※平成29年10月12日に株式会社さが美より適時開示されている「会社分割による持株会社体制への移行及び 定款一部変更(商号及び事業目的等の変更)に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。
内容
持株会社体制への移行
開示概要
●平成29年10月12日開催の取締役会において、
平成29年12月21日をもって持株会社体制へ移行するべく
会社分割(新設分割)を実施し、同日付で商号を
「さが美グループホールディングス株式会社」に変更するとともに、
事業目的を持株会社体制に相応しい内容に変更する旨、決議した。
●なお、持株会社体制への移行については、
平成29年11月29日開催予定の臨時株主総会において、
新設分割に関する議案の承認が得られることを条件として実施する。
持株会社体制への移行の背景と目的
●昭和49年8月に高級きもの専門店「株式会社さが美」として営業開始し、
現在、同社およびその子会社である「株式会社東京ますいわ屋」からなる
さが美グループは、
・呉服・和装品その他関連商品の小売、宝飾品等の小売などからなる小売事業
・自社不動産の賃貸事業
としてのその他事業を営んでいる。
●同社は、市場規模が減少する環境の中で、
不採算性事業からの撤退やM&Aによる事業構造の転換を進め、
中期再建計画を策定し構造改革を進めるなど、経営努力を続けてきた。
●前事業年度においては、収益力の改善を図るため、
事業構造改革を実施したことにより、
赤字要因を解消して経営資源をきもの事業に集中することで
営業利益の黒字化を図ることができた。
●しかしながら、これまでの厳しい経営環境と市場環境を踏まえ、
今後の経済環境の変化に対応するため、
グループ企業成長を早期に実現する必要があると考え、
持株会社体制へ移行することを決定した。
●同社は、持株会社体制に移行することで、
・経営機能と執行機能を明確に分離し、
・各事業会社においては、役割を明確にした上で責任と権限をもって
各事業会社が事業活動に専念して効率化を図り、
・持株会社においては、グループ経営戦略の立案と
経営資源の適正配分、人材の育成を図り、
グループ企業価値の向上を目指していく。
●なお、持株会社体制への移行方法は新設分割により、
現在当社が展開しているきもの及び宝石、その他関連する和装品の販売に関する事業を
新設する事業会社へ分割承継する。
●同社は、各子会社の持株会社として、
グループ戦略機能および各事業会社の管理機能を担い、
引き続き上場を維持していく。
移行方法
同社を分割会社とし、
新たに設立する「株式会社さが美」を承継会社とする新設分割を実施する。
なお、同社は「さが美グループホールディングス株式会社」へ商号を変更する予定。
新設分割の日程
①臨時株主総会基準日:平成29年8月31日
②新設分割計画承認取締役会:平成29年10月12日
③新設分割計画承認臨時株主総会:平成29年11月29日
④分割期日(効力発生日):平成29年12月21日(予定)
Review
今回は「さが美」の事例です。
同社は経営再建中の状況にあり、
現在は、アスパラントグループという投資会社が
同社の親会社になっているようです。
今回のホールディングス化の公表とともに、
「代表取締役の異動及び持株会社体制移行に伴う役員人事に関するお知らせ」
という内容の開示もあわせて公表されていました。
同社がホールディングス体制へ移行した際には、
上記の投資会社のメンバーがホールディングカンパニーの代表取締役となり、
グループ戦略機能、各事業会社の管理監督機能を担うようです。
アスパラントグループのホームページを確認してみると、
いろいろな企業へ投資をされていて、
かつ「ハンズオン型」という表現もありますので、
投資先に入り込んで、きちんと再建をしていくスタイルのようです。
投資会社の場合には、
きちんと投資先の企業価値を上げていかなければ、
ゴールであるイグジットにたどり着けませんので、
ハンズオン型できちんと経営に参画していくスタイルは、
ホールディングス経営との相性は良い気がします。
ちなみに、この投資会社が同社の親会社になったのが、
平成28年10月ということなので、だいたい1年前になります。
親会社になって以降、
いろいろと経営状況を確認しつつ、
再建のための支援をしてきたものと思います。
ただ先月には業績予想の下方修正を出しているようですし、
まだまだ完全再建とは言えない状況だと思いますので、
投資会社として、きちんと代表権をもった人材を配置し、
経営再建に取り組もうとされている状況のなかでの
今回のホールディングス化決定なのだと思われます。
おそらく、
経営不振に陥っている会社をM&Aにより取得し、
再建をしていくというようなモデルは、
投資会社に関らず、通常のグループ経営企業にとっては、
今後、重要な戦略にもなっていくと思います。
その意味でも、
今後、同社が本当の意味で経営再建を果たせるかどうか、
ホールディングス化事例の1つとして、
同社の今後の業績も注視してみたいと思います。