これまで、
連結決算の仕組みの考え方や必要性について、
書いてきました。
その意義自体は、
ご理解いただけたのではないかと思います。
一方で、
「意義はわかったけれど、
具体的に仕組みはどのように作ればよいのか?」
といった疑問も聞こえてきそうです。
そのため
今回は、この仕組みづくりについて、
もう少し具体的に書いてみたいと思います。
まず連結決算の仕組みを作ろうと思った際に、
その最初のとっかかりは何になるのでしょうか?
つまり「出発点」です。
これを間違うと、
変な方向に進んでしまいますので、
当たり前のようですが、
関係者間で共有をしておくことが必要です。
私が仕組みづくりを実践する場合に、
最初に意識するのは、
「出発点=ゴールを決める」
ことです。
つまり、
「終わりを決める」
ということです。
仕組みというのは構築していっても、
次から次へとバージョンアップしていくので、
実際には「終わり」というものはありません。
但し、
具体的な「終わり=ゴール」が無ければ、
進んでいくうえでブレていくことが多いので、
とりあえず「ゴールを仮決め」します。
それでは、
この仮決めすべきゴールとは
具体的にはどのようなものになるのでしょうか?
当然唯一の正解はありません。
連結決算の仕組みづくりにおいて、
その目的を決めるのは社長なので(参考:Vol.56)、
社長がゴールを仮決めすれば良いと思います。
ただ、それは具体的である必要があります。
経営理念のような抽象的なゴールは
大前提としては重要ですが、
連結決算の「仕組み」を作るうえで
仮決めするゴールには具体性が必要です。
具体性があるとは、
つまり、目に見えたり、有形であったり、
社員の間で共通言語になりやすいもの、
と言ってよいでしょう。
この具体的な仮決めゴールは
是非、社長自らが決めていただきたいと思います。
ちなみに、
私が考える仮決めに適したゴールは、
「経営判断用の定期的なグループ数値資料」
です。
なぜかというと、
「経営判断=経営者の仕事(目的)」
「定期的=時間軸が明確になる」
「数値=具体的な共通言語」
「資料=有形の具体的なツール」
であり、
連結決算の仕組みを
具体的に表すと考えるからです。
つまり、
「経営判断用の数値資料を決められたタイミングで作成すること」
がゴールとして仮決めされることで、
その資料を作るためには、
いつ、誰が、どのように、何を実施する仕組みが
必要なのかを考えていくことができます。
仕組みづくりを出発できる、
ということです。
このような資料のことを、
私は勝手に、
「キードキュメント」
と呼ぶことにしています。(参照:Vol.59)
つまり、
「キードキュメントを仮決めすること=仕組みづくりの出発点」
ということです。
そして、
この仕組みづくりにあたって、
とても有効な武器になるのが、
「ホールディングス」の仕組み、
だと考えています。
詳細は、
「Vol.36 現状把握のために必要なもの」
「Vol.37 複数会社の情報を吸い上げるには?」
の記事もご参照いただければと思いますが、
いつ、誰が、どのように、何を実施するかを
グループ全体でコントロールする仕組みとして、
ホールディングス経営が
とても有効だということです。
いずれにしても、
仕組みづくりが出発するには、
社長が「意志」を明確に示すことが不可欠です。
社長が連結グループ経営を
実践するにあたり、
・いつ
・誰から
・どのような数値が記載された
・どのようなフォーマットの
・何枚ものの資料
があればよいのか。
具体的な「キードキュメント」について、
社長自らがきちんとデザインをして、
社長自らがその意志を明示することが、
連結決算の仕組みづくりの出発点といえます。
社長自らが
その意志を具体的にすることが
出発点になるということを、
是非意識していただきたいと思います。
そうすれば、
自ずと連結決算の仕組みづくりの
次のステップが見えてくるはずです。