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Vol.66 グループ会社の情報を「集める」仕組み

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連結決算の仕組みにおいて、
グループ各社の情報を集めることは、
とても重要なポイントと言えます。

グループの状況がよく見えづらいと思っている社長には、
是非、このポイントを意識していただきたいと思います。

グループ経営に悩む会社でよく見かける
グループ会社の情報の集め方は、
「○○と△△のデータを提出して下さい」
といった感じで、
メールや電話で情報を伝える方法です。

ただ、実際に情報を集めてみると、
資料に漏れがあったり、
思ったものと違ったデータが届いたり、
といったことがよくあります。

Vol.66(1)

情報を集める側の立場になると、
この苦労をとても痛感するものです。

このような問題を避けるためには
どのように対応したらよいのでしょうか?

それは、
「必要情報をパッケージング」
することです。

つまり、
必要情報をグループ各社から
・漏れなく
・正確に
提出してもらうために、
定型フォーマットを作るのです。

このように
連結決算の仕組みでで必要とする情報を
パッケージングした定型フォーマットのことを
一般的には、
「連結パッケージ」
と呼ぶことが多いです。

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きちんとした連結決算の仕組みが
機能している会社には、
きちんとした連結パッケージが存在します。

これは間違いありません。

仕組みを動かすのは、
形だけでなく実質が伴う必要があります。
人の力も当然必要です。

但し、
仕組みを作る初期段階では、
一定の「形」「型」を作ることが、
キーポイントだと考えています。

最初は「形」を作るところかスタートし、
徐々に中身のある仕組みに、
ブラッシュアップしていくイメージです。

連結決算の仕組みを作って
機能させるうえでも、
「まずは『連結パッケージ』という『形』を作ることを意識する」
という方法は、とても有効だと思っています。

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そして、
連結パッケージには
社長の意志を反映させる必要があります。

社長が
グループの実態を知るうえで、
またグループとして適切な経営判断を実施するうえで、
子会社からどのような情報を集めたいのか?

このような社長やグループとしての意志を
連結パッケージに反映し、
連結決算の仕組みを作っていくことになります。

そのためには、
連結決算の目的も明確にする必要があります。
(参考:Vol.56 連結決算の目的を決めるのは社長

上場会社の場合には、
法制度上、必要とされる連結決算の仕組みですが、
非上場会社においては、
連結決算の仕組みは必須ではありません。

それでも
連結決算の仕組みを導入するには、
社長として、
その目的を明確にしたうえで、
連結パッケージに反映させていく姿勢が大切です。

Vol.66(5)

連結パッケージの良し悪しが、
その後の連結決算の仕組みの機能性を
左右すると言っても過言ではありませんので、
前提となる「連結決算の目的」を
見つめ直してみてください。

ここで、
連結パッケージに興味をもっていただいた社長に、
1つ注意していただきたいことがあります。

それは
「集めるのは必要最低限の情報」
に絞るということです。

どういうことかというと、
連結パッケージを運用していくことは、
それなりに労力がかかるからです。

一般的には、
情報を集める側の思いとしては、
「念のため、この情報も・・・」
といった感じで、
どうしても情報過多になりがちです。

但し、この発想がとても危険なのです。

この情報過多は、
実際の現場のことを考えると、
かなり負担になってきます。

現場の負担は、
仕組み崩壊の原因にもなりますので、
とくに最初は、
欲張り過ぎないことがポイントです。

社長が、
「あったらいいな」
といった程度の情報であれば、
最初は諦めてください。

社長自身が、
「絶対、この情報が無ければ困る」
という強い思いがある情報だけにしてください。

Vol.53(3)

情報量が多ければ多いほど良い、
というわけではありません。

多すぎる情報は、
重要なポイントを目立たなくしてしまいます。

また、
社長が欲張りすぎた結果、
現場が疲弊し、仕組み自体が回らなくなる事象を
多く見てきました。

社長のお気持ちはとても理解できますが、
まずは、最優先事項に絞ったうえで、
「連結パッケージ」作りを始めてみてください。

※参考
Vol.37 複数会社の情報を吸い上げるには?
Vol.38 ホールディングスの横串力とモノサシ作り

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