平成27年12月7日~12月11日の適時開示情報をもとに、
「子会社を減らす」決断をした事例をご紹介いたします。
はじめに
今週は4件の事例をご紹介させていただきます。
「子会社を減らす」という決断は勇気がいるものですが、
経営者として重要な仕事の1つです。
是非、各事例における経営者の決断から
学べる部分を学ばせていただきましょう。
事例1)株式会社三洋堂ホールディングス
<概要>
●平成27年12月11日開催の取締役会において、
100%出資の連結子会社である
株式会社メディサイトコーポレーションを
吸収合併することを決議し、 合併契約を締結した。
<背景>
●グループ経営の効率化と
経営のグループ管理体制の強化を図るため、
メディサイトを吸収合併することとした。
事例2)株式会社翻訳センター
<概要>
●平成27年12月11日開催の取締役会において、
連結子会社である株式会社国際事務センターを
吸収合併することを決定。
<背景>
●株式会社国際事務センターは親会社同様、
翻訳サービスを主要業務としている。
今回の合併は、 グループ内で重複する経営資源を集約し、
更なる顧客サービスの拡充と
効率的な業務運営を図ることを目的としている。
事例3)株式会社イチネンホールディングス
<概要>
●平成27年12月11日開催の取締役会において、
連結子会社(孫会社)である野村オートリース株式会社と
アルファオートリース株式会社を合併することを決議した。
<背景>
●野村オートリース株式会社とアルファオートリース株式会社は、
グループの基盤事業である自動車総合サービスセグメントに位置付けられ、
ともにオートリース事業を主たる事業としている。
●両社を合併することにより、
これまで両社が培ってきたノウハウを結集し、
さらなるサービス品質の向上と経営の効率化を実現し、
オートリース会社としての事業基盤強化を図ることで、
持続的成長を目指す。
事例4)株式会社三菱ケミカルホーディングス
<概要>
●連結子会社である三菱化学株式会社、
三菱樹脂株式会社及び三菱レイヨン株式会社が、
平成29年4月1日をもって統合することを決定。
<背景>
●経営環境の変化に迅速に対応し、
事業の成長を図るためには、
3社の持つ経営資源を最大限活用できる体制の
構築が必要と考えてきた。
●三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンの
化学系事業会社3社を1社に統合する前提で
詳細な検討を行ってきた。
●新社は、統合後引き続き、
純粋持株会社の100%子会社として事業を行う。
レビュー
今週は4つの事例です。
事例1)と事例2)は
親会社が子会社を吸収合併する事例です。
また、
事例3)と事例4)は
子会社同士の合併です。
分社化しているメリットより、
合併することで、
グループ内で重複する経営資源を
集約することによるメリットの方が
大きいとの判断です。
グループ会社が複数になってくると、
常にこの視点は意識しておきたいポイントです。
当初は、そうでなくとも、
いったん組織ができると、
それぞれが独自で仕事を作っていく傾向があります。
そのため、
当初のグループ組織デザインの
コンセプト自体が日々変わっていくものだという前提で、
グループ内経営資源配分の見直しは
定期的に確認をすることが望まれます。
また、興味深いことがもう1つあります。
今回の4つの事例のうち
3つがホールディングス経営です。
ホールディングス化する経営者は、
もともとグループ組織デザインへのこだわりがあるものなので、
とくにグループ内組織再編は、
頻繁に実施される傾向があるのだと思います。
グループ内組織再編はエネルギーは必要ですが、
逆にグループ組織デザインを
常に考えていることの証です。
是非、参考にされてみてはいかがでしょうか?