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【事例】株式会社メガネスーパー

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※平成29年6月19日に株式会社メガネスーパーより適時開示されている「単独株式移転による純粋持株会社体制への移行に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

純粋持株会社体制への移行

開示概要

●平成29年6月19日付の取締役会において、
平成29年7月26日開催予定の定時株主総会における承認決議など所定の手続きを経た上で、
平成29年11月1日(予定)を期日として、
単独による株式移転により純粋持株会社(完全親会社)である
「株式会社ビジョナリー ホールディングス」を設立することを決定。

●株式移転の実施により同社株式は上場廃止となるが、
持株会社はテクニカル上場を申請し、
平成29年11月1日付けで(予定)JASDAQ市場に上場することを予定。

持株会社体制移行の背景・目的

●グループの属する眼鏡小売市場においては、
依然として低価格均一店に伸びがみられるものの、
老視レンズ、遠近両用レンズ等の累進型レンズへの需要が拡大しており、
眼鏡一式市場規模は緩やかな回復傾向にある。

●需要層について、
低価格均一眼鏡と視環境の改善、
いわゆる付加価値を求める需要層に二極化する傾向がみられる一方で、
供給面においては、既存量販店、専門店、中小店を中心に
価格競争の激化、労働需要の逼迫や経営者の高齢化による事業承継問題等により
減少傾向がみられるなど、需要層の二極化と相まって
業界再編の機運が高まっていくことが予想される。

●このような経営環境のもと、
「事業再生期」を脱却した平成29年4月期以降を「再成長期」と位置づけ、
「アイケア」重視のサービス型店舗モデルの一層の強化による事業基盤の強化と
経営効率の向上に取り組んでいる。

●同時に「アイケア」重視のサービス型店舗モデルのプラットフォーム化を通じて、
アイケア領域で親和性が高いメガネチェーン店や異業種企業との
資本・業務提携を強化している。

●富山県内に22店舗を展開する
株式会社メガネハウスの全株式を平成29年1月31日付で取得するなど、
同プラットフォームを通じた事業規模の拡大
並びに事業基盤の共有化(ロールアップ)を戦略的に展開し、
眼鏡小売市場における付加価値需要層領域での競争優位の確立を目指している。

●また、技術革新を通じた新たな市場の開拓を目指し、
「視覚拡張」をキーコンセプトに「見え方」「かけ心地」にこだわった
メガネ型ウェアラブル端末「b.g.(ビージー)」の商品開発を進めていたが、
ウェアラブル端末領域の早期事業化を図るため、
平成29年5月1日付にて株式会社Enhanlabo(エンハンラボ)を設立した。

●これを別会社化した目的は、
当該事業領域における人材強化、
ソリューション化に伴うアライアンスや業務・資本提携等を通じた
開発資金調達の自由度を確保し、当該事業の成長を加速させることにある。

●そのような中で、
グループが一層の企業価値向上を実現するためには、
環境変化へのスピーディな対応が不可欠であり、
機動的かつ柔軟な経営判断を可能とする体制のもと、
ガバナンスの強化とともにグループ会社の採算性の明確化を図り、
目の健康プラットフォームを通じた同業のロールアップ戦略、
並びに技術革新を通じた新たな市場開拓を戦略的に展開していくことを目的とし、
純粋持株会社体制へ移行することにした。

●純粋持株会社体制への移行後、新たに設立される持株会社は、
親会社として、
・グループ全体の経営戦略の策定及び経営資源の配分
・各グループ会社への経営管理機能
・各グループ会社のミッションの明確化
・シナジー効果の追求によるグループ全体の経営効率の向上
・グループ外取引の拡大による新たな事業機会の創出
など、持続的な成長を目指していく。

●また、純粋持株会社体制への移行後も
財務体質の強化と事業基盤の安定化を最優先とし、
早期の復配を目指す方針である。

純粋持株会社体制への移行の手順

以下の方法により、純粋持株会社体制への移行を実施する予定。
※下図は開示資料より転載

【現在】

【ステップ1】株式移転による純粋持株会社を設立(本件株式移転の実施)
平成29年11月1日を期日として株式移転により持株会社を設立することで、
持株会社の完全子会社となる。

【ステップ2】純粋持株会社設立後の体制
株式会社メガネスーパーの子会社を純粋持株会社の子会社として再編する予定。
なお、具体的な内容及び時期につきましては未定。

 

株式移転の日程

①定時株主総会基準日:平成29年4月30日(日)
②株式移転計画書承認取締役会:平成29年6月19日(月)
③株式移転計画書承認定時株主総会:平成29年7月26日(水)予定
④株式会社メガネスーパー上場廃止日:平成29年10月27日(金)予定
⑤株式移転期日・純粋持株会社設立日:平成29年11月1日(水)予定
⑥純粋持株会社設立登記日:平成29年11月1日(水)予定
⑦純粋持株会社上場日:平成29年11月1日(水)予定

 

Review

今回は「メガネスーパー」の事例です。

同社は、比較的最近まで単体会社として経営をしていましたが、
平成29年より同業他社の株式を取得することで、
本格的なグループ経営体制へ移行しているようです。

 

また、同社の過去の業績を確認すると、
2年位前までは大きな赤字が連続して計上している状態だったようですが、
ここ最近は企業再建ステージに入っている印象です。

 

この2年間は黒字経営にもなってきた段階ということで、
同社の開示内容の中にも、

『事業再生期』を脱却した平成29年4月期以降を『再成長期』と位置づけ、
 『アイケア』重視のサービス型店舗モデルの一層の強化による事業基盤の強化
  経営効率の向上に取り組んでいる。」

といった表現にもあるように、
今後は再成長期ステージにおいて、
攻めの経営に転じたことがみてとれます。

 

同社の再成長プランの中心として、
「目の健康プラットフォーム構想」
という表現がよく出てきます。

 

過去の同社の開示資料によると以下のような構想のようです。

———————————————–
メガネチェーン店の事業承継の選択肢となると共に、
屋号・店舗を維持したまま、
売り方の変革によって売上・利益の成長を支援し、
屋号の発展を実現していく考え方。

売り方の変革の要素の代表的要素は

●単に商品としてメガネを売るだけでなく、
 お客様の目の健康情報を合わせてお客様に提供し、
 これを消費して頂くことにより、
 高付加価値型商品への理解・満足度を向上

●単品売り切りから、継続・サービス売上比率の拡大

●住所データならびにお客様の継時的な健康情報を保有する
 稀有な小売業と言う特性を生かし、
 それぞれの顧客に合った商品・サービスの提供や、
 膨大な顧客データを活用した商品・サービス開発等のデータベースマーケティング

●メガネと抜本的に消費者購買行動が異なるコンタクトレンズを、
 商圏特性にきめ細かく合わせて導入・拡販

●多様な売り方の変革が、最終的に売上や利益だけでなく、
 顧客満足度に繋がっているかの継続的・ 包括的な評価計測

といったものが挙げられる。

これらの要素は、
マス広告によるブランド認知から来店を促す売り方から一線を画した、
アイケアやサービス、あるいはデータに基づいたものであるため、
目の健康プラットフォームの中で「屋号=ブランド」の統一を必要としない。

地域に根付いた屋号の発展が可能な点を訴求し、
目の健康プラットフォームへの参画企業を
今後継続的に増やしていきたいと考えている
———————————————–

 

自社グループですべてを抱えて経営していくのではなく、
必要な部分について同業他社と戦略的アライアンスを組みながら、
共存共栄を目指すビジネスモデルと言ってよいでしょうか。

この流れは最近のトレンドと言えるでしょう。

 

このようななかでは、
どれだけ自社が主導権を握れるかはとても大きな課題です。

やはり自社が主体となって他社を巻き込んでいくのと、
他社が主体となっているところに参加するのでは、
その後の展開が全く変わってくるものです。

 

同社における「目の健康プラットフォーム構想」は、
このような共存共栄を前提としつつも、
自社が業界の中心となってプラットフォームを作り、
業界を引っ張っていくという意志表示と言ってもよいでしょう。

 

そして、
「戦略的アライアンス」「プラットフォーム」といったフレーズがでると
セットででてくるのが「ホールディングス体制」だったりもします。

 

グループ各社がバラバラに活動していては、
他社とのアライアンスを戦略的に進めていったり、
プラットフォーム機能を果たしていくことはできません。

今後の同社グループの再成長期に向けて、
グループ全体が一丸となって経営を進めていくために、
ホールディングス体制へ移行するという流れです。

 

同社の計画通り、
再成長ステージを進んでいけるかどうか。
興味深いところです。

 

★★★★★★★
企業再建・再成長のための
ホールディングス経営
★★★★★★★

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