※平成29年5月16日に山下医科器械株式会社より適時開示されている「単独株式移転による純粋持株会社体制への移行について」をもとに情報を整理しています。

内容

持株会社体制への移行

開示概要

●平成29年5月16日開催の取締役会において、
平成29年8月29日開催予定の定時株主総会における承認決議など
所定の手続きを経た上で、平成29年12月1日(予定)を期日として、
同社単独による株式移転により純粋持株会社(完全親会社)である
「ヤマシタヘルスケアホールディングス株式会社」
を設立することを決議した。

持株会社体制移行の背景・目的

●同社が属する医療業界を取り巻く環境は、
急速な少子高齢化の進展や国民医療費の増加、
診療報酬の改定や消費税増税等、
様々な要因により急速に変化している。

●そのような環境の中、
医療機関へのトータルサポート力のさらなる向上を図るため、
変化に対応できる人材強化および育成、
顧客基盤のさらなる拡充、各顧客との関係強化をさらに進めている。

●このような状況を踏まえ、
今後、多様化する医療機関のニーズへの対応、
更なる業務効率の改善、国内市場での大幅な競争力アップを実現するため、
経営体制を見直し、変化が著しい医療機器卸業界に対応した、
事業再編の機動性および柔軟性を確保するとともに、
スケールメリットを活かした経営を行うことで、
今以上に成長を加速させ、更なる企業価値の向上を実現していきたい。

●上記を実現させるために、
迅速かつ柔軟な経営判断ができる体制を構築するとともに、
グループ各社の採算性と事業責任の明確化を図ることが不可欠であると考え、
平成29年12月1日に株式移転により
完全親会社となる「ヤマシタヘルスケアホールディングス株式会社」を設立し、
純粋持株会社体制へ移行することとした。

●株式移転に伴い、同社株式は上場廃止となるが、
新たに設立される持株会社の株式について
東京証券取引所市場第一部への上場申請を行う予定である。

●移行後は、純粋持株会社である
「ヤマシタヘルスケアホールディングス株式会社」 が、
・グループ全体の経営戦略の策定
・経営資源の配分
・子会社の業務執行に関する監督機能
を担う。

●また、子会社各社のミッションを明確にするとともに、
グループ内事業間のシナジー効果の追求や、
他社とのアライアンスによる事業の再編などによって、
グループ全体としての経営効率を高め、
グループ外取引の拡大、新たな事業機会の創出などを通じた
成長力の強化を図っていく。

●グループは、純粋持株会社体制のもと、
グループ全体で一丸となって、競争力、 収益力の強化による
企業価値の向上を目指していく。

純粋持株会社体制移行の手順

同社を株式移転完全子会社、持株会社を株式移転設立完全親会社とする単独株式移転。

株式移転の日程

①株式移転計画書承認取締役会:平成29年5月16日(火)
②定時株主総会基準日:平成29年5月31日(水)
③株式移転計画書承認定時株主総会:平成29年8月29日(火)(予定)
④山下医科器械株式会社上場廃止日:平成29年11月28日(火)(予定)
⑤株式移転期日・純粋持株会社設立日:平成29年12月1日(金)(予定)
⑥純粋持株会社設立登記日:平成29年12月1日(金)(予定)
⑦純粋持株会社上場日:平成29年12月1日(金)(予定)

 

Review

今回は「山下医科器械」の事例です。

同社はもともと連結子会社1社と
持分法適用会社1社というグループ経営でしたが、
今回のホールディングス化の決定と同時期に、
新たに他の会社の株式を取得して、
子会社をもう1社増加させている背景があります。

 

子会社が2社になると同時に
ホールディングス化しているところから推察するに、
これからもM&Aを積極的に実施していきたい思いが
あるのではないかという気がします。

 

そして今回、同社の事例で少し確認をしてみたいのが、
「単独株式移転」
によるホールディングス化というものです。

最近の事例を見る限り、
「分割準備会社設立&会社分割」
のパターンが多いので、
今回のような株式移転型は珍しい部類になります。

 

ちなみに、過去にも単独株式移転型の
ホールディングス化の事例をご紹介させていただきました。

【事例】みらかホールディングス株式会社
【事例】日本コンベヤ株式会社
【事例】株式会社 大木

 

過去の事例でもコメントしましたが、
株式移転型のホールディングス化は、
上場会社では少し手続き的な手間もあってか、
採用されないことが多いようです。

未上場会社の場合には、
状況も変わってくるとは思いますが。

 

そのあたりについて、
今回の事例をもとに改めて確認してみたいと思います。

 

今回の同社のホールディングス化は、
同社の今回の資料によると以下の手順で実施されるようです。

現状

株式移転⇒純粋持株会社設立

グループ内組織再編

 

上図のうち真ん中の図の「ステップ1」を見ていただくとわかりやすいのですが、
単独株式移転で持株会社を作る場合には、
それまで上場していた会社(もともとの親会社)が
新たに設立される持株会社の子会社となります。

その結果、
もともとの上場会社(もともとの親会社)は、
直接の上場会社とは言えなくなり、
実際に株式上場すべき会社は持株会社の方となります。

 

そうなると、
新たに設立される持株会社(新しい親会社)が
きちんと上場基準に適した会社である必要が生じるため、
それに関しての審査が別途必要になってきます。

つまり、

————————————-
既存の上場会社(もともとの親会社)が
非上場会社となるための上場廃止手続きや
新たに設立される持株会社(新しい親会社)の
上場申請手続きが必要になる
————————————-

といった手間がかかるということです。

 

このあたりの手続き等を考えると、
上場会社では株式移転型のホールディングス化が
敬遠される感じになるのでしょう。

 

ちなみに、
このようなケースにおいて、
上場会社の機動的な組織再編をサポートする手段として、
「テクニカル上場」
という制度が東証では設けられています。

 

ここで、テクニカル上場とは・・・、
—————————-
上場会社が
非上場会社と合併解散する場合や、
株式移転・株式交換によって
非上場会社の完全子会社になる場合等に、
当該非上場会社の株式について
流動性基準への適合状況を中心に確認し、
すみやかな上場を認める制度
—————————-
です。

 

要は、
既存の上場会社のカタチが変わっても、
実態が存続すると認められる場合には、
簡易な手続きで上場を認めるという制度です。

 

参考までに、
日本取引所自主規制法人上場管理部が公表している
「上場管理業務について-テクニカル上場の解説-」
では、参考のスケジュールとして以下のような
スケジュール例が掲載されています。

日本取引所自主規制法人上場管理部「上場管理業務について-テクニカル上場の解説-」より引用

 

いずれにしても、
まずは東証や日本取引所自主規制法人へ
「事前相談」をすることがスタートとされています。

ということで今回は、
「山下医科器械」のホールディングス化の事例をもとに
今回は株式移転型のホールディングス化と
テクニカル上場の説明でした。

 

★★★★★★★
株式移転?
テクニカル上場?
★★★★★★★