権威によるリーダーシップ
前回の「(Q3)」において、
ホールディングカンパニー(親会社)に
求められる人材は、
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「子会社に奉仕したい」
という意志のある人材
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とお伝えさせていただきました。
なぜかというと、
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奉仕のうえに「権威」が生まれる
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からです。
つまり、
親会社と子会社という資本関係をもとにした
「権力」によるリーダーシップではなく、
親会社が子会社に「奉仕」することで生まれる
「権威」によるリーダーシップの方が
大切であるということです。
このことについて、
もう少しだけ今回は補足を
させていただきたいと思います。
子会社の気持ち
私がグループ経営の支援をする際には、
通常は、経営者や親会社の側に立って支援をしますが、
ときには子会社の立場の役員や社員さんと
一緒に仕事をする機会もあります。
そのような機会では、
多くのことを感じさせられ、気づかされます。
なかでも、いつも感じるのが
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親会社の権力は絶大である
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ということです。
子会社側の立場に立つと、
想像以上に「親会社の権力」を意識しています。
おそらく親会社側が思っている以上に
子会社側は「親会社の権力」を恐れています。
経営者や親会社の立場で仕事をしていると、
このような「子会社の気持ち」は、
なかなか感じることができないと思いますが、
これは事実です。
資本関係の構造上、
このような「権力による支配関係」が
存在すること自体は否定しようがありませんし、
決して悪いというわけではありません。
但し、
経営者や親会社側にある立場として、
このような「子会社社員の気持ち」については、
積極的に意識してあげてほしいと思います。
親会社側の何気ない指示(必要性の乏しい指示)が
子会社側ではとても大きなタスクになっている、
というようなことはよくあります。
親会社は指示したことさえ忘れていても
子会社側では真剣に取り組んでいたりします。
業績が悪い子会社の場合は、
引け目もあったりして、
とても肩身が狭い思いをしています。
逆に業績が良い子会社の場合、
稼いだ利益(お金)を親会社へ吸い上げられたりすると、
とても不満を持っていたりします。
経営者の立場、親会社の立場からすると
当たり前のことであったり、些細なことであっても、
子会社の立場になると、
当たり前でもなく、些細なことでもなかったりします。
子会社が本来望むものは・・・
ところで、
子会社(社員)が
本来望むものは何なのでしょうか?
子会社が肩身狭い思いをしたり、
親会社への不満を抱いたりする状態は、
本来望ましい状態ではないはずです。
どうすれば、
子会社(社員)の満足度は
高まるのでしょうか?
会社によって様々だと思いますが、
私見としては、
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「敬意をもって扱われたい」
「同じ目線でグループ全体を見たい」
「グループに貢献したい」
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といった思いなのではないかと思います。
裏を返すと、
このように子会社が思えるような扱いを
経営者や親会社ができていない、
ということなのだと思います。
経営者や親会社側の立場にいると、
「子会社満足」という視点については
意外と意識することが少ないものですが、
是非このような視点も意識していただきたいところです。
親会社と子会社の健全な関係
グループ全体が成長し続けるには、
「親会社と子会社の健全な関係」
は不可欠な要素です。
そして、
このような健全な関係を
グループ会社内に築けるかどうかは、
親会社の姿勢・行動にかかっていると言っても
過言ではないでしょう。
その意味で、
「子会社の気持ち」を理解したうえで、
グループを引っ張っていける親会社でいられるかは、
重要なポイントです。
資本関係に依拠した
「権力」だけのリーダーシップでは、
いずれ限界が来ると思います。
「子会社の気持ち」を理解でき、
子会社を支援し、導いていくために
親会社が率先して「奉仕」してあげること。
このような
グループ・サーバント・リーダーシップを
親会社が発揮することで
「権力」だけでなく「権威」も兼ね備えた
リーダーシップを生み出せるかどうか。
これからの時代、
生き残っていけるグループ企業は、
子会社が「グループ帰属意識」を持つことができ、
グループ全体視点で物事を考えてくれることで、
グループ全体最適・グループシナジーを
実現できるような企業だと思います。
そのためには、
最後に繰り返しになりますが、
ホールディングカンパニー(親会社)に
求められる人材は、
———————————
「子会社に奉仕したい」
という意志のある人材
———————————
だということです。