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今週の「減らす」決断(2015年9月21日~9月25日)

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平成27年9月21日~9月25日の適時開示情報をもとに、
「子会社を減らす」決断をした事例をご紹介いたします。

はじめに

今週は3件の事例をご紹介させていただきます。
「子会社を減らす」という決断は勇気がいるものですが、
経営者として重要な仕事の1つです。

是非、各事例における経営者の決断から
学べる部分を学ばせていただきましょう。

事例1)株式会社 MCJ

●平成27年9月24日開催の当社取締役会において、
連結子会社である株式会社秀和システムの全株式を、
株式会社ウエノグループへ譲渡する旨の基本合意書を締結することを決議。

平成18 年1月、パソコンを起点とする
『総合IT 企業グループ』を目指す中で、
パソコン関連書籍を手掛ける秀和システムを子会社化

●メディア事業(現在のICT 関連事業)部門として同社を位置付け、
書籍の出版・販売事業を展開してきた。

●その後、パソコン関連書籍だけでなく、
ビジネス書・実用書等の発刊にも注力し、
単一ジャンルに依存することのない経営体制の構築に努めてきた。

●しかし、出版市場全体が継続的な縮小傾向にあり、
事業環境は今後も厳しさを増すことが予想されるため、
グループ内における書籍出版・販売事業の在り方を再検討。

●業種を問わず幅広く投資事業を手掛けるウエノグループより、
秀和システムの全株式を譲り受けたいとの申し出があり、
新たな資本の下で業績の早期回復を目指すことが最良であるとの結論に至り、
株式譲渡に関する基本合意書を締結。

●過年度において、
同社株式取得時の「のれん」は、すでに減損済み。

事例2)JBCCホールディングス株式会社

●平成27年9月24日開催の取締役会において、
連結子会社(65%の株式を保有)の
アドバンス ト・アプリケーション株式会社(「AAC」)の株式を
日本アイ・ビー・エム株式会社(「IBM」)に譲渡することを決議。

●AACの有するIBMのソリューション
及び製品に関する技術を活用し、
主として金融機関及び大手企業向けのビジネスを
伸長させることを狙いとして、
平成23年2月1日にAACの株式を取得。

●しかしながら、その後の経営環境の変化を踏まえ
今後のグループ事業戦略を検討した結果、
AACについてはIBMに譲渡することが
最もその真価を発揮できるであろうとの結論に至り
当該株式をIBMに譲渡することにした。

事例3)ANAホールディングス株式会社

●平成27年9月25日開催の取締役会において、
平成27年12月1日を効力発生日として、
完全子会社である株式会社ウィングレット(「WGT」)を
吸収合併することを決議。

経営資源の集約を図ることを目的とし、
グループのキャッシュマネジメントを行っている
完全子会社であるWGTを合併し、
グループ内機能を整理して効率化を進める。

レビュー

今週の事例はいかがでしたでしょうか?

少しずつレビューしてみたいと思います。

 

事例1)事例2)は、
ともに過去に取得した子会社の株式を
譲渡する事例です。

両事例とも、
当初取得時の思いとは裏腹に、
事業環境が悪化する中で、
取得した株式を売却する決断をしています。

事例1)では、
「出版市場全体が継続的な縮小傾向にあり、
事業環境は今後も厳しさを増すことが予想されるため
グループ内における書籍出版・販売事業の在り方を再検討」
とあります。

事例2)では、
「経営環境の変化を踏まえ
今後のグループの事業戦略を検討」
とあります。

両事例からは、
他社をグループ化したとしても、
継続的に事業運営していくことが
容易でないことがわかります。

 

次に事例3)は、
親会社が子会社を吸収合併する事例です。

この子会社は
グループのキャッシュマネジメント機能を
担っていたようですが、
「グループ内の機能を整理して効率化を進める」
との理由のもと、
親会社に吸収されることになったようです。

グループキャッシュマネジメント機能に特化した
機能子会社としての役割が、
グループ経営のなかで
少しずつ変わってきたのかもしれません。

最適なグループ化のデザインは、
事業展開や企業成長に応じて常に変わりづけます。

機能子会社の役割も
当然変わっていっても不思議ではありません。

グループ経営において
各社が試行錯誤していることがわかる事例
といえるでしょう。

 

今週は以上となります。

是非、他社グループの事例を参考にしてみてください。

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