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【事例】スターティア株式会社

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※平成29年4月14日にスターティア株式会社より適時開示されている「持株会社体制への移行に関する検討開始のお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

持株会社体制への移行の検討開始

開示概要

グループ経営を高度化させ、競争力、収益力を高めるため、
平成30年度を目途として持株会社体制に移行する方向で検討を開始

持株会社体制移行の背景・目的

●グループは、以下の2つの主事業を行っており、
顧客企業のIT全般のソリューションをワンストップで行っている。

<デジタルマーケティング関連事業>
電子ブック作成ソフト、AR(拡張現実)作成ソフト、
店舗向けO2O 集客アプリなどのWEBアプリケーションの提供やWEB構築
<ITインフラ関連事業>
VPNなどのネットワーク構築、ネットワークインテグレーション、
マネージドルータ・ファイアウォールサービスなどのクラウドソリューション、
およびビジネスホン、MFP・カウンターサービスやオフィスレイアウトの提供

●昨今のIT業界における時代の変化に乗り遅れることなく、
最新の技術動向を見据え、迅速な意思決定ならびに
機動力を持った経営を推進していけるように
スターティア株式会社を持株会社と事業会社に分離した
持株会社体制に移行への検討を開始した。

各事業会社は、
それぞれの事業領域において責任と権限のもとで、
・事業規模の拡大
・収益力の強化
・経営人材の育成
を行っていく。

持株会社は、
スターティアグループとしての全体戦略を考え、
・事業ポートフォリオの最適化
・グループ全体のコーポレート・ガバナンス体制の強化
・経営資源の適正配分
を機動的に実施することで、
持続的な企業価値の向上を目指していく。

持株会社体制への移行内容

具体的な移行時期や移行後のグループ体制等の詳細については、
決定次第改めて開示する。

 

Review

今回は「スターティア」の事例です。

これからホールディングスの詳細は
決定していく段階とのことです。

 

そこで、今回は同社の
ホールディングス化の目的を参考にしつつ、
ホールディングス化による効果等を改めて考えてみたいと思います。

 

一般的に、
ホールディングス化によって
以下のように役割を分けることになります。

●ホールディングカンパニー
 ⇒グループ経営の全体管理や全体戦略立案等をする

●事業子会社
 ⇒委譲された権限・責任のもと、事業に専念し、事業執行する

 

このような役割分担は、理論上は理解できます。

 

但し、よくよく考えてみると、
これまで子会社であった立場からすると、
ある程度の権限・責任を与えられて事業を実施していると思いますし、
親会社のグループ管理のもとで経営も行っていたと思います。

そう考えると、
従来の子会社という立場からすると、
「ホールディングス化によって、それほど実態は変わらないのではないか?」
と感じることも少なくありません。

(会社ごとにグループ経営のありかたや子会社の位置づけが異なるため、
一概に決めつけはできない点ではありますが。)

 

ちなみに、今回の事例のスターティア社の
ホールディングス化の目的の1つとして以下のような記載がありました。

———————————————
各事業子会社は、
それぞれの事業領域において責任と権限のもとで、
・事業規模の拡大
・収益力の強化
・経営人材の育成
を行っていく
———————————————

 

おそらく従来においても、子会社としては、
事業規模拡大、収益力強化、人材育成といったことは、
求められていたのではないかと推測されます。

そう考えると、
このホールディングス化によって一番影響を受けるのは、
これまでの「親会社の事業」であり、「親会社の社員」であろう、
ということが言えます。

 

これまで「親会社」という立場で
仕事をしてきた事業部門のほとんどの社員が、
ホールディングス化後は「子会社」という位置づけに変わります。

ホールディングス化によって一番変化が求められ、期待されているのは、
これまでの「親会社」の社員であることを意味します。

 

つまり、
「ホールディングス化=親会社の意識改革」
と考えてもよいのではないでしょうか。

 

次に、新しい組織として出来上がる
ホールディングカンパニーの方はどうでしょうか。

こちらは、基本的には、
従来の親会社人材のうち、より経営層に近い人材が
このホールディングカンパニーに残り、
各事業会社を管理していくことになることが多いと思います。

 

当然、このような人材は、
これまでも経営視点で事業を管理しているはずだと思います。

但し、どうしても
各自の管掌部門だけに関心があったり、
子会社の事業についてはあまり関心がなかったり、
といった傾向が多いのではないかと思います。

 

一方で、
ホールディングス経営になると、
従来とは異なり、より広い視野をもって
グループ全体に関心をもつことが求められることなります。

また、グループ全体のバランスをとる
「調整役としての機能」
も求められるようになります。

 

ちなみに、今回の事例のスターティア社の
ホールディングス化の目的のなかでは、
ホールディングカンパニーについて以下のような記載がありました。

———————————————————-
グループとしての全体戦略を考え、
・事業ポートフォリオの最適化
・グループ全体のコーポレート・ガバナンス体制の強化
・経営資源の適正配分
を機動的に実施することで、
持続的な企業価値の向上を目指していく
———————————————————-

 

グループ全体をみて戦略を考え、
グループ全体最適を常に意識しながら、
グループ全体のバランスをとっていく。

このようなグループ内の「調整役」としてのミッションを
組織の「カタチ」から表現していくのが、
ホールディングス経営の1つの目的だと思います。

そして、これによって変わらないといけないのも、
先ほど同様に、これまでの「親会社」の経営人材となると思います。

 

つまり、繰り返しになりますが、
「ホールディングス化=親会社の意識改革」
ということなります。

 

ということで、
今回はホールディングス化の意味を
改めて考えてみる内容となってしまいましたが、
同社のホールディングス化の方向性はどうなるのでしょうか。

今後の検討結果にも期待したいところです。

★★★★★★★
ホールディングス化で目指す
親会社の意識改革
★★★★★★★

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