複数会社化のメリットとデメリットは
色々あると思いますが、
簡単にいくつか列挙してみたいと思います。
<メリット>
①1つの会社で整理しきれないものを、会社を分けることで整理できる
②別名の会社を作ることで、事業の使い分けができるようになる
③税務上の特典が2倍使えるケースがある
④創業融資等の借入上の優遇を受けられる場合がある
<デメリット>
①法人維持コストが増える
②予定通り事業がいかない場合に、単一会社より税金が増えることがある。
③複数会社の経営管理作業が大変になる
④複数会社化したことにより、逆にグチャグチャになる
正直、各社の状況・背景により
メリット・デメリットの考え方は異なりますので、
一概にまとめるのは難しいです。
ただし、このメリット・デメリットを見ていただくと
おわかりだと思いますが、
両者は「表裏一体」といえます。
つまり、
メリットだと思って取り組んだところ、
予定通りいかなくて逆にデメリットになる、
といったようなことが往々にしてあります。
そのため、複数会社化を目指すときには、
最悪のケースも想定しながら、
メリット・デメリットを総合的に考え、
社長にはご判断行きたいと思っています。
そして、ホールディングス化となると、
どうなるのでしょうか。
ホールディングス化も
複数会社化の1つの形態なので、
メリット・デメリットは同じといえます。
1つ言えるのは、
会社数が増えれば増えるほど
グループ全体管理が複雑になる
ということです。
そう考えると、
ホールディングス化の場合は、
会社数が1つ多くなりますので、
デメリット①~④のリスクが高まる
といっても過言ではありません。
決してホールディングス化が、
リスクが高いことばかりを
強調したいわけではありません。
もしホールディングス化を検討される場合には、
それなりの覚悟をもって取り組んでいただきたい、
ということをお伝えしたいと思っています。
そのため、
複数会社化の主目的が
「節税」という場合には、
ホールディングス化は向かないと思います。
おそらく節税といった程度の目的であれば、
そのメリットはデメリットに負けてしまうと思います。
それでは、どういう場合に
ホールディングス化に挑戦するのがよいのでしょうか?
それは、
グループ企業として成長し、
大きくして、永続していきたい、
という強い経営意志がある場合です。
また、成長の先に株式上場などを
目指しているような経営者にも
ホールディングス化は向いていると思います。
この場合には、
グループ全社が一体となり、
企業成長に取り組んでいくことが
主目的になります。
そうなると、
ホールディングス化し、
連結決算を活用し、
連結シナジーを生み出す
連結グループ経営をしていくことが
効果的です。
連結グループとして
戦略的に経営をしていくなかで、
グループ戦略の一環として
「節税」に取り組むことは逆に賛成です。
これは、節税が主目的ではなく、
経営視点があったうえでの税金戦略だからです。
結局、
複数会社化の入口が「節税」の場合には、
経営者が目の届く範囲で
会社を複数に分けて小さく経営する、
といった程度にとどめる方が良いと思います。
一方で、
複数会社化の入口が企業成長や
永続、株式上場、といった「経営視点」の場合には、
ホールディングス化を1つの選択肢として考え、
しっかりと連結グループ経営に取り組む形が
良いと考えています。
ただ、複数会社化の入口として、
節税というキーワードが最初にあったとしても
仕方がないことです。
おそらく、どれだけ立派な経営者も
初期の頃は
「税金は減らしたい」
という思いが少なからずあったのではないかと思います。
税金というものは、
それほど納めるのに悩む類のお金だと思います。
但し、経営視点に立ち、
企業成長を目指していくなかで、
おそらく税金に関するメンタルブロックは
小さくなっていくと思います。
節税というものが、
徐々に優先順位が下がり、
さらに、ある一定時期に来ると
「税金を受け入れる」姿勢に変わっていきます。
支払っている税金以上のものを
得られるようになるからです。
逆に節税ニーズが消えない経営者は、
一生この境地には達することは
できないのだと思います。
複数会社化の入口が本当は何なのか?
是非、複数会社化を目指す経営者には
改めて考えてみていただきたいテーマです。
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「Vol.13 ホールディングス化のメリットとデメリット(経営管理面)」
「Vol.14 ホールディングス化のメリットとデメリット(税金面)」
「Vol.72 ホールディングス化のメリット(一般論)」
「Vol.73 ホールディングス化のデメリット(一般論)」