私はコンサルタントとして
企業のサポートをしていますが、
コンサルティングに対する考え方は
経験を重ね、歳を重ねるごとに
変わってきました。
昔は、
出来る限り自分で手を動かし、
自分で完璧と思われる仕組みを作ってあげることが、
クライアントにとっても、
最も良い仕事だと思っていました。
一緒に手を動かすことで、
クライアントからも感謝されますし、
今でも手を動かすのは好きです。
但し、
このやり方だけでは限界が来ることも
実感するようになりました。
つまり、
私が抜けてしまうと、
クライアント自身で、
なかなかその仕組みを動かせないのです。
というよりは、
クライアントが「依存状態」になってしまうのです。
そうなってしまうと、
ある時点で急にクライアントの成長が
止まってしまうのです。
私なりに悩んだ結果、
行きついた結論は、
「コンサルタントである自分が
クライアントの成長を止めている」
という思いでした。
その頃から、
少し考え方を変えるようになりました。
1日でも早く
クライアントが私のサポートから
卒業できるにはどうしたらよいのか?
このような考え方に切り替え、
クライアントが「自立」「自走」できる
仕組みを作ることを、
心掛けるようになりました。
そうすると、
クライアントの成長が再開し始めました。
ときには、
私がこうすべきだと思う方向とは違う決断をして、
進んでいくような局面も増えてきました。
それでも、
クライアント自身が考え、悩み、決断する
という姿勢は、
クライアントの成長には欠かせません。
最終的な正解は、
クライアント自身、つまり経営者が
決めるしかないのです。
少し余談が長くなりましたが、
なぜこのようなことをお伝えしているかというと、
ホールディングス経営には、
「コンサルティング機能」
がとても重要な要素だと思っているからです。
つまり、
ホールディングカンパニーが
社内コンサルタントとして活躍すること。
この形こそが、
これからのホールディングス経営の
目指すべき形ということです。
前回お伝えした
トップセールスマンのお話も、
この「コンサルティング能力」と
密接に関係します。
コンサルタントというと、
外部の専門家のイメージが強いかもしれません。
確かに
企業として成功していくためには、
外部専門家・コンサルタントを上手く「活用」する局面は、
不可欠です。
但し、
何も企業外部にばかり
コンサルティング機能を依存する必要はないはずです。
社内完結できるのであれば、
それに越したことはありません。
たとえ一時的に
外部のコンサルタント・専門家に
力を借りたとしても、
その経験を、きちんと「社内ノウハウ化」して、
自立・自走できる仕組みにすることを、
その最終目標にすべきだということです。
つまり、
これからの時代は、
社内にコンサルティング機能を有していくことが、
とても重要な競争優位になっていく、
ものだと考えています。
いわゆる
「社内コンサルタント」
の存在が重要になるということです。
別に特別な資格が
必要なわけではありません。
たとえば、
トップセールスマンであれば、
そのトップセールスの生きたノウハウこそが、
立派な専門性です。
つまり、
意識が高く、自己投資をして
努力をしている社員であれば、
誰もがコンサルタントに不可欠な「専門性」は
持ち合わせているはずなのです。
但し、
専門性があるだけでは、
コンサルタントとは言えません。
コンサルタントは、
その専門性というノウハウを
自分のためや自己満足のために使うのではありません。
他者が使える形にして、
他者を動かしていくことが、
コンサルタントに求められる要素です。
つまり、
社内コンサルタントとして
自身のノウハウを
会社のため、同僚ため、部下のため、
活用すること。
そして、
他者を巻き込み、動かしながら、
そのノウハウを組織知に変換していき、
会社や同僚を成長させてあげること。
「他者の成長=自身の喜び」にできるかどうか。
このような社内コンサルティング機能が
重要な時代になってくるはずです。
そして、
この考え方にとてもマッチするのが、
ホールディングス経営、
というスタイルです。
つまり、
ホールディングカンパニーの立ち位置と、
社内コンサルティング機能の役割が
とても親和性があるからです。
そのためには、
ホールディングカンパニーに
社内コンサルティングの役割を
ミッションとしてきちんと与え、
思い切って現場のエースを登用することです。
(参照:Vol.93 トップセールスマンだからこそホールディングスへ)
そして、
現場のエースには、
きっぱりと「プレイヤー」を卒業していただき、
社内コンサルタント役割に専念していただくこと。
そうすれば、
グループ社員各自が考え、決断し、
成長していけるような組織に、
生まれ変わっていくはずです。