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Vol.78 小さな会社のグループ経営戦略

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私は仕事柄、
「別会社を作りたい」
「新しく子会社を作りたい」
「他社の株式を買いたい」
「分社化したい」
といった相談を受けます。

いわゆる
「グループ経営を拡大していくための決断」
についての相談です。

とはいっても、最終決定は、
経営者が下すべきものですので、
私自身は、
やるべき、やるべきでない、
という最終決定は当然できません。

また、
実際に私に相談をいただく時点では、
すでに経営者の心のなかでは、
実施することを決定されていることがほとんどです。

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但し、
いろいろな事例を見てきた私が
客観的かつ冷静な視点で考えた場合に、
正直、
「これは少し厳しいかも」
と思うことも少なくありません。

多くの会社が、
新しく子会社を作ったり、
他社から事業を買ったりする時代ですが、
実際に、
このような取引が成功する確率は、
高くないのが実情です。

私の感覚では、
このようなグループ経営を
拡大するための取引の成功確率は、
「20%にも満たないのでは?」
といった感じです。

Vol.52(2)

だからといって、
グループ経営を拡大していくことは
避けましょう、
という思いはありません。

経営者であれば、
いろいろな可能性があれば、
チャレンジをしていきたくなるものですし、
仮にその投資が失敗したと一時的に思っても、
そこから学び将来に生かしていければ、
成功につながります。

ですので、
経営者自身が取り組みたいという案件であれば、
「やってみるしかない」
と考えていますし、
「トライすべき」
だと思っています。

経営者自身が最終判断をして、
経営者自身がその判断の結果を直視しなければ、
たとえ、どのような結果になろうと、
納得感は感じられないと思いますので。

Vol.25(1)

但し、
グループ経営を専門にしてきている
私の立場としては、
「致命傷になる経営判断は避けてほしい」
という願いはあります。

小さなチャレンジであれば、
PDCAを回しながら、
トライ&エラーを繰り返していく方が
早く成功に近づけるはずです。

一方で、
会社に大きなダメージを負わせてしまう、
「致命的な経営判断ミス」
は経営者として絶対に回避するべきです。

とくに、
体力のある大企業とは違う、
小さな会社や中小企業は、
致命傷を回避することが最優先であり、
経営者としての責務です。

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今回テーマにしているような、
別会社を買ったり、
多額投資を伴う子会社設立、といった
グループ再編を伴う経営判断は、
一歩間違うと「致命傷」になりかねない類の
経営判断となる傾向があります。

投資額も大きくなりがちですし、
グループ組織全体のバランスが崩れてしまう
場合も多いからです。

これまで私自身も
いろいろな経験をしてきましたし、
多くの失敗事例、成功事例を見てきました。

このような経験が
少しでも参考になればという思いもあり、
今回は、私が考える
「致命傷を避けながら、
グループ経営を拡大していくためのポイント」
について、
お伝えできればと思います。

 

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私なりに考えるポイントは、
以下の3つです。

それは、
①地域を広げない(どこで)(参照:Vol.79 / Vol.80
②顧客を広げない(誰に)(参照:Vol.81 / Vol.82
③製品(商品)を広げない(何を)(参照:Vol.83 / Vol.84
の3つです。

とくに小さな会社、中小企業は、
このポイントを是非意識したうえで、
グループ経営の拡大を検討していただきたい、
というのが私の考えです。

グループ経営を「拡大」していくのに、
なぜ「広げない」ポイントばかりなのか?

このような疑念を抱かれるかもしれませんが、
小さな会社や中小企業は、
やはりこのスタンスでグループ経営を拡大していくのが、
最終的には持続的成長(≒永続)ができるのではないか、
というのが私の考えです。

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理由については、
今後お伝えしていきたいと思っています。

今回はまずは、
「致命傷にならない、グループ経営の拡大」
について、
経営者には是非意識をしていただきたい、
と思っています。

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