赤字の子会社
グループ経営において、
すべてのグループ会社が黒字になっていれば
理想的ではありますが、
現実的には、そのような状態の方が
珍しいのではないでしょうか?
どれだけ業績の良いグループ会社でも
1社や2社は赤字の子会社があったりするものです。
赤字といっても、
設立したばかりだったり、
戦略的に当初赤字が見込まれる会社だったり、
状況は様々だと思いますので、
一緒くたに論じることはできませんが。
赤字の子会社は存続する傾向にある
通常、赤字が続くような会社は、
存続していくのが難しいものです。
最終的にはお金が底をつきますので。
ただ、これがグループ経営のなかの
赤字子会社という立場になると、
話が変わってくることが多いようです。
つまり、
—————————
赤字の「子会社」は
無駄に存続していく傾向にある
—————————
ということです。
あくまで傾向です。
ちなみに、
「無駄」と表現しましたが、
赤字だから「無駄」な会社であるとか、
赤字だから存続してはいけない、
という意味では決してありません。
今は赤字でも、
頑張って黒字にしてければ
ベストなのは間違いありません。
私が表現したかったのは、
・黒字化のメドが立たない
・空気も悪くなっている
・前向きな姿勢がない
・客観的には誰もが撤退すべきだと思っている
といったような「負のエネルギー」が
いっぱいの赤字子会社についてのことです。
グループ経営の場合には、
このような「負のエネルギー」で
支配されている赤字子会社であっても
無駄に存続していく傾向があるのです。
誰が存続を決定しているのか?
「来期まで様子を見よう」
「赤字でも、あっちの会社の営業に役に立っているから…」
「私は撤退した方がよいと考えているんだけど、●●さんが…」
このような会話の中で、
結局は、赤字の子会社は
グループ経営のなかで存続し続けます。
なぜ、赤字なのに存続できるのかというと、
答えは簡単です。
それは、
—————————–
お金を出し続けてくれる
会社(≒親会社)が存在するから
—————————–
です。
結局、「お金を出す」という判断が
グループ内で行われているのです。
通常はグループ経営者(親会社の社長)の最終判断
ということになっているのではないかと思います。
経営において一番難しいのは、
「やめる決断をすること」
といっても過言ではないでしょう。
「やめる」ことにより
多くの痛みを伴いますので、
優秀な経営者であっても「やめる」判断には、
ためらいますし、やりたがらないものです。
但し、グループ全体を考えたときに、
「負のエネルギー」で支配されている赤字子会社を
存続し続けることが健全でないことは明らかです。
グループ経営者としては、
グループ全体のこと、グループ各社のことを考え、
グループ全体最適となる経営判断を
していく必要があります。
ただ残念ながら、
多くのグループ経営の現場において、
———————————-
赤字子会社を
きちんと状況を見える化したうえで、
数値でシミュレーションをしながら客観的に評価し、
その評価をもとに合理的に判断する、
という仕組みが整備・運用されていない
———————————-
という状況があります。
是非、自社において
「赤字子会社を評価・判断する仕組み」
があるかどうか見つめ直してみて
いただきたいポイントです。
「『グループ経営』を経営する」とは、
このような「グループ経営の仕組み」を作り、
グループ全体最適となるような経営判断を
下していくことですので。
グループ経営者の重要な仕事
「やめる決断」はとても難しいとは思いますが、
経営者は「判断する」ことが大事な仕事だと思いますので、
客観的な視点を見失わず、問題の先送りにならないように、
決断をしていっていただきたいと願っています。
—————————————
・赤字子会社に投入しているお金を
頑張って稼いだグループ社員がいます。
他のグループ社員の気持ちは大丈夫ですか?
・グループの貴重な人材が
後ろ向きな業務に投入されていませんか?
・きちんと定量的にシミュレーションをしたうえで、
赤字子会社の継続を決めていますか?
・前向きな赤字子会社ですか?
後ろ向きな赤字子会社になっていませんか?
・ただの問題の先送りになっていませんか?
—————————————
赤字子会社の対処の判断は、
誰もやりたがらない仕事だからこそ、
グループ経営者にとっての重要な仕事の1つです。
ということで、
今回は、一方的にあるべき論をお伝えする感じになり、
申し訳ありませんでしたが・・・、
常日頃多くの場面で感じることを書いてみました。