※平成29年12月7日に株式会社串カツ田中より適時開示されている「会社分割による持株会社体制移行及び子会社(分割準備会社)の設立に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。
内容
持株会社体制への移行
開示概要
●平成29年12月7日開催の取締役会において、
平成30年6月1日(予定)を効力発生日として
会社分割の方式により持株会社体制へ移行すること、
及び平成29年12月下旬(予定)に分割準備会社として
100%出資の子会社(分割準備会社)を設立することを決議した。
●平成30年6月1日付で
「株式会社串カツ田中ホールディングス」(予定)に商号を変更し、
引き続き持株会社として上場を維持する予定である。
●なお、会社分割による持株会社体制への移行及び商号変更については、
平成30年2月下旬に開催予定の当社定時株主総会決議による承認
及び必要に応じ所管官公庁の許認可が得られることを条件に実施する。
持株会社体制への移行の背景と目的
●同社は
「串カツ田中の串カツで、一人でも多くの笑顔を生むことにより、社会貢献する。」
という企業理念のもと、「串カツ田中」の単一ブランドで
関東圏を中心に全国規模で飲食事業を展開している。
●全国1,000 店体制を構築し、「串カツ田中」の串カツを、
日本を代表する食文化にすることを目標としている。
●外食産業を取り巻く環境は、
世界的な景気後退を背景とした生活防衛意識の高まりによる外食機会の減少、
食の安全性に対する消費者意識の高まりや低価格競争の激化等により、
今後も厳しい状況が継続するも のと想定される。
●今後も事業の持続的な成長を実現させるためには、
・経営資源の効率的な配分
・競合他社との競争力強化
・事業展開上生じるリスクの管理を可能とする体制の整備
を図ることが必要と判断し、
持株会社体制へ移行する方針を決定した。
●持株会社体制に移行することで、
経営機能と執行機能を明確に分離し、
強化されたコーポレートガバナン ス体制のもと、
持株会社においては、
グループ経営戦略の立案と経営資源の配分の最適化の意思決定を行い、
事業子会社においては、
グループ経営戦略に基づく迅速な業務執行により競争力および効率性を一層高め、
グループ企業価値向上を目指します。
移行方法
●同社を分割会社とする会社分割により、
分割する事業を同社が100%出資する子会社(分割準備会社) に承継させる予定。
(同社は持株会社として引き続き上場を維持)
会社分割の日程
①分割準備会社設立承認取締役会:平成29年12月7日
②分割準備会社の設立:平成29年12月下旬(予定)
③吸収分割契約承認取締役会:平成30年1月12日(予定)
④吸収分割契約締結:平成30年1月12日(予定)
⑤吸収分割契約承認定時株主総会:平成30年2月27日(予定)
⑥吸収分割の効力発生日:平成30年6月1日(予定)
Review
今回は「串カツ田中」の事例です。
最近は、お店をみかけることが多くなりました。
2017年11月末時点で、
直営70店、FC96店で、合計166店舗とのことです。
そして、同社に関して興味深いところが、
「串カツ田中」の単一ブランドで、
ここまで大きくしてきているところです。
飲食業の場合、
ある程度の店舗数になると、
複数ブランドを用いて展開していくことが多い印象ですが、
同社の場合は、単一ブランドで
ここまで店舗拡大をしています。
これはすごいことですね。
そして、会社としても単一会社で、
現時点でとくにグループ経営という状況ではないようです。
ここまでの前提を考えると、
とくにホールディングス化を急ぐタイミングでもないように思いますが、
1年以内にホールディングス経営に移行するようです。
その目的としては、
————————————–
・経営資源の効率的な配分
・競合他社との競争力強化
・事業展開上生じるリスクの管理を可能とする体制の整備
————————————–
とのこと。
確かに目的としてはその通りなのだと思いますが、
真の意図が読みづらいこともあり、
同社の直近の動向等をもう少し確認してみました。
そのなかで、気になる点としては、
以下のような取組みでしょうか。
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①アジア展開に豊富な知見と経験を持つ SFBI(Asia-Pacific)Pte.Ltd と
フランチャイズ契約を締結し、アジアのハブであるシンガポールへの出店
(2017年10月に契約締結、12月に第1号店オープン)
②1,000 店舗体制に向けて、以下のような組織変更を実施。
・部門横断的な戦略の立案のため、「経営戦略室」を設置し、
人事戦略、加盟開発、出店戦略、生産性向上など
総合的な経営戦略を各部門の力を結集し、立案していく。
・人材育成が最も重要な課題のひとつであることから、新たに「人材教育部」を設置し、
従業員の教育、研修を通して、その能力の向上に努めていく。
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ここから読み取れることとして、
これからは海外展開も加速していくと思われますので、
その流れで今後の海外子会社設立等も見据えていると思われます。
そのため、それまでに、
グループ経営管理体制のインフラ整備をしておきたいのではないかと推測されます。
また、
人事戦略、加盟開発、出店戦略、生産性向上といった
総合的な経営戦略を立案する組織として、
経営戦略室を新たに設置していますが、
この組織がおそらくホールディングカンパニーの中心に
なってくるのではないかと推測されます。
1000店舗体制に向けて、
いろいろな視点で経営管理体制を強化しておこうという意志が
今回のホールディング移行の裏には見えてきます。
おそらくM&Aによる事業拡大や、
新規事業といったことも念頭にあるのかもしれません。
いずれにしても、
事業拡大のためのインフラ整備を事前に実施しておく姿勢は、
中長期的にはとても効果的だと思いますし、
同社の今後の事業展開については期待したところです。