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Vol.86 ホールディングスとポジショニング戦略

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経営戦略において、
もっとも重要な戦略の1つが
「ポジショニング戦略」
だと考えています。

いろいろな戦略論や
マーケティング手法がありますが、
それらが効果を発揮するかどうかは、
この「ポジショニング」にかかっている、
といっても過言ではありません。

とくに
小さな会社や中小企業の場合は、
どのようなポジショニングをとるかで、
売上は数倍変わってくるほど
重要なテーマです。

小さな市場でもよいので、
まずは「一番になれるセグメント」
ポジションニングすることです。

そして、
一番のポジションを確立した後に、
そのセグメントを大きくしてけばよいのです。

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この考え方は、
グループ経営の場合も同じです。

とくに私が理想的と考える
「広げないグループ経営」は、
ポジショニング戦略と、
とても親和性があると思っております。

グループ全体で、
特定の市場のポジションを固めていけば、
圧倒的なNo.1企業になっていけるはずです。

何度もお伝えしている
地域を広げない(どこで)
顧客を広げない(誰に)
商品・製品・サービスを広げない(何を)
の3点セットを徹底することは、
「ポジションを作る」
ことと言っても良いでしょう。

グループ全体として、
「広げず」「フォーカス」していくことで、
ポジションを作っていくということです。

いったん
ポジションを作ってしまえば、
経営は本当に楽になりますので。

一方で、
ポジショニング戦略には
実際には悩ましい問題もあります。

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それは、
「いったんできあがったポジションを
変えることは簡単ではない」
ということです。

自らが望むポジションを築けて、
そのポジションを強くしていければ理想的なのですが、
経営実務の中では、
なかなか難しいものです。

それどころか、
「ポジションを変えたい」
と思うような局面の方が
実際には多いかもしれません。

いわゆる「リポジショニング」です。

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また、
「今のポジションは維持しつつ、
別のポジションも作りたい」
と考えることもあると思います。

個人的には、
「広げない」ことは重要だとは思いますが、
やはり実務現場では、
このようなニーズも多いものです。

たとえば、
「これまで低価格帯でビジネスをしていたが、
高価格帯のビジネスに参入したい」
といった場合や、
「今のブランドとは別のブランドを展開したい」
といった場合です。

このような場合、
1つの会社のなかで
2つのポジションを作るのは難しいため、
別会社を活用する事例
多いのではないかと思います。

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但し、
その別会社が
親会社と子会社の関係であれば、
どうしても一体で見られてしまうこともあり、
別のポジションを作るのが
難しいものです。

このような
「リポジショニング戦略」
「複数ポジショニング戦略」
といった場面で効果的なのが、
「ホールディングス」
です。

ホールディングスの場合、
ホールディングカンパニーの傘下に、
並列的に複数の事業会社を
置くことになります。

このホールディングカンパニーを
色のついてない「透明色」な会社として位置づけることで、
リポジショニングや複数ポジショニングが
容易になります。

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ラグジュアリーブランド等が
実践している方法も
ホールディングス形態にあたります。

ホールディングカンパニーの傘下に、
異なる複数のブランド企業を保有する形態です。

ホールディングスは、
ポジションの異なるブランドを
1つのグループ企業として統括したり、
有効な手法と言えるでしょう。

経営実務のなかでは、
最初に決めたポジショニングで
成功できるケースばかりではありません。

実際には、試行錯誤のなか、
環境に適応しながらポジションを変えたり、
複数のポジションを作ったり、
していくものだと思います。

そのため、
「リポジショニング」
「複数ポジショニング」
が常にありえることも前提に
経営をしていくことも不可欠です。

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そして、
このような「リポジショニング」や
「複数ポジショニング」を容易にしてくれるのが、
「ホールディングス経営」
なのです。

このような考え方があることを
頭の片隅にでも
入れておいていただければと思います。

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