資産管理会社の節税効果のまとめ
資産管理会社の節税効果については、
①所得税(オーナー個人)
②相続税(オーナー家族)
の2つの税金を意識したものであることも
お伝えしました。
※①⇒参照:【用語】オーナー社長のための資産管理会社②(メリット1/4)
※②⇒参照:【用語】オーナー社長のための資産管理会社③(メリット2/4)
もう少しだけ
資産管理会社の節税という視点で、
補足をさせていただきます。
それは、
「所得分散効果がある」
という視点です。
節税の基本
まず最初に
節税の基本を
押さえておきたいと思います。
2つのポイントがあります。
・所得分散
・期間分散
です。
理由は
ある一定期間の個人の所得に応じて、
税率が変わるからです。
このうち、
資産管理会社の場合には、
主に「所得分散効果」を期待できます。
所得の分散
最初に、
所得の分散について、
もう少し具体的に見てみましょう。
これは、
オーナー社長1人が
4,000万円の報酬を受け取るよりは、
家族全体で4,000万円の
報酬を分かち合う方が
家族全体での税金は減少する、
といったような意味合いです。
たとえば、
・オーナー社長:1,500万円
・オーナー夫人:1,000万円
・ご子息:750万円
・ご子息:750万円
といった感じ分けるイメージです。
両者とも、
報酬総額は4,000万円です。
但し、
オーナー社長1人で
4,000万円を受け取ると、
所得税・住民税率は50%程度になります。
一方で、
家族で分散した場合では、
平均すると、
30%~35%程度に
所得税・住民税率は抑えられます。
結局、
年間で数百万単位で
税金が変わりますので結構大きいです。
期間の分散
次に、
期間の分散という視点についても、
参考までに確認しておきたいと思います。
但し、これは、
コントロールするのが結構難しいので、
可能であれば取り組む、
といった対策になると思います。
たとえば、
オーナー社長の報酬について、
以下の2つのケースを
考えてみたいと思います。
<ケース1>
今 年:4,000万円
来 年:1,000万円
再来年:1,000万円
<ケース2>
今 年:2,000万円
来 年:2,000万円
再来年:2,000万円
どちらも3年間トータルでは、
6,000万円となります。
但し、
トータルの所得税・住民税は
異なります。
適用される税率が
毎年の所得の応じて変わるからです。
基本的には、
<ケース2>のようなブレが少ない方が、
トータルの税金が安くなる
と考えてください。
<ケース1>のように
ある年だけ高額であると、
その年だけ高い税率が適用されるからです。
理屈としては、
イメージしていただけるかと思います。
但し、
所得について、
このような期間の分散が可能かどうかは、
状況によると思います。
そのため、
まずは税金の基礎知識として
押さえておいていただければと思います。
所得と税金を家族単位で考える理由
私は、
バリバリ節税に取り組む、
ということに対しては
それほど興味がありません。
やはり、
税金を減らす努力より、
売上や利益を増やす努力の方が
生産的だと思うからです。
また、
節税を意識しすぎると、
経営上も、プライベート上も、
間違った道に進むことがありますので、
適度な節税対策がベストだと
思っています。
とは言いつつも、
オーナー社長の場合には、
自分のためというよりは、
家族のために、
税金を意識していただきたい、
という思いはあります。
というのも、
成功するオーナー社長の場合には、
それなりの個人資産が貯まりますので、
将来的には「相続」というのが、
大きなテーマになるからです。
相続は、
オーナー家族全体の問題ですし、
金銭的な負担は避けられません。
必要な相続税は、
当然支払う必要がありますので、
相続する側の家族も
相続税を支払うだけのお金を
保有している必要があります。
オーナー社長としては、
相続税を十分に支払うことが
可能なだけのお金を
事前に家族に分配しておく責任がある、
ということです。
資産管理会社の所得分散効果
家族にお金を分配しておく、
という視点では、
資産管理会社が役に立ちます。
家族を
資産管理会社の役員にしたり、
社員として雇用することで、
所得を分散できるからです。
つまり、
資産管理会社を設立し、
オーナー個人資産に係る収入を
法人へ帰属させます。
そのうえで、
その収入を原資として、
家族へ、報酬や給与を支払うのです。
そうすれば、
所得を分散させることで、
家族トータルでの税金を減らせますし、
家族にとっても相続用の資金を
貯めることができ、
一石二鳥ということです。
次回予告
次回は、
資産管理会社の「メリット」ついての
最後の解説となります。
ここまでは「節税メリット」の解説が主でしたが、
オーナー企業の「株式分散防止」
についてもお伝えしておきたいと思います。