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Vol.46 ホールディングカンパニーに求められる経営人材

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最近、上場会社の
適時開示情報を見ていると、
ホールディングス経営に移行している事例が
本当に多いと感じます。

上場会社ではホールディングス化が
流行っているようです。

但し、
ホールディングス経営は
上場会社や大きな会社だけのものではなく、
小さな会社や中小企業にとっても
とても有効な組織デザインだと思っています。

ですので、
先行している上場会社の事例から
学べる部分は学び、
小さな会社や中小企業も
どんどん応用し、適用していった方が
よいと思います。

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ということで、
今回は上場会社である不二製油が
先日開示していた事例をもとに
書いてみたいと思います。

2015年5月22日付の
不二製油の開示情報では、
ホールディングス化についての
背景と目的が書かれていました。
(詳細は「【事例】不二製油」を参照)

この不二製油の開示資料によると、
ホールディングス移行の目的の1つに
「経営人材の育成」
という点が挙げられていました。

なぜ、ホールディングス経営に移行すると、
経営人材の育成につながるのでしょうか?
本当に経営人材の育成になるのでしょうか?

具体的な事業を行う子会社への
権限委譲が進むことにより、
各子会社で経営人材が育つということでしょうか?

不二製油の場合、
どのような意図で「経営人材の育成」と
表現していたかの真意はわかりません。

私個人の意見としては、
「ホールディングス経営へ移行=経営人材の育成」
という公式は成り立つと思っています。

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但し、これは、
権限委譲された子会社側というよりは、
ホールディングカンパニー側の議論として
考えた方がしっくりきます。

つまり、
ホールディングス経営への移行と
子会社側で経営人材が育つかどうかは、
それほどリンクしないと考えます。

なぜならば、
別にホールディングス経営の形でなくても、
子会社へ権限委譲はできるので、
ホールディングス経営が必須とはいえないからです。

それでは、なぜ
「ホールディングス経営へ移行=経営人材の育成」
になるかというと、
「ホールディングカンパニー側において経営人材が育つ」
と考えるからです。

ホールディングカンパニーは、
グループ経営の頭脳として、
グループ内でリーダーシップを発揮して、
各事業子会社を引っ張っていく必要があります。

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そのためには、
経営全般のことを理解し、
人や組織を動かしていく能力を
磨いていくことが求められます。

ホールディングカンパニーでは、
それが本業の仕事であり、
これをやり遂げることで
法人としての存在意義が出てきます。

そして、
このような能力は、ずばり
「経営において必要とされる能力そのもの」
と言っても過言ではありません。

つまり、
ホールディングス経営という形をとることで、
ホールディングカンパニーにおいて、
経営人材が育つ環境が出来上がるのです。

当然、
ホールディングス経営の全体のデザインは、
経営者自らが実施する必要があります。

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但し、
実際にホールディングス経営の仕組みを構築し、
機能するように実務面でフォローし続けるのは、
経営者の右腕である経営人材であり、
ホールディングカンパニーの社員といえます。

この仕組みを構築し、動かしていく、
という業務はとてもハードルが高い業務ではありますが、
これにチャレンジしていくことで、
経営人材としての能力が格段にアップしていくはずです。

たとえば、
現場のエースをマネジメント層へ引き上げる際に、
あえてホールディングカンパニーの人材にしたうえで、
ホールディングス経営の仕組みを作る役割を
与えるという方法もあると思います。

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現場のエースがいなくなること自体は、
各現場にとってマイナスかもしれませんが、
グループ全体の将来を考えると、
良い手法の1つだと思います。

 

このように、
ホールディングス経営への移行は、
後継者育成や、経営人材育成に必要な環境が、
自然と出来上がるという意味で、
とても有効な手法だと思っています。

不二製油の事例が
このような視点で開示をしていたかはともかくとして、
「ホールディングス経営=経営人材の育成」
という公式は成り立つと考えています。

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