※平成28年5月13日に株式会社極楽湯より適時開示されている「会社分割による持株会社体制への移行 及び商号変更に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。
内容
持株会社体制への移行
開示概要
●平成28年5月13日開催の取締役会において、
平成29年1月1日を効力発生日として
・会社分割方式による持株会社体制への移行
・それに伴う温浴事業を100%子会社に承継させる会社分割
を行うことを決議。
●平成29年1月1日付で商号を
「株式会社極楽湯ホールディングス」
に変更する予定。
●移行については平成28年6月29日開催予定の
定時株主総会による承認、及び所管官公庁の許認可が
得られることを条件として実施。
●同社は持株会社となり、
・グループ戦略立案機能
・意匠等知的財産の管理機能
等の統括管理機能を担っていく。
持株会社化の背景・目的
●同社は、
「人と自然を大切に思い、人の心と体を『癒』すことにより、
地域社会に貢献することで、自己の確立と喜びを感じる企業でありたい」
という企業理念のもと、
国内では、リーズナブルな価格で入浴できる温浴施設の事業を展開し、
海外でも大型温浴施設を出店するなど、
新たな市場の開拓を行っている。
●同社を取り巻く経営環境は、国内市場が成熟する中、
業界再編及び業界を超えた競争の激化等、
大きな変革の時期を迎えている。
●そのような経営環境のなかで、
今後も事業の持続的な成長を実現させるためには、
グループ経営戦略として、
・事業環境の急速な変化への迅速且つ適切な対応
・既存事業領域における絶えざる変革と業容の拡大
・関連する事業領域での国内外の有力企業との連携やM&Aの推進
・事業シナジーの最大化
・グループの健全な成長を促す体制の確立
が必要と判断し、持株会社体制へ移行を決断。
●持株会社体制に移行することで、
経営機能と執行機能を明確に分離し、
強化された体制のもと、
・持株会社:グループ経営戦略の立案と経営資源の配分の最適化の意思決定
・事業子会社:グループ経営戦略に基づく迅速な業務執行
という役割分担のもと、競争力及び効率性を一層高め、
グループ企業価値向上を目指す。
持株会社体制への移行方法
同社が現在展開している温浴事業を新設する事業会社へ分割。
新設分割スケジュール
・株主総会基準日:平成28年3月31日
・新設分割計画承認取締役会決議:平成28年5月13日
・新設分割計画承認株主総会決議:平成28年6月29日
・分割期日(効力発生日):平成29年1月1日(予定)
Review
今回の事例は、
「㈱極楽湯」
のホールディングス化についてです。
まず最初に、
同社についての情報を整理したいと思います。
直近の平成28年3月期決算によると
——————————–
グループ売上高:約140億円
グループ営業利益:約4.5億円
連結子会社:4社
——————————–
という規模感の会社です。
上場会社とはいえ、
それほど大規模な会社ではありませんし、
グループ会社数も
それほど多いという印象はありません。
ただ、
同社の過去の開示資料を拝見すると、
今後は中国等の海外での出店を
増やしていく意志が感じられます。
興味深いのが、
中国において施設を出店する都度、
新規子会社を設立している点です。
「1法人1店舗」といった感じです。
これは中国特有の法規制によるものなのか、
それとも戦略的に会社を分けているのか。
本当のところはわかりませんが、
通常の店舗であれば、
中国であっても1法人で複数店舗経営は可能です。
温浴施設という
規模の大きい施設による特殊性なのか、
もしくは、たとえば施設ごとに法人化しておく方が、
M&A戦略や経営管理上、
やりやすいのかもしれません。
いずれにしましても、
今後子会社数が増えていく傾向だと思われますので、
早い段階でホールディングス化して、
グループ経営の専門化を
図ろうとしているのではないでしょうか。
また、セグメント情報を確認すると、
海外(中国)比率が高まっている傾向が顕著です。
このような状況の中で、
これまでは、
・日本の温浴施設事業=親会社
・中国の温浴施設事業=子会社
というグループ組織デザインを
ホールディングス化することで、
・日本の温浴施設事業=子会社
・中国の温浴施設事業=子会社
という形で並列(対等)に位置づけすることも
目的の1つだったのかもしれません。
海外展開している日本企業においては、
どうしても、
「日本の本社=上の立場」
「海外子会社=下の立場」
という意識を持たれている会社も多いものです。
今後グローバル展開を目指す会社では、
このような意識を変えていくことも
重要な要素だと思います。