連結グループ経営を実践するうえで
社長にも知っておいていただきたい知識の解説です。
消費税の負担者は誰?
消費税は、
一番身近な税金であり、
かつ、一番理解されづらい税金だと
感じています。
一般消費者にとっては、
それほど複雑な税金ではないのですが、
これが「法人」となると、
急に誤解されがちになるのが、
消費税という税金です。
そこで、一般知識として、
法人にとっての「消費税の仕組み」を
ざっくりお伝えしておきたいと思います。
質問です
まず、最初に質問です。
●消費税は誰が負担するものでしょうか?
●消費税率が上がると、法人の税金負担率も上がるのでしょうか?
これについては、
結構誤解されがちなのですが、
解答は、
「消費税を負担するのは一般消費者(エンドユーザー)であり、
法人は消費税を負担しません。」
です。
そのため、
消費税率が上がったとしても、
法人の税金負担が増えることはありません。
確かに、消費税率が上がり、
一般消費者の購買活動が鈍った結果として、
法人の業績に影響を与える、
ということは当然あり得ます。
但し、
このことと消費税負担額は
一切関係ありません。
この消費税の仕組みをご理解いただくために、
以下のような簡単な設例を示させていただきます。
設例
法人Aが商品Bを108円(税込)で仕入れて、
この商品を324円(税込)で消費者C販売する。
質問1)法人Aの利益はいくらでしょうか?
質問2)法人Aの納める消費税額はいくらでしょうか?
解答
いかがでしょうか?
すぐにイメージできますでしょうか?
答えは、
・質問1の解答⇒200円(※216円ではありません)
・質問2の解答⇒16円
となります。
何度も繰り返しになってしまいますが、
消費税を負担するのは「一般消費者」です。
そのため、
このケースの場合、
消費税を負担するのは、
一般消費者Cになります。
消費者Cは商品Bを購入するにあたって、
本体価格300円の商品に
消費税24円を付けて支払っています。
つまり、
消費税24円を負担するのは、
消費者Cになるのです。
解説
ここで、
質問2の解答から、
「法人Aも消費税16円を納めるのでは?」
という疑問もあるかもしれません。
確かに、
法人Aは消費税16円を納税する必要があります。
但し、このことは、
「法人Aの消費税負担=16円」
ということを意味しません。
どういうことかというと、
法人Aが納税する消費税16円は、
一般消費者から預かった消費税24円が
原資になっているからです。
つまり、
法人Aが消費税を負担しているのではなく、
一般消費者Cから24円の消費税を一時的に預かって、
それを代わりに納税しているのが
法人Aということになります。
消費者Cの代わりに納税するのであれば、
本来、法人Aは、預かった消費税24円を
そのまま納める必要があります。
但し、
法人Aは商品Bを100円で購入する際に、
8円の消費税を付けて支払っています。
つまり、
法人Aは消費税負担をする必要が無いのに、
8円の消費税を支払っていることになります。
そこで、
法人Aが消費者Cから預かった消費税24円を
代わりに納税する際に、
仕入時に支払った消費税分の8円は
控除してから支払ってよい、
という仕組みになっています。
つまり、
①消費者Cから預かった消費税24円
②仕入時に支払った消費税8円
の差額16円(=24円-8円)を
法人Aは消費税として納税することとなるのです。
消費者Cが負担した24円の消費税は、
法人Aが代わりに預り、
そのうち16円を代わりに納税する、
ということです。
そして、
消費者Cが支払った消費税24円のうち
残りの8円(=Cの消費税負担額24円-Aの納税額16円)は
どこに行ったかというと、
法人Aが商品Bを仕入れた仕入先が
残りの8円を預かっていることになるため、
この仕入先が残りの預かっている
消費税8円を納税することになります。
結局・・・
企業にとっては、
「売上に関わる消費税=一時的に預かっている税金」
「支払に関わる消費税=一時的に仮払いしている税金」
ということです。
当然、消費税額は、
売上高にも反映されませんし、
仕入高にも反映されませんので、
利益にも影響はありません。
上記の問題1の解答では
「法人Aの利益=200円」となっていましたが、
これは税抜価格で利益も考えるということを意味します。
消費税には注意して下さい!
このことから注意が必要なのは、
「売上に関わる消費税は、自社のお金ではない」
ということです。
法人にとっては、
あくまで預っている税金ですので、
いずれ返す必要がある(代わりに納税)お金です。
法人にとっての消費税は、
いったん手元にお金が入ってきて、
後から納税する仕組みになっていますので、
どうしても「納税=損をした」という
気持ちになりやすい傾向にあります。
ただ実態は、
預っているお金を返すだけですので、
損をしているわけではありません。
この点はとくに留意が必要です。
くれぐれも運転資金として
使ってしまわないように注意が必要です。