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Vol.247 これから期待したい「連結決算システム」

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連結システム vs Excel連結決算

本日は連結決算システムについての記事です。

連結決算システムの関しては
以前に以下の記事を書いたことがあります。
Vol.229 連結システム vs Excel連結決算

上記記事のなかでは
連結決算システム導入のメリット・デメリットとして、
以下を挙げさせていただきました。

————————————————————–
■メリット
①海外子会社の外貨換算が楽になる
②合算・集計といった単純計算時のミスを防止できる
③年度更新等が機能として自動化できる

■デメリット
①基本設定が大変(設定ミスがあると変なことになる)
②自動化されることでヒトとして考える力が低下する(間違いにも気づきづらくなる)
③小回りが利かない(Excelのようにすぐにカスタマイズができない)
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ただ、上記以外に考えるべきデメリット要素があるとすれば、
やはり「システム導入に関するコスト」だと思います。

当然、システム導入にはお金がかかりますので、
コスト面も含めて上記のメリット・デメリットを
総合的に考えていくことになると思います。

 

連結システムを使用するメリットの方が大きい会社とは

システム導入をせずに連結決算を実施する会社は、
基本的にはExcelで対応をしていると思いますが、
Excelであれば基本的に追加コストは0円ですので、
どの会社も最初に連結決算をするときは、
ほぼ100%がExcel版でスタートしているのではないかと思います。

 

それでは一般的に、どのような会社であれば、
Excelではなくコストをかけてでも連結決算システムを
使用するメリットの方が大きくなるかを考えてみたいと思います。

考えられる状況としては、以下のような状況でしょうか。
—————————————————
・子会社の数が6社以上ある
・海外子会社が複数社ある
・複数人で連結決算の業務をする体制にある
・子会社とも連動した連結決算体制を構築したいと考えている
・子会社の精度が低く、単純な計算チェックをする頻度が高い
・連結決算業務が属人化してブラックボックス状態になっている
・グループ内の取引数が多い
・1社のなかに複数の事業(セグメント)をもっている会社がある
・勘定科目の変更・追加が頻繁に起きる
—————————————————

このうち5つ以上当てはまるようであれば、
連結決算システムを導入した方が、コストを上回るメリットや
リスク低減効果が生じるような気がします。

 

私も連結決算コンサル業務をするなかでは、
Excel版の連結決算の仕組みを構築することが結構多いのですが、
「規模的にはそろそろシステム導入するフェーズだな」
「Excelのメンテナンスはそろそろ限界かな」
と感じることが状況によってはあります。

ただ一方で、そのような場面でも、
連結決算システム導入はやはり結構コストが高いこともあり、
なかなか提案しきれないというのが実情でして、
Excel運用が継続している状況があったりするものです。

 

Excelから連結システムへ移行するフェーズの会社は、
まだまだ連結業務に関与している人材が社内でも限られている状況が多く
連結決算業務への社内理解が少なかったりします。

そのような状況のなかで、
数人しか使用しない連結決算システムを導入するのは、
やはりハードルが高いといった状況でしょうか。

 

代表的な連結決算システム

連結決算システムについては、
いくつかの会社が提供をしています。

 

たとえば、Excelの連結決算業務から
連結システム導入を考える会社が検討する例としては、
有名どころでは、
・DIVA(株式会社ディーバ)
・STRAVIS(株式会社電通国際情報サービス)
といったような連結決算システムがあります。

私もこれらのシステムは使用する機会も多く、
とても便利なのは間違いないのですが、
一方で、結構大掛かりなシステムであるため、
マスタ等の初期設定から含め、使いこなすのは結構大変な印象です。

また、導入にあたっての初期コストも大きいのですが、
ランニングコストもそれなりのコスト感ですし、
連結パッケージや科目体系を変更しようとしても、
自社でやりきるのが難しく、結局、都度メンテナンス外注をすることで、
スポットのコストも生じたります。

 

そう考えると、
それなりの会社数(少なくとも10社以上)があり、
社内の連結決算人材も数名いて、
システム導入に抵抗感のない会社規模でないと、
提案自体もしづらいといった状況でした。

私がサービス提供をするクライアントは
やはり子会社が10社に満たない会社がほとんどなので、
StravisやDivaを提案するのは現実的には厳しいな、
という感じでした。

 

「大がかりでなくてもよいので、
   そこそこの性能で、そこそこのコスト感で
   導入できる連結システムがあったらな」

 

このように感じる機会はこれまで結構ありました。

 

マネーフォワードの連結決算システム

そこで今回ご紹介してみたいのが
マネーフォワードクラウド連結会計
です。

2022年にリリースしたばかりということで、
まだまだ発展途上の部分はあると思いますが、
通常の会計システムとしてマネーフォワードの便利さを実感している私としては、
マネーフォワードの連結決算システムについても期待せずにはいられません。

 

私自身、マネーフォワードの連結システムを
まだ使用したことはありませんが、
機能性が気になったので、先日、マネーフォワードの担当者に、
連結システムの概要を実際に確認してみました。

個人的な感触としては、
————————————————————–
・まだSTRAVISやDIVAほどの大がかりなシステムではない
・STRAVISやDIVAほどメンテナンスが大変そうではない
・但し、Excelの弱点を解消できる機能性はある
・今後1年くらいかけて機能改善を図り、
 少しずつSTRAVISやDIVAのような機能に近づいていきそう
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といった感じでした。

 

マネーフォワード社のホームページより引用

 

私も実際に使用をしたことのないシステムなので、
機能性についてはまだ詳細を正確にはお伝えができませんが、
・Excelでの運用に限界を感じている会社
・連結決算システムをそろそろ導入した方がよいフェーズの会社
・そこまで大がかりな機能は必要としていない会社
・最初は連結決算システムの導入費用もできる限り抑えたい会社
が、Excelからの卒業フェーズで導入するには、
ちょうどよいレベル感の連結システムだと感じました。

 

また、同時にあり得るシチュエーションとしては、
これまでSTRAVISやDIVAのような連結決算システムを使用しているけど
実は使いこなせてない会社やオーバースペックと感じている会社が、
ダウングレード版としてマネーフォードの連結決算システムを
検討してみるという可能性もあるような気がしました。

 

過去に私が連結決算コンサルをしているなかでは、
連結決算システムからExcel版の連結決算に移行をする
というシチュエーションもありました。

とくにグループ会社数が少ないのに、
無駄に大がかなり連結決算システムを使用していて、
結局、運用がついていっていないような状況において、
Excelへ逆戻りさせることがコスト的にも運用的にも
効果的なケースもあり得ますので。

ただ、このようなケースにおいても、
マネーフォワードのような手頃な連結決算システムが
選択肢としてあるのであれば、Excelまで逆戻りをさせなくても、
連結システムを変更することで解決できる場面もあるかもしれません。

 

まとめ

イメージではありますが、
Excelによる連結決算が小学生レベルだとすると、
これまでは、この小学生レベルを卒業した後に
ちょうどよい中学生レベルの連結決算ステムがなく、
結局、高校生とか大学生レベルの連結決算システムを検討せざるを得なく、
学費も高かった状況がありました。

それが、マネーフォワード社の連結決算システムは、
Excelによる連結決算という小学生レベルを卒業した後に、
ちょうどよい中学生レベルの連結決算システムの位置づけになる感じでしょうか。

 

今後、マネーフォワード社の連結決算システムが
中学生レベルから高校生レベルまで機能を拡充される印象なので、
Excelから卒業フェーズとしては、
良い選択肢が1つできたなのではないかと感じています。

 

ということで、
今後のマネーフォワード社の連結決算システムの進化については、
引き続き注視・期待をしたいと思います。

 

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