Vol.12 連結グループ経営の決意

目次

小さな会社がホールディングス?

初めて複数会社化を考える社長で
ホールディングス化を選択肢に入れるケースは
ほとんどありません。

多くの場合、
すでにある会社を基盤に「子会社」として
別会社を作るケース、もしくは、
ご自身が新たに出資設立して
別の会社を作るケースになると思います。

新しく会社を作ろうとする目的にも
よるところも大きいと思います。

やはり、
「ホールディングス=大企業」
というイメージもあるせいか、
小さな会社がホールディングス化を
検討する事例はほとんどありません。

複数会社化のカタチは
人それぞれで当然問題ありません。

但し、
・グループ経営による企業価値の最大化
・オーナーとしての個人資産の最大化
の2つを同時に目指すのであれば、
ただ会社を複数化するだけでは難しいといえます。

グループ企業間で連結シナジーを生み出し、
グループ企業価値を最大化するには、
真の「連結グループ経営」に取り組む必要があります。

Vol.4

また、グループ企業価値の最大化と
オーナー個人資産の最大化は密接に関わっており、
そのデザイン・運用次第で、
相乗効果を発揮したり、
お互い負の影響を及ぼし合ったりします。

そのためには、
グループ内の各事業会社とは別法人として
「グループの頭脳」の役割を果たす会社を
グループの中にビルトインする方法が最適です。

「連結グループ経営をコントロールする機能」
「オーナー個人資産を設計する機能」
2つを同時に有する会社です。

このグループの頭脳となる会社が
「ホールディングカンパニー」
です。

ホールディングカンパニーを作る場合、
その分だけ会社が1つ多くなります。

1つ会社が増えれば管理コストも増えます。

但し、それでもホールディングス化して、
連結グループ経営をすることは、
そのようなデメリットを補って余りある
メリットもあるものです。

ホールディングス化がきちんと機能すれば、
連結グループとしての企業価値の向上とともに、
オーナーとしての個人資産の設計も
より戦略的に実施できるようになります。

つまり、
ホールディングカンパニーを作ることは、
グループ経営戦略・運営機能を明確に切り出し、
その機能の価値でお金を稼ぐことを意味します。

Vol.12

連結グループ経営への「決意」の表れ、
と言ってもよいでしょう。

そのため、
ただ複数会社化を目指している経営者には
向いている形とはいえません。

中途半端に設計しても運用がついていきません。

一方で、真剣に
・グループ経営による企業価値の最大化
・オーナーとしての個人資産の最大化
の2つを同時追求していきたい経営者には、
選択肢の1つとして、
「ホールディングス化」
是非検討されてみてもよいと思います。

解説動画

スライド解説

考察|ホールディングスという「グループの頭脳」で成長を加速させる仕組み

1. はじめに:なぜ「ホールディングス」は難しく感じるのか?

「ホールディングス」という言葉を聞くと、多くの社長さんは「テレビに出てくるような超大企業の話だろう」とか「仕組みが複雑で難しそうだ」という先入観を抱きがちです。実際に、小さな会社を経営されている方が最初からこの形を選択肢に入れることは、ほとんどありません。

しかし、実は「会社の規模」と「ホールディングスという形」は、本来切り離して考えるべきものです。

たとえ小さな会社であっても、複数のビジネスを展開しようとするなら、この形を知っておくことには大きな価値があります。

「仕組みを増やすと余計に混乱するのではないか?」と不安に思うかもしれません。しかし、現実は逆です。本当に混乱を招くのは、会社の数が増えることではなく、グループ全体を統括する「頭脳」がないことなのです。

この解説書では、複雑に見える構造を「体と頭脳」の関係に例えて紐解いていきます。

単に会社を増やすことと、ホールディングス化すること。その決定的な違いは、経営者の「経営の質」に対する向き合い方にあります。

まずは、皆さんが無意識に選んでいるかもしれない「カタチ」の違いから整理していきましょう。

2. 複数の会社を持つ「2つのカタチ」

一口に「会社を複数経営する」といっても、その中身は大きく異なります。

多くの場合、新しい事業を始めるときは、今の会社の下に「子会社」を作ったり、あるいは社長が個人でお金を出して「全く別の会社」を横に並べて作ったりします。

これらと「ホールディングス」は何が違うのでしょうか。
以下の表で比較してみましょう。

比較軸よくある複数会社化(子会社・別法人)ホールディングス(連結グループ経営)
構造親会社の下に子会社がある、または社長個人が複数の会社を直接持つ事業を行う会社とは別に、「グループの頭脳」となる法人を独立させる
目的目の前の新しい事業を立ち上げ、運営することグループ全体の価値(チームの力)を最大化すること
役割それぞれの会社が、自分の「実行」だけに集中する「考えること(戦略)」と「動くこと(実行)」を明確に分ける

「グループの頭脳」をビルトインするという考え方

ホールディングス化とは、現場で汗を流す「体(事業会社)」とは別に、グループがどこへ向かうべきかを決める「専用の頭脳(会社)」をグループの中に組み込むという決断です。

事業会社: 
現場でサービスを提供し、利益を生む「実行」の役割。
ホールディングカンパニー: 
グループ全体の戦略を練り、各社を導く「司令塔」の役割。

もし「頭脳」と「体」が分かれていないと、社長の頭の中は日々の現場の動き(実行)でいっぱいになり、じっくりと将来を「考える」時間がなくなってしまいます。

なぜ、あえてこの2つを切り離す必要があるのか、その本質的な理由を深掘りしていきましょう。

3. なぜ「実行」と「戦略」を分けるのか? 〜グループの頭脳の役割〜

ホールディングカンパニーを「グループの頭脳」、事業を行う会社を「手足(実行部隊)」と考えると、その重要性がよく分かります。人間も、頭脳がしっかりとした指令を出さなければ、手足がバラバラに動いてしまい、目的地にたどり着くことはできません。

「頭脳」を独立させることで得られるメリットは、大きく分けて3つあります。

1. 連結シナジー(チームの力)の創出

会社がそれぞれバラバラに動くのではなく、一つのグループとして協力し合うことで、単なる「1+1=2」以上の価値を生み出します。

これを専門用語で「連結シナジー」と呼びますが、要は「頭脳が全体を俯瞰しているからこそ、チームプレーができるようになる」ということです。

2. 経営戦略・運営機能の明確化

ホールディングス化の最も核心的な意味は、「戦略を練ること、管理すること」そのものを一つの仕事として独立させ、その機能でお金を稼ぐという点にあります。

「現場の仕事のついでに経営を考える」のではなく、独立した頭脳が「考えること」に専念することで、グループ全体の成長のスピードと質が劇的に変わります。

3. コントロール機能の強化

もし頭脳がなければ、複数の会社はまるで意思を持たずにピクピクと動く手足のような状態になってしまいます。頭脳(ホールディングカンパニー)が司令塔となり、グループ全体に一つの強い意志を通わせることで、組織は初めて一つの生き物のように効率よく、力強く動けるようになるのです。

「頭脳」の役割は、単にビジネスを大きくすることだけではありません。実は、経営者自身の「守り」と「実り」にも直結しています。

4. ホールディングスが実現する「2つの最大化」

ホールディングカンパニーという仕組みをデザインすることは、経営者にとって「一石二鳥」の価値をもたらします。

ホールディングスが持つ2つの柱

1. 連結グループ経営のコントロール機能
企業の価値を最大にする。

2. オーナー個人の資産設計機能
個人の資産を最大にする。

「会社」と「個人」を同時にデザインする

この「企業価値の最大化」と「個人資産の最大化」は、密接につながっています。

• 良いデザインの場合: 
会社の成長がオーナーの資産基盤を安定させ、その安心感があるからこそ、経営者はさらなる挑戦(攻めの経営)ができるようになります。このプラスのサイクルが、さらなる成長を呼び込みます。

• デザインが不十分な場合: 
せっかく複数の会社を作っても、お互いが足を引っ張り合ったり、個人の資産形成に結びつかなかったりと、負の影響が生じてしまいます。

この2つの果実を最大にするためには、中途半端な形ではなく、目的を持って仕組みを設計することが不可欠です。しかし、そこには無視できない「現実」も存在します。

5. デメリットを補って余りある「決意」の価値

正直にお伝えしなければならないのは、ホールディングス化にはコストがかかるという点です。

管理コストという現実

会社が一つ増えるわけですから、当然、設立の手間や税務申告、日々の事務手続きといった「管理コスト」は増加します。これは避けては通れないデメリットです。

それでも「ホールディングス」を選ぶ理由

では、なぜコストを払ってまでこの形を選ぶ経営者がいるのでしょうか。それは、ホールディングス化が、単なる節税や見栄えのための形作りではないからです。

ホールディングス化とは連結グループ経営に取り組むという「決意」の表れである、ということです。

• 「なんとなく会社を増やしておこう」という程度の考えなら、この形は必要ありません。
• 「本気でグループ全体の価値を高めたい」
• 「戦略的にオーナーとしての資産も守り抜きたい」

このように、真剣に成長を追求する経営者にとって、ホールディングス化は「管理コスト」というデメリットを補って余りある、強力な武器になります。

形を整えることは、経営者自身の覚悟を固めることでもあるのです。

6. まとめ:ビジネスの形を自由にデザインするために

今回の学びを整理してみましょう。

• 「頭脳」を独立させる: 
現場(実行)と戦略(頭脳)を分けることで、経営の質が変わり、チームとしての力が引き出されます。

• 「攻め」と「守り」の両立: 
グループ全体の価値を高めることと、オーナー個人の資産を設計することを、同時に、戦略的に進めることができます。

• 「決意」を形にする: 
ホールディングス化は、本気で連結グループ経営に向き合うという経営者の覚悟の証です。

ホールディングスという選択肢は、決して遠い世界の話ではありません。あなたのビジネスが広がりを見せ始めたとき、それを一つの強い意志で動かすための「器」が必要になります。

中途半端な設計で終わらせるのではなく、ご自身の理想とする未来に向けて真剣に向き合えば、必ず道は開けます。あなたがこの仕組みを使いこなし、大きな成長を実現していくことを心から応援しています。

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