※平成28年1月15日にダイドードリンコ株式会社より適時開示されている「持株会社体制への移行方針決定に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。
内容
持株会社体制への移行方針決定
開示概要
●平成28年1月15日開催の取締役会において、
平成29年1月21日を目処に持株会社体制へ移行する方針を決定し、
その本格的な準備を開始することを決議。
●持株会社体制への移行については、
平成28年4月15日に開催予定の定時株主総会での承認を経て
正式に決定する予定。
持株会社化の背景
●新たなグループ理念・グループビジョンのもと、
2018年度を最終年度とする中期経営計画
「Challenge the Next Stage」を推進している。
●2018年度には売上高を2,000 億円へ、
営業利益率を4%に引き上げることを目標として、
以下の4つのテーマに取りんでいる。
①「既存事業成長へのチャレンジ」
②「商品力強化へのチャレンジ」
③「海外展開へのチャレンジ」
④「新たな事業基盤確立へのチャレンジ」
●2014年4月の消費税増税以降、
飲料業界の市場動向は大きく変化しており、
・消費者の低価格志向の高まり
・流通チェーンの合併・統合等による販売促進活動に対する交渉力の強化
・競争力の高いプライベートブランドのさらなる拡大
といったことを背景として「価格競争」が激化するなど、
収益確保に向けた経営環境は極めて厳しいものとなっている。
●このような経営環境の激変に対応し、
将来にわたる持続的成長の実現と
中長期的な企業価値向上をめざすためには、
透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を実現する
グループガバナンス改革が必要であると判断。
持株会社化の目的
中期経営計画の達成をひとつの通過点として、
次代に向けた企業価値創造へのチャレンジを続けていくことを目的として、
グループ経営の基盤強化を図る。
①グループ経営強化
持株会社体制に移行することにより、
・グループガバナンスを強化する
・各事業の責任と権限の明確化を図る
・コア事業である国内飲料事業のキャッシュフローの継続的拡大を実現する
また、グループ経営における海外飲料事業の重要性の高まりに対応し、
海外飲料管理会社を新設することにより、
経営管理体制・リスク管理体制の整備につとめる。
②事業領域拡大への機動的対応
事業環境の大きな変化に対応し、
グループとしての持続的な利益成長・資本効率向上を実現していくためには、
既存事業によるキャッシュフローの継続的拡大へのチャレンジに加えて、
これまで積み上げてきた内部留保を有効活用し、
ヘルスケア領域などの収益性・成長性の高い
新たな事業領域を獲得していくことも重要な課題と考えてる。
M&A戦略に機動的に対応できる組織体制を整備し、
積極的にチャレンジしていく。
持株会社体制への移行の要旨
●移行方式
具体的な移行スキーム及び持株会社移行後の体制等については、
今後詳細な検討を実施していく。
●日程(予定)
・平成28年4月15日(予定):第 41 回定時株主総会での議案上程
・平成29年1月21日(予定):持株会社体制への移行
Review
2016年初めての事例になります。
ダイドードリンコグループは、
2015年1月期の有価証券報告書によると、
親会社と、子会社9社、関連会社6社から
構成されているようです。
2015年1月期の
グループ業績については、
・連結売上高:約1,500億円
・連結営業利益:約45億円
といった感じです。
ただ、グループ売上高は
伸び悩んでいる一方で、
グループ営業利益は下降傾向にあります。
今回ホールディングス化する背景には、
そのあたりの危機感が伝わってきます。
既存事業で稼げているうちに、
新規分野への投資や、海外展開の基盤づくりを
しておかなければ、ということで、
真のグループ経営管理を実施していく意志が
見て取れます。
同社では、2018年度には
●売上高を2,000 億円
●営業利益率4%(≒営業利益80億円)
という具体的数値目標を掲げています。
一方で、
2016年1月期決算の業績予想は、
2015年1月期と比べても
横ばいといった感じのようです。
そう考えると、
これから2~3年で、
・グループ売上高を500億円程度(現在の約1.3倍)、
・グループ営業利益を40億円程度(現在の約2倍)
の増加を達成する必要があります。
客観的に考えると、
簡単ではない「チャレンジ」だと
見受けられます。
今回のホールディングス化の目的を
要約すると、
①既存体制の効率化
②新規分野での拡大
ということだと思います。
中期経営計画の期限を考えると、
おそらく②については、
M&Aに頼る側面が大きいのが
現実的な見方かな、と思います。
但し、
このような②を積極的に実施し、
きちんとした形で組織に落とし込んでいくには、
①が不可欠です。
理論上は、
「ホールディングス化」は
①②に向けて有効な手段だと思いますし、
方向性としては間違っていないと思います。
一方で、
形が変わっても、実質(人)が変わらなければ、
状況を変えていくのは容易ではありません。
今回の開示では、
具体的な移行スキームや
持株会社移行後の体制等については、
踏み込んだ記載はありませんでした。
今後決定し、開示していく、
とのことですので、
ホールディングス化によって、
今後どのように変わっていくのか、
引き続き注視していきたいと思います。