見過ごされがちな悪い症状
グループ経営の現場において、
すべてのグループ会社が黒字だったり、
絶好調だったりすることは多くありません。
なかなかそう上手くはいかないものです。
グループ会社ごとにグループ内での役割も違いますし、
すべてが黒字会社になっていなくても、
それがグループ全体最適のバランスとして成立しているのであれば、
それはそれで問題ないという見方もあると思います。
ただ、
グループ全体最適になっているかはともかく、
グループ全体で利益が出ていると、
どうしても悪い部分へは目がいかない傾向があります。
たとえば、
赤字が続いている子会社のことや
グループ会社間に「大きな壁」が出来ていたり、
グループ各社が個社最適に動いていたり、
といった感じのことが、
どうしても見過ごされてしまうものです。
グループ利益が出ているときにこそ
数値的に良い状況が続いているときは、
どうしてもカタチを変えづらかったり、
気づかぬうちに強気になったりして、
グループ組織内に悪い症状があっても、
その改善への優先順位は落ちていく会社が多いようです。
人間心理上、仕方がないことだと思います。
ただ、ビジネスを長く続けていく上では、
良い時もあれば悪い時もあるものです。
そのため、
あまり保守的になりすぎるのは良くないかもしれませんが、
グループ利益が出ているときこそ、
次に来るかもしれない「悪い波」に備えた準備が必要だと、
感じる機会が多いです。
グループ全体として利益が出ているときは
それほど問題が表面化しないものですが、
いったんグループ利益が出なくなってくると、
次々と問題が表面化してきますし、
悪い症状も改善困難な状態まで膨らみがちです。
こうなってしまうと、
社長のせいにしたり、他人のせいにしたり、
子会社のせいにしたり、親会社のせいにしたり、
お互いを攻撃しあう文化が蔓延していきます。
単一会社経営の場合でも
同様なことは起こりえますが、
グループ経営の場合には、
グループ利益が出なくなったときの負の反動が
数倍にもなって返ってくる印象が強いです。
この状況を改善していくのは
相当なエネルギーと犠牲を払うことになるでしょう。
立ち直れないことすらあるのが現実です。
経営者の役割
そう考えると、
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グループ経営者はグループ利益が出ているときこそ
グループ内の「悪いところ」に目を向け、
それが肥大化しないように気を付けていく
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という姿勢が重要なのだと思います。
この役割は、
経営者が率先して意識しながら実行していかなければ、
対処が難しい課題だと思っています。
悪い症状は、待っていてもなかなか
経営陣の方までは上がってこないものです。
仮に、社長の耳に届いたとしても、
不都合な本質がそぎ落とされた情報になって上がってくるため、
適切な経営判断ができる情報でない場合が多い気がします。
グループ利益が出ているときにおいて
このような「悪い情報」「悪い症状」を
経営者として入手していく仕組みをいかに作れるかどうか。
そして、
このような悪い症状を、
グループ利益が出ているうちに解消しておけるかどうか。
このことは、
グループ利益が出ている状況における
経営者の重要な役割のような気がしています。
グループ利益が出なくなってからでは、
このような悪い症状の改善は本当に大変ですので。
さらに最近感じること
さらに最近感じることとしては、
実は、経営者は、グループ組織内に存在する「悪い症状」について、
薄々感じていることが多いのではないか、
ということです。
そして、
グループ利益が出ているときには、
無意識的に(?)、このような悪い症状を見過ごしているのではないか、
とも感じたりします。
なぜかというと、
悪い症状を特定し、分析し、
それに対して、何らかの意思決定をしていくのは、
経営者としても相当なエネルギーが必要なのだと思います。
いわゆる「権力」をもっている経営者であったとしても、
簡単にできることでないのだと思います。
「できることなら、自然と現場内で
悪い症状が解決され、改善されてほしい」
グループ利益も出ているうちは、
このような思いが経営者の本音なのではないでしょうか。
ただ、残念ながら、
このような状況が現場だけで改善されていくケースは、
ほとんどないのではない気がします。
やはり、このような大変な役割こそ
経営者として頑張って対応していく必要があるのだと思います。
社員はそのような経営者の姿勢を結構見ているものです・・・。
嫌な役割も率先してきちんとこなし、
実行していく姿勢こそが社員から評価され、
結果として「悪い症状」が深刻化する前に改善されていき、
グループ利益が出し続けられる会社になるのではないか。
社員は社長をよく見ていますし、期待をしています。
このようなことを思う最近です。