記事一覧

Vol.104 事業別グループ会社と連結決算管理

Pocket

今回は事業別グループ会社の
連結決算管理についてです。

このケースは、
・事業の多角化
・マルチブランド展開
といったグループ会社が当てはまります。

経営者の中には、
1つの事業に集中する性格の方と、
どんどん新規事業を立ち上げていく性格の方と
2つのタイプに分かれます。

一般的には、
企業成長・拡大を望む経営者には、
後者(=新規事業化を進める)の
タイプの方が多い印象です。

このような性格は、
経営者としては大切なマインドである一方で、
一歩間違うと、
破滅に向かっていく恐れもあります。

Vol.52(2)

ブレーキをかけてくれる経営参謀が
傍にいればよいのですが、
なかなか、そのような存在に恵まれないケースも
多いのではないでしょうか。

企業は成長・拡大していくことも重要ですが、
永続していくことの方が重要です。
倒産してしまっては、意味がありません。

調子が良い時は、
勢いよく伸びていく多角化経営ですが、
いったん調子が狂うと、
負のスパイラルが始まることも多いのも事実です。

このような特徴を踏まえ、
事業別グループ会社の場合の
連結決算の管理体制
確認してみたいと思います。

まず注意していただきたいのが、
「事業多角化=経営資源の分散」
になりやすいという点です。

Vol.7(2)

たとえば、
採算の良いA事業に
経営資源を集中すればよいところを
採算の悪いB事業に配分することで、
グループ全体としては
効率が悪い状態に陥る場合があります。

このような状態になっていることが
頭では分かっていても、
修正しきれていない会社を
よく見かけます。

理由は、
「一度できた会社を消滅させるのは難しい」
からです。

組織というものは、
いったんできあがると、
組織の存続が目的になり、
廃止するのが難しいものです。

つまり、
いったんできあがった組織は、
組織維持することが最優先になり、
なんとかして組織が無くならないように
力が働くのです。

Vol.64(1)

 

次に、もう1つ特徴的な
「経営資源の非効率配分」
の例を挙げると、
「間接業務の重複」
という点です。

事業が多角化し、
グループ会社が増えていくと、
間接業務を中心に
機能重複が起きてきます。

たとえば、
経理機能や総務機能、
といったものです。

これらの間接業務は、
会社数に応じて増える傾向があるため、
注意が必要です。

これもグループ全体でみると、
ロスの要因になります。

Vol.18(1)

 

そして、
最後にもう1つ注意すべき視点があります。

それは、
「税金」
です。

会社が増えれば増えるほど、
グループ全体の税金が増える可能性が高くなる、
ということです。

たとえば、
グループ会社を増やすことで、
交際費で節税できる枠が増える、
といったメリットも無くはありません。

但し、
そのような小さな視点よりは、
もっと大きな視点で考えていただきたいと思います。

グループ会社のすべてが黒字であれば、
それほどグループ全体の税金に
有利不利はありません。

但し、
グループ内に
1社、2社と赤字企業増えていくと、
グループ会社化することで、
税金が増えてしまう可能性が高くなります。

ざっくり説明すると、
法人が別々になることで、
黒字事業と赤字事業の損益を
ネットできないからです。

Vol.36(2)

 

このように事業別グループ会社化の場合には、
「ハイリスク・ハイリターン型」
のグループ経営になりがちです。

経営者としては、
「ハイリターン」の方には意識が向くと思いますが、
それと同時に
「ハイリスク」の方にも
注意を向けていただきたいと思います。

つまり、
事業別グループ会社化の場合には、
・グループ全体のリスク管理
・経営資源の非効率配分の防止
という視点で、
「連結決算の仕組み」
構築することが望まれます。

 

具体的には、
以下のような視点を、
経営者としては押さえておいていただきたいと思います。

STEP1) 各社の単純合算財務諸表を作成する
STEP2) 各社の損益の全体像を把握する
STEP3) グループ経営資源の配分状況を確認する
STEP4) 1つの会社に統合できるものがないかを検討する
STEP5) グループ全体の税金の状況を確認する

Vol.53(1)

上記については、
個別に詳細説明したい内容もありますが、
長くなりますので、
別の機会に譲りたいと思います。

是非、
「本当にその事業は別会社にする必要はあるのか?」
という問いをご自身にしてみて
いただきたいと思います。

関連記事