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【事例】第一化成株式会社

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※平成29年5月22日に第一化成株式会社より適時開示されている「会社分割による持株会社体制への移行、商号の変更および定款一部変更に関するお知らせ」をもとに情報を整理しています。

内容

持株会社体制への移行

開示概要

●平成29年5月22日開催の取締役会において、
新規設立100%子会社である第一化成分割準備株式会社を承継会社とし、
平成29年10月1日(予定)を効力発生日として会社分割(吸収分割)を行うことにより、
持株会社体制へ移行することを決議し、承継会社との間で吸収分割契約を締結。

●会社分割により持株会社に移行することから、
平成29年10月1日(予定)を効力発生日として
「ウルトラファブリックス・ホールディングス株式会社」に商号を変更し、
引き続き上場会社となる予定。

●同日付の「監査等委員会設置会社への移行に関するお知らせ」において
開示しているとおり、持株会社体制への移行を機に、
「監査役会設置会社」から「監査等委員会設置会社」へ移行することとした。

●会社分割による持株会社体制への移行、
商号の変更および監査等委員会設置会社への移行について
平成29年6月22日開催予定の第52回定時株主総会
ならびに同日開催予定の普通株主による種類株主総会
およびA種優先株主による種類株主総会で
関連する議案が承認されることを条件として実施する予定。

●会社分割後、持株会社となるため、
同社の収入は子会社・関連会社等からの配当、貸付金利息、経営指導料等となり、
費用は持株会社としての機能にかかわるもの、借入金利息等が中心となる。

持株会社体制移行の目的

●当組織再編は、日本の開発・製造機能と、
グローバルなマーケティング・ブランドマネージメント機能を調和させ、
またUltraleather®をはじめとするUltrafabrics社の製品ブランドの
グローバル展開を図る体制を構築することを目的として、
平成29年10月1日付で持株会社体制へ移行する。

●持株会社体制に移行することでグループ戦略機能の強化を図り、
グループ全体で長期的な視点より経営戦略の立案と適正な経営資源の配分を行うことで
グループ全体の企業価値の向上を目指す。

会社分割の方式

●持株会社体制への移行の方法は、会社分割(吸収分割)を採用し、
分割する事業を分割準備会社に承継する方法を予定。

会社分割の日程

①分割準備会社の設立:平成29年5月22日
②吸収分割契約承認取締役会:平成29年5月22日
③吸収分割契約締結:平成29年5月22日
④吸収分割契約承認株主総会:平成29年6月22日(予定)
⑤吸収分割効力発生日:平成29年10月1日(予定)

 

Review

今回は「第一化成株式会社」の事例です。

同社の最近の動きを
有価証券報告書やIRで確認してみました。

すると、
今回の持株会社化の背景には、
いろいろな伏線・ストーリーがあることもわかりました。

たとえば、ここ最近では、
・監査法人の変更
・ストックオプション発行
・決算期変更
・グループ内組織再編
・多額な資金調達
・中期経営計画の策定
といったようなIRが連発されていました。

 

このような流れの前提として、
当初よりホールディングス体制による
グループ経営が想定されていたようなので、
今回のホールディングス化が完結すると、
この一連の流れのインフラが整うことになるのだと思います。

 

そして、中期経営計画の説明資料の中の
「これまでの第一化成」というテーマにおいて、

———————————————–
「検索すると同じ名前の会社が幾つも出てくるので、 どれだかわからない」
「アメリカの販売会社に売上が集中し ているようだ」
「合成皮革メーカーらしいが、製品を 見たことがない」
「HPの使い勝手が悪いし、中身も良くわ からない」
 ⇒何をしてどう稼いでいるのか、良くわからない会社だ
———————————————–

といった課題があったとの記載がありました。

 

確かに私自身も、
今回はじめて同社を知った感じで、
「第一化成ってどのようなことをしている会社だろう?」
と最初は純粋に感じました。

 

同社が、上記のような課題を解決し、
さらにグループ全体としてもより成長をしていくためには、

———————————————–
日本の開発・製造機能と
グローバルなマーケティング・ブランドマネージメント機能を調和させ、
Ultraleather®をはじめとするUltrafabrics社の製品ブランドの
グローバル展開を図る体制を構築すること
———————————————–

が必要と考え、そのために、
関係オーナーからも株を買い取り、ホールディングス体制にすることで、
関係者間の協力体制を強めたうえでグループベクトルを合わせ、
グループコアスキルをきちんとグループ全体でマネジメントしていける体制
グループ組織をデザインしなおした、という流れのようです。

 

今回、ホールディングカンパニーの名称を
「ウルトラファブリックス・ホールディングス株式会社」
と、これまでの「第一化成」とは全く異なる名前に変更し、
同社の主要ブランド名を社名に据えています。

客観的には、とてもわかりやすい商号変更だと思います。

 

日本の開発・製造機能と
グローバルなマーケティング・ブランドマネージメント機能を調和することを、
今回のホールディングス化の1つの目的としていますが、
社名1つをとっても、同社が目指していきたい方向性が明確になったように感じています。

今後は、「ウルトラファブリック」というフレーズを聞くと、
同社のことを思い出す気がします。

 

★★★★★★★
グループ・リブランディングも兼ねる
ホールディングス化
★★★★★★★

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