是非自問していただきたいと思います。

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