※平成27年5月22日に不二製油株式会社より適時開示されている「会社分割による持株会社体制への移行及び商号変更 及び定款一部変更に関するお知らせ 」をもとに情報を整理しています。
内容
会社分割による持株会社制移行
商号変更及び定款一部変更
開示概要
●平成27年10月1日を効力発生日として新設分割による持株会社体制に移行することを決議。
●株主総会の承認が得られることを条件に実施。
●持株会社体制への移行方法は、新設分割により「油脂」「製菓・製パ ン素材」「大豆たん白」の国内事業を担う事業会社(新設会社)を新設し、当該事業を当該新設会社へ分割承継。
●当社は持株会社になり、「グループ戦略機能」「地域統括会社の管理機能」を担う。
●持株会社体制への移行により、グループの企業価値の最大化を図っていく。
持株会社化の背景
●現在、「油脂」「製菓・ 製パン素材」「大豆たん白」の事業を日本・アジア・中国・米州・欧州等の地域で展開するとともに、 新たな市場の開拓を行っている。
●同社を取り巻く経営環境は、国内市場が成熟するなか、競争のグローバル化が進み、大きな変革の時期を迎えている。
●グローバル経営・技術経営・サステナブル経営の推進を図り、2030年迄に売上高5,000億円、営業利益率10%のグローバル企業になることを目標にしている。
●このグループ成長戦略を実現するためには、各地域のニーズに応じた価値創造力を高め、当社グループ全体の企業価値を最大化する経営体制を構築する必要があり、持株会社体制への移行が必須と判断。
持株会社化の目的
以下の3つが目的である。
①新規事業やM&Aを含むグループ経営の戦略立案機能を強化し、グループ内経営資源の配分を最適化する。
②各地域の状況に応じた価値創造力を発揮させるために、日本・アジア・中国・米州・欧州のグループ各社への権限・ 責任の委譲による意思決定の迅速化を図り、各地域のニーズに合致した商品・サービスの創造力を高める
③当社グループの成長戦略を担う経営者人材をグループ全体・社外より確保するとともに、グループ全体の変革を推進する次世代のリーダー育成を継続的に実現していくこと
持株会社体制への移行の要旨
●移行方式
同社を分割会社とし、新設する「不二製油株式会社」を承継会社とする新設分割
●会社分割の日程(予定)
①新設分割計画書の承認取締役会:平成27年5月22日
②新設分割計画書の承認株主総会:平成27年6月23日(予定)
③新設分割の期日:平成27年10月1日(予定)
新設会社の概要
●事業内容:油脂、製菓・製パン素材、大豆たん 白の事業に関する食品の製造販売
●資本金:100百万円
●設立年月日:平成 27年10月1日
●決算期:3月 31 日
●大株主及び持株比率:不二製油株式会社 100%
Review
歴史のある会社の持株会社への移行が
多くなっているように感じています。
不二製油では、
グループ企業としてグローバルに展開し、
成長していくための手段として、
ホールディングス経営が「必須」であると
判断したようです。
細かい点ですが、
この「必須」という表現はとても印象的です。
他の会社で「必須」という表現を
あまり見かけた記憶がありません。
つまり、
「企業グループとして成長していくためには、
ホールディングス経営しかない」
という意志を表明しているということです。
次に、
ホールディングス移行の目的としては、
以下の3つを挙げています。
①新規事業やM&Aを含むグループ経営の戦略立案機能を強化
⇒グループ内経営資源の配分を最適化する。
②グループ各社への権限・ 責任の委譲による意思決定の迅速化
⇒各地域のニーズに合致した商品・サービスの創造力を高める。
③当社グループの成長戦略を担う経営者人材をグループ全体・社外より確保
⇒グループ全体の変革を推進する次世代のリーダー育成を継続的に実現
上記の目的のうち、
①②はよく見かける目的です。
私が注目したいのは③です。
「次世代のリーダー育成を継続的に実現する」とあります。
これがどこまでを指しているか分かりませんが、
「ホールディングス経営は経営人材の育成につながる」
と表現しています。
この③の目的をしっかり明示している点が
私にとっては、とても印象的でした。
私が考える「ホールディングス経営」の理論と
しっくりくる内容だからです。
ホールディングス経営を当初目的通り運営していくのは、
実はそれほど容易ではないと思っています。
ホールディングス経営は、
頭も使い、実行し、人を動かす、
といったあらゆるビジネス能力が求められるからです。
但し、これからの時代は、
このような難しいことにも挑戦していかなければ、
事業を継続させ、永続企業にしていくのは難しい時代です。
結局は、組織は人で成り立っています。
企業組織の差は、
行きつくところは「人」の差になってくると考えています。
ということは、
企業成長、事業継続にとって、
経営に必要な人材をどれだけ育成できるかが
これからは、より重要なカギを握ることになります。
私自身、
ホールディングス経営は、
経営人材育成に最適な組織デザイン
であると考えており、
その点をホールディングス移行の目的に
きちんと入れている不二製油は、
「良い点を押さえているな」
と率直に感じました。
(参照:Vol.46)
今後の不二製油から目が離せなくなりました。
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