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Vol.153 多角化が成功する会社と失敗する会社の違い

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経営者は、
必ず「多角化」を考えるものです。

理由はいくつかありますが、
一般的には、
・起業家としての好奇心
・規模拡大という上昇志向
・単一事業に対するリスクヘッジ
といったあたりに集約されるのではないでしょうか。

私もこの気持ちはとても良く理解できます。

Vol.2

 

そのため、
もし「多角化」をしたくなったら、
やりたいようにやってみればよいのではないか、
と思っています。

成功するか、失敗するかに関わらず、
経営者は自分がやりたいことは
やらないと気が済まないものだと思いますので。

 

ただ、
多角化はリスクも伴いますので、
「まずは小さく始める」
という原則は守ったうえで、
スタートした方が良いとは思います。

そのうえで、
上手くいきそうであれば、
徐々に大きくしていけばよいと思いますし、
そうでなければ、
撤退時に損失を最小限に抑えるように
判断をしていかなければいけません。

 

いずれにしても、
最初から「ご自身が失敗する」ことを想定して
多角化を始める経営者は
あまりいらっしゃらないとは思いますが、
一方で、現実問題としては、
多角化が失敗する割合の方が多いものです。

私のこれまでの経験上、
多角化が思うように上手く軌道に乗らない会社には、
ある共通点があるように思っています。

Vol.15(3)

それは、

—————————–
すべての事業が
中途半端な状態になる
—————————–

という状況です。

 

しっかりと戦略的に多角化を取り組めば、
中長期的に大きな効果をもたらすことも当然ありますが、
一方で、短期的に見ると、
「多角化=経営資源の一時的分散」
になります。

多角化を成功させるためには、
中長期的には、
経営資源を上手く配分していくような仕組みを
作り上げる必要があるのですが、
短期的・一時的には、
組織の力が分散されるのは間違いありません。

このような
経営資源の分散時期を
どれだけ短期間におさえて、
多角化した事業間で
うまく経営資源を配分できる仕組みを
構築できるかが多角化成功のポイントになります。

Vol.15

 

ただ実際には、
経営資源の分散期間を
短期間に食い止めて
多角化の仕組みを作れる会社と
そうでない会社に分かれます。

その違いは何かというと、

———————————–
今の事業を徹底できているか?
———————————–

という点に行きつきます。

 

経営資源の分散期間を短期間におさえて、
中長期的な多角化の仕組み」を構築するためには、
必ず、今ある「良い仕組み」を
横展開することが求められます。

多角化した新規事業について、
すべての仕組みを0から構築していては、
おそらく有限の経営資源が底を尽きてしまいます。

今の稼ぎ頭の余力が奪い取られて、
今の本業すら危うくなってくるリスクがあります。

 

そのため、
多角化を成功させるためには、
すでに今ある「良い仕組み」の横展開は
必須条件になると思います。

それは、
人材活用の仕組みかもしれませんし、
ノウハウ活用の仕組みかもしれません。

戦略立案の仕組みであったり、
経営管理の仕組みもあると思います。

 

何でも良いと思いますが、
今ある「良い仕組み」を1つでも多く
横展開できるかどうかが、
大きなポイントになるはずです。

Vol.34(2)

そう考えると、
また1つ疑問・課題が浮かんできます。

それは、
「そもそも、今現在、
横展開できそうな『良い仕組み』をもっているのか?」
ということです。

 

そしてさらに、この課題を突き詰めていくと、
行きつく答えがあります。

それは、

———————————————–
多角化したければ、
今の事業を徹底的にやりきる必要がある
———————————————–

ということです。

 

つまり、
逆説的ではありますが、
多角化したければ、
早く「今の本業」を徹底的に
やりきっていただきたいと思っています。

「今の本業」をやりきることで、
横展開できるほどの「良い仕組み」が
できあがってくるものです。

これこそが、
多角化成功の「近道」なのではないか、
と考えています。

★★★★★★★
多角化したくなったら、
考えてみてください。
今の本業を徹底的にやりきってますか?
★★★★★★★

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